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番外 覚悟
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夜会の後から、隊長がおかしい。
やたらと構うし、背後から抱き付いたり、たまに匂いを嗅がれたり。良く食事にも誘われる。けど、場所をもう少し考えてほしい。隊の食堂とか下町の飲み屋とかで、あーんしようとするのはあまりに場違いすぎるだろう。隊員に言わせると、自分のホームで囲いたい願望と求愛給餌らしいのだけど。
困った。本人的には口説いているつもりらしいけど、大型肉食獣に懐かれたとしか思えない。今までは少し下、今はエサをくれるお気に入りくらいにランクアップしたような感じというか…。懐かれて悪い気はしない。でも、隊長が求めているのは男女の関係で。受け入れるのはこわい。
そんなある日。珍しく兄と出くわした。しかも、私に気付いたみたいだ。認識阻害してたのだけど、さすが兄だ。久しぶりに皆と食事することになり、家族で楽しい時間を過ごせた。母には意味ありげに微笑まれた…。
「あまり焦らしてると、後が大変よ?」
絶対、楽しんでるんだろうな…。
…?隊長がいつにも増してベタベタしてくる。
「ご機嫌だな?」
「ええ。皆で食事するのは久しぶりでしたから。」
「・・・皆?・・・二人きりではなかったんだな。」
-何か、抱き締める強さがいつもより強い…?
「・・・?そうですが・・・?」
あれ?何か、ヤバいふいんきが(混乱中*誤字ではありません。)
「なあ。ナディル。
理性なくして襲われんのと、受け入れて大人しく抱かれるの、どちらを選ぶ?」
身体が強ばる。あの日の記憶が甦る。…嫌だった訳ではない、自分でなくなるような気がして、ただこわかっただけ。ふるえて、でも、確かに求める気持ちもあって。
隊長に強く抱きすくめられた後。拐われるように、隊長の自室に連れ込まれた。
そこからの記憶はほとんどない。
隊長にたくさんの愛をぶつけられたことと、名前を呼んだこと。それから、初めて本当の名前を呼んでもらったこと。
朝起きたら、身動き出来ないほどに疲れはてていて。
「小出しにしねえとヤバイからな?」
って、耳元で囁かれた。しかも、カラダが反応してしまい。また、食べられるはめになったのだった。
まさか、妊娠していたなんて…
確かに、その兆候はあった。生理が半年来てない。
前世の妹が初体験後に三ヶ月来ないことがあって、そんなものだと思って放置していた。妹はただホルモンバランスの変化で止まってただけだったけど…。
私が、妊娠…。私、ちゃんと女性なんだな、とようやく受け入れて。その途端、隊長に愛されてることを自覚して。さらに、自分も愛してしまってることにも、自覚して。
今更ながら、トキメキが襲ってきて、隊長の顔をまともにみることが出来なくなった。隊長には、匂いでバレてるらしく。顔を背けていても、
「照れてんのか?かーわい~ヤツめ♥️」
って。赤面してしまう。
色々、覚悟が決まってなかったみたい。
母からは、高笑いされた後。
「ほほほ。気付くのが遅すぎてよ。」
とだけ言われた。
まさか、私が独身を貫けるようにするためにすでに偽装結婚してたとか、相手が英雄で実は隊長が夫だったとか。母の掌で躍らされてた感じがひしひしとするけれど。
私は、英雄に食べられましたが、とても幸せです。
完
やたらと構うし、背後から抱き付いたり、たまに匂いを嗅がれたり。良く食事にも誘われる。けど、場所をもう少し考えてほしい。隊の食堂とか下町の飲み屋とかで、あーんしようとするのはあまりに場違いすぎるだろう。隊員に言わせると、自分のホームで囲いたい願望と求愛給餌らしいのだけど。
困った。本人的には口説いているつもりらしいけど、大型肉食獣に懐かれたとしか思えない。今までは少し下、今はエサをくれるお気に入りくらいにランクアップしたような感じというか…。懐かれて悪い気はしない。でも、隊長が求めているのは男女の関係で。受け入れるのはこわい。
そんなある日。珍しく兄と出くわした。しかも、私に気付いたみたいだ。認識阻害してたのだけど、さすが兄だ。久しぶりに皆と食事することになり、家族で楽しい時間を過ごせた。母には意味ありげに微笑まれた…。
「あまり焦らしてると、後が大変よ?」
絶対、楽しんでるんだろうな…。
…?隊長がいつにも増してベタベタしてくる。
「ご機嫌だな?」
「ええ。皆で食事するのは久しぶりでしたから。」
「・・・皆?・・・二人きりではなかったんだな。」
-何か、抱き締める強さがいつもより強い…?
「・・・?そうですが・・・?」
あれ?何か、ヤバいふいんきが(混乱中*誤字ではありません。)
「なあ。ナディル。
理性なくして襲われんのと、受け入れて大人しく抱かれるの、どちらを選ぶ?」
身体が強ばる。あの日の記憶が甦る。…嫌だった訳ではない、自分でなくなるような気がして、ただこわかっただけ。ふるえて、でも、確かに求める気持ちもあって。
隊長に強く抱きすくめられた後。拐われるように、隊長の自室に連れ込まれた。
そこからの記憶はほとんどない。
隊長にたくさんの愛をぶつけられたことと、名前を呼んだこと。それから、初めて本当の名前を呼んでもらったこと。
朝起きたら、身動き出来ないほどに疲れはてていて。
「小出しにしねえとヤバイからな?」
って、耳元で囁かれた。しかも、カラダが反応してしまい。また、食べられるはめになったのだった。
まさか、妊娠していたなんて…
確かに、その兆候はあった。生理が半年来てない。
前世の妹が初体験後に三ヶ月来ないことがあって、そんなものだと思って放置していた。妹はただホルモンバランスの変化で止まってただけだったけど…。
私が、妊娠…。私、ちゃんと女性なんだな、とようやく受け入れて。その途端、隊長に愛されてることを自覚して。さらに、自分も愛してしまってることにも、自覚して。
今更ながら、トキメキが襲ってきて、隊長の顔をまともにみることが出来なくなった。隊長には、匂いでバレてるらしく。顔を背けていても、
「照れてんのか?かーわい~ヤツめ♥️」
って。赤面してしまう。
色々、覚悟が決まってなかったみたい。
母からは、高笑いされた後。
「ほほほ。気付くのが遅すぎてよ。」
とだけ言われた。
まさか、私が独身を貫けるようにするためにすでに偽装結婚してたとか、相手が英雄で実は隊長が夫だったとか。母の掌で躍らされてた感じがひしひしとするけれど。
私は、英雄に食べられましたが、とても幸せです。
完
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