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番外編『魔法使いがいく!』
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「…では貴方は今から正式な魔導協会の一員となります。魔導の加護があらん事を…」
…様々な工芸品が置かれた豪華な部屋で『教皇』と表示されたおじさんが机に立てかけられてる杖を手に取った。
そしてソレを上に掲げながらかなり略式の儀式を急ぎ足で済ませる。
その様子をこの物語の主人公である『魔導召喚師 Lv21』…という表示の彼は、特に文句を言うワケでも受け入れた。
「…これから事務局に魔導協会所属の証であるペンダントを取りに行ってもらいます…魔導の巫女、案内を任せても?」
公務の時間が迫ってるのかおじさんは急ぎ足で話を進めると『巫女』と表示されている女の子に尋ねる。
「任されました」
「…こいつについて行けばいいのか?」
「貴方の働きに期待していますよ」
女の子が頭を下げて部屋から出ようとすると彼がついて行き、ドアが閉まる直前におじさんがにこやかに声をかけた。
「…ふん、流石はあの地位に長く居座っているだけはある…食えんやつだ」
「口を慎め、あのお方は魔導協会の象徴だぞ」
部屋から出て廊下を歩きながら鼻を鳴らすように皮肉を呟く彼に女の子が窘めるように言う。
「教皇だろうがなんだろうが今の俺には関係ないな」
「…そんな調子ではいつか痛い目を見る事になるぞ」
「…そうだな、今の俺は少し調子に乗りすぎているかもしれん…」
彼は女の子の厳しい視線での忠告に客観的に自分見て、少し冷静になったかのような呟きを漏らす。
その後はお互い無言で廊下を歩き、別館に入ると女の子が受付のカウンターに座っている女性と話して何かを受け取る。
「…コレが魔導協会所属の証であるペンダントだ。無くしたら支部でも手続きをすれば再発行してもらえる」
女の子は彼に六芒星の形をした装飾品を渡すと最低限の説明をしてどこかに歩いて行った。
「…ただいま」
「おー」
「飛行テストの割には時間がかかったな…修正作業は大丈夫なのか?」
彼が現在の居住地である辺境の地にある山小屋へと戻ると…
家主の『山人 Lv2』の彼女は料理の最中で、同居人?である『剣士 Lv36』と言う表示の青年は椅子に座っている。
「大丈夫だ、それより…あの女の子はどうした?」
彼は青年の問いに答えると、朝出かける前には居たハズの女の人を探すように家の中を見渡して聞き返す。
「ああ、彼女なら着替えとかの必要な物を取りに帰ってるよ」
「…本格的に居座るつもりなのか…」
青年が笑いながら言うと彼は彼女を気にするようにチラリと見て呟く。
「いや、あの子がココにいるのは修行のためらしい…だから強くなれば離れて行くさ…」
青年は彼の言葉に軽く否定するように首を振って寂しそうに言った。
「…どうだかな、まあ少なくとも俺はたとえ魔導を極めようとも彼女から離れるつもりはないが」
彼が彼女を見ながら青年にだけ聞こえる音量でコソコソ告げる。
「…なに?」
すると、ジッと見ている彼の視線に気付いた彼女が振り向いて不機嫌に問う。
「い、いや、なんでもない…!あの女の子はどこ行ったのかと思ってな」
そんな彼女の様子を見て彼は焦りながら取り繕うように、さっき青年に聞いた事と同じ事を言って強引にごまかそうとした。
「ああ…修行目的で暫く厄介になるから、って着替えとかを取りに行ったよ」
まったく…厄介になるって自覚してるんなら出て行けばいいものを…と彼女は呆れたようにため息混じりで言う。
「…何も返せんな…」
「ああ…」
彼女の言葉に彼がなんとかフォローしようと口を開いたが結局諦めたように呟き、青年も同意する。
「そ、そういえば…」
シーン…と一気に静かになった雰囲気の中、彼が口を開く。
「俺、魔導協会に所属する事になった」
「!?魔導協会だと!?」
彼の報告に青年が驚いたようにガタッと椅子を鳴らして立ち上がった。
…様々な工芸品が置かれた豪華な部屋で『教皇』と表示されたおじさんが机に立てかけられてる杖を手に取った。
そしてソレを上に掲げながらかなり略式の儀式を急ぎ足で済ませる。
その様子をこの物語の主人公である『魔導召喚師 Lv21』…という表示の彼は、特に文句を言うワケでも受け入れた。
「…これから事務局に魔導協会所属の証であるペンダントを取りに行ってもらいます…魔導の巫女、案内を任せても?」
公務の時間が迫ってるのかおじさんは急ぎ足で話を進めると『巫女』と表示されている女の子に尋ねる。
「任されました」
「…こいつについて行けばいいのか?」
「貴方の働きに期待していますよ」
女の子が頭を下げて部屋から出ようとすると彼がついて行き、ドアが閉まる直前におじさんがにこやかに声をかけた。
「…ふん、流石はあの地位に長く居座っているだけはある…食えんやつだ」
「口を慎め、あのお方は魔導協会の象徴だぞ」
部屋から出て廊下を歩きながら鼻を鳴らすように皮肉を呟く彼に女の子が窘めるように言う。
「教皇だろうがなんだろうが今の俺には関係ないな」
「…そんな調子ではいつか痛い目を見る事になるぞ」
「…そうだな、今の俺は少し調子に乗りすぎているかもしれん…」
彼は女の子の厳しい視線での忠告に客観的に自分見て、少し冷静になったかのような呟きを漏らす。
その後はお互い無言で廊下を歩き、別館に入ると女の子が受付のカウンターに座っている女性と話して何かを受け取る。
「…コレが魔導協会所属の証であるペンダントだ。無くしたら支部でも手続きをすれば再発行してもらえる」
女の子は彼に六芒星の形をした装飾品を渡すと最低限の説明をしてどこかに歩いて行った。
「…ただいま」
「おー」
「飛行テストの割には時間がかかったな…修正作業は大丈夫なのか?」
彼が現在の居住地である辺境の地にある山小屋へと戻ると…
家主の『山人 Lv2』の彼女は料理の最中で、同居人?である『剣士 Lv36』と言う表示の青年は椅子に座っている。
「大丈夫だ、それより…あの女の子はどうした?」
彼は青年の問いに答えると、朝出かける前には居たハズの女の人を探すように家の中を見渡して聞き返す。
「ああ、彼女なら着替えとかの必要な物を取りに帰ってるよ」
「…本格的に居座るつもりなのか…」
青年が笑いながら言うと彼は彼女を気にするようにチラリと見て呟く。
「いや、あの子がココにいるのは修行のためらしい…だから強くなれば離れて行くさ…」
青年は彼の言葉に軽く否定するように首を振って寂しそうに言った。
「…どうだかな、まあ少なくとも俺はたとえ魔導を極めようとも彼女から離れるつもりはないが」
彼が彼女を見ながら青年にだけ聞こえる音量でコソコソ告げる。
「…なに?」
すると、ジッと見ている彼の視線に気付いた彼女が振り向いて不機嫌に問う。
「い、いや、なんでもない…!あの女の子はどこ行ったのかと思ってな」
そんな彼女の様子を見て彼は焦りながら取り繕うように、さっき青年に聞いた事と同じ事を言って強引にごまかそうとした。
「ああ…修行目的で暫く厄介になるから、って着替えとかを取りに行ったよ」
まったく…厄介になるって自覚してるんなら出て行けばいいものを…と彼女は呆れたようにため息混じりで言う。
「…何も返せんな…」
「ああ…」
彼女の言葉に彼がなんとかフォローしようと口を開いたが結局諦めたように呟き、青年も同意する。
「そ、そういえば…」
シーン…と一気に静かになった雰囲気の中、彼が口を開く。
「俺、魔導協会に所属する事になった」
「!?魔導協会だと!?」
彼の報告に青年が驚いたようにガタッと椅子を鳴らして立ち上がった。
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