sebunzu警備員の日常

雨木

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長期戦は不得手なのですが、

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次の日、ホルス神との戦争がとうとう開始されようとしていた。
昨日、あんなにどんちゃん騒ぎをしていたバアル神達も気を引き締め、鎧を身につけていた。
そんな中、スロウスはセト神を探していた。
「…あ!!セト様、セト様ちょっと今、よろしいでしょうか?」スロウスはセト神を見つけると、とたとたとセト神に駆け寄った。
「ん?ああ、大丈夫だ。どうした?人間。」セト神はスロウスに声をかけられた時に、スロウスの話を聞きやすいように屈んだ。
「すいません。セト様、忙しい時に、これを持っていて下さいませんか?」スロウスは懐から、十字の赤い血でできているようだが、とても透明で綺麗な物体をセト神に渡した。
「あ?お…おう…?」セト神は戸惑いながらもその透明な物体を受け取った。
「ありがとうございますセト様。」セト神が物体を受け取った事を確認するとスロウスはお辞儀をして、中庭へ戻り武器類の準備をし始めた。
セト神も物体を懐へしまい、自分も武器類の準備をし始めた。
戦争の場所は、平地だった、荒れ果て、動物が居ないようなとても寂しい、枯れた野原だった。
「…バックアップ君、プライドの正確な位置は?」スロウスがバックアップへ呼びかけると、すぐに応答が帰ってきた。
『プライドさんは恐らくあちらの大将、ホルス神の護衛についているかと、あちらの兵士に比べてこちらの兵士は戦いに不慣れそうな人が多いので、あちらの兵力を十二分に削ってからプライドさんを攻めましょうスロウスさん。』バックアップはそう告げると、索敵に集中する。と言って戻って行った。
「セト様あまり前に出ないようにしてください。」スロウスがセト神に言うと、セト神はスロウスにすかさず反論した。
「俺は1番上だ、だからこそ前に出る。それにホルスの相手は俺がしねえとな。後始末はしっかりするさ。」セト神がスロウスに言う。
「…了解致しました。お勝手にどうぞ、セト様、私は雑兵の処理をしますので、どうぞ思う存分最前線で戦ってくださいませ。」スロウスが、干将莫耶を構えながら言った。
セト神がスロウスに返事をすると同時に、戦争の始まりの鐘が鳴った。
まだ1キロほど離れている敵陣の前線へスロウスは思いっきり突っ込んだ。
雑兵を蹴り飛ばし、四方八方向かってくるものを片っ端から斬り伏せ、敵の雑兵の陣形をぐしゃぐしゃに掻き乱した。
「く…くそおおおお!!化け物があぁぁぁぁ!!」しばらく戦っていると、1人の剣兵がスロウスの後ろをとり、後ろから切ろうとした。
すると、バックアップがスロウスに後ろから切りかかってくる事を告げた。
スロウスはバックアップに従い、干将を後ろから切りかかってきた剣兵に振り向きざまに袈裟懸けに斬り、蹴り飛ばした。
確かにsebunzuのバックアップは凄い。
敵の情報や手の内なども読めるし、敵兵の数、戦力差なども割り出してくれる。
が、バックアップがスロウスに出来ることと言えば、せいぜい敵の把握と敵がどこから来るかを告げるだけだ。
現地で背中を預かる訳では無い。
しかし、スロウスがバックアップからの指示をここまですんなりと理解し、迷うことなく実行出来るのは、肉体は預けられなくとも精神を、心をバックアップに預けているからである。
戦場での生死を分けるのはどうやって反応し、切り返すかと言う事だ、だが、戦場で1人で戦うなど、どんなに訓練された軍兵でも、少しは戸惑いが出るだろう。
そして、その戸惑いが命取りになる。
スロウスそれを承知の上で戦場へ出ている。
スロウスは、戦場で死ぬならそれも仕方ないと割り切っている。
その事はsebunzuの面々は全員、周知の事実だった。
しかし、バックアップの面々は、スロウスが自分たちにスロウスの精神を、心を預けている事を知っている。
そして、スロウスの精神と心を預かっていることに誇りをもっているのだ。だからこそ、バックアップは全力でスロウスを生還させるためにサポートをしている。
『スロウスさん!!大量の矢の雨が来ます!!』バックアップが、スロウスへ伝えると、スロウスは斬り伏せた雑兵の死体を盾にし、弓矢の雨を防いだ。
あまり長期戦が得意ではないスロウスは息がだんだんと上がって来ていた。
スロウスは弓矢の雨を利用して、防いでいるうちに、息を整えようとしていた。
しかし、最後の抵抗とも言わんばかりに力を振り絞り、地面に倒れている雑兵がスロウスに切り傷を負わせた。
「っ…」スロウスが切り傷からの鈍い痛みに顔を一瞬歪めた。
『スロウスさん!!大丈夫ですか?!その剣には毒が!!』すると、切り傷を負わされた剣に、毒が塗ってある事に気がついたバックアップが焦り出した。
「落ち着いて、そこまで強い毒じゃない、大丈夫。」スロウスが雑兵の頭に莫邪を突き立てながらバックアップを冷静にさせるようにわざと冷たい声でバックアップに告げた。
『…』バックアップが浅く深呼吸をし焦りを落ち着けた。
『分かりました。今スロウスさんは恐らく3割ほど削りました。最前線ではセト神様達が戦っていますが押され気味です。城壁を使った方がいいのでは…?』バックアップがスロウスに城壁の使用を推奨した。
「私は、あなた達バックアップに背中を預けている。だから、任せるよ。」やっと弓矢の雨が止むと、スロウスは盾にしていた雑兵の死体を投げ捨て、最前線へ走り出した。
『…っ!!スロウスさん!!最前線での城壁の使用を推奨します!!』バックアップが走り出したスロウスに言った。
「了解。」スロウスは敵の雑兵を斬り伏せながらセト神の元へ向かった。
『スロウスさん!!セト神目視まで後5mです!!』バックアップがスロウスへ告げる。
「ん、了解。」スロウスは返事をすると、さらに走るスピードを上げた。
すると、最前線で戦っているセト神達が見えた。
……全員ボロボロだ…しかも、負傷者達を庇ってるし、見捨てれば反撃なんて簡単なのに…「…やっぱり優しい神様ですね。」スロウスは少し口元を緩め、嬉しそうに呟いた。
スロウスはセト神が相手をしている神の腹へ飛び蹴りを入れた。
「なっ…人間?!」セト神が驚いたようにスロウスに向かって声を上げた。
「話は後です!!セト様アレは?!私に投げてください!!」スロウスが敵と応戦しながらセト神に声をかける。
「あ…ああ!!」セト神は懐に入れていた、あの赤い物体を取り出しスロウスへ投げた。
思ったより高く飛んだ物体を取るためにスロウスは敵の雑兵を踏み台にして飛んだ。
スロウスは、物体を手に取ると、口にくわえ、噛み砕いた。
『城壁、正常に動作を開始します!!』バックアップがスロウスへ告げる。
すると、スロウスの足元から平地を大きく横切る、セト神達より数倍近く高い城壁が出来上がった。
「城壁、正常動作を確認した。」スロウスがバックアップへ正常動作の確認をしたことを告げる。
『まだ試作段階でしたけど上手く行きましたね!!』バックアップの面々が歓喜のあまり半ば叫びかけで言った。
スロウスはバックアップの歓喜の声に反応せず、間髪入れずに、壁の近くにいる雑兵と神々に機関銃を撃ち、城壁から遠ざけた。
「バックアップ!!けが人の手当を優先!!悪魔達の統括とその指示を頼んだ!!」スロウスが城壁の上に自身の血液を散らすと、散った血液から禍々しい悪魔達が生まれでた。
数にして50体程だった。
『了解しました!!』バックアップに1人だけ担当を残し、他のバックアップ員はスロウスの血から生まれ出た悪魔達への統括と指示へ向かった。
「ベルフェゴール!!ちょっと敵の雑兵さんに疫病をプレゼントしてきて下さい!!」スロウスは一際大きな血溜まりを作り、ベルフェゴールに呼びかけた。
すると、スロウスが声をかけた一際大きな血溜まりからベルフェゴールと思われる老人が出てきた。
「仕方ないのぅ…どれどれ行ってくるかな。」老人は、そう言うと、手に持っていた杖を高く振りかざし、敵の雑兵達へと振り下ろした。
すると、ベルフェゴールが振り下ろした杖の先から黒い煙のようなものが漏れ出て、地上にいる、敵の雑兵達を覆った。
黒い煙を吸った雑兵達は苦しげに呻きだし、1人、また1人と倒れだした。
敵の神々は何故だどういう事だと焦り始めていた。
このまま雑兵達を全滅させようとしていた矢先、ベルフェゴールの眉間にグサリと、どこからか飛んできたミニナイフが刺さり、ベルフェゴールは倒れた。
「…戻っていいよベルフェゴール、流石だねプライド、近距離特化型のクセに投擲は結構上手いんだから。」スロウスはそう楽しそうに呟くと、ミニナイフが飛んできた方向を睨んだ。
その視線の先には、プライドが居た。
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