【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

シロ

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一章 始まりの街

22 いざ、迷宮攻略へ:Ⅲ

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 レアガチャチケットを使い、ガチャを10回分引く。これで大した物が出なかった場合、金輪際ガチャを引く事はないだろう。当たりの無い博打など、やる価値は無い。

 チケットを消費すると、ウィンドウに演出が起こり始めた。
 ウィンドウ内に、一昔前のガチャ箱。所謂ガチャポンマシンが現れる。そこから銅、銀、金、そして虹といった様々な色の玉が合計十個排出された。

 画面が移り、玉の中に入っていた景品の結果が映し出される。

―――

銅:精霊石(火)1個
銀:スキル『石化耐性』Ⅰ
銅:枯木の弓
銅:下級魔力回復魔法薬5個
金:黒炎雷斧槍ブラックサンダレーメ
銅:スキル『弁明』Ⅰ
銀:スペル『土壁アースウォール』Ⅰ
銅:鋼鉄塊1個
銅:魔鉄1個
虹:ユニークスキル『電光石火』

―――


「なッ……!」

 オレはそう息を漏らすのが誠意一杯だった。

(何だこれは!?)

 アイテムのみならず、スキルやスペル、この調子ならばアーツすらも何ら努力も必要なく獲得できてしまうこの機能。

 これが驚かずに居ていられるか。

 そして最後の虹、予想だにしていなかったユニークスキルだと。余りにも強力な力に、戸惑いを隠せない。

 不安になり、『スキルコレクター』のような代償がないか身体を確認するが、これといった違和感は無かった。

 ということは、これは完全なる運で構成されている機能だということか。
 代償はなく、引くのに必要なくモノをただ消費するだけで、排出されたモノは幸運で決まってしまう。

 理解は出来なくもないが、未だに信じることは難しい。やはり、代償などを疑ってしまう。
 素直に信じる事ができないのは、オレが捻くれているからだろうか?

 ステータスを確認すると、確かに先程ガチャで獲得したスキルはステータスに記載されている。

 試しに、先程獲得したスペルを発動して見る事にした。何気に初の魔法だが、恐らく大丈夫だろう。
 スペルを思い浮かべると、自然と詠唱が頭へ浮かぶ。それをオレは口に出して唱えた。

「『大いなる大地―壁となりて全を守らん』“土壁アースウォール”!」

 すると、目の前の大地に魔力が迸り、その形を変形させていく。僅か数瞬にして目の前に、数メートルにもなる大きな土の壁が作り上げられていた。

「……ふむ」

 MPの消費はアーツよりは少し多めの15といったところ。しかし、自然回復や『MP回復速度上昇』の効果によりすぐさま回復する。

 初の魔法だったが、問題無く発動する事が出来た。そして、それに伴いガチャの機能も確かである事を。

 獲得できる品は完全にランダムだが、スキルやスペル、アーツを無条件で獲得できる誘惑は大きい。
 そして何より、今回獲得したようにユニークスキルも手に入れられるのは、十分な理由足り得る。

 オレの中で、ガチャを今後も引き続けることが決定した。





 先程ガチャで獲得したアイテム類は、全てストレージへと収納されていた。ログインボーナスも同じくである。
 一先ず、気になっていた『黒炎雷斧槍ブラックサンダレーメ』を取り出す。

 ストレージから取り出され、現れたのは漆黒を思わせる黒く禍々しい形をした斧槍だった。ニメートルはある長物で、穂先は鋭く尖っており、斧の刃を小さくしたモノが横へ取り付けられている。
 持ち手以外の部分は、刺々しく茨のような形をしていた。刺さったら痛そうだ。

 この武器からは、まるで呪いの武器かのような存在感を感じる。
 早速この武器を手に取り、解析を行ってみた。

黒炎雷斧槍ブラックサンダレーメ
黒き雷と炎を纏う斧槍。魔力を込めればその威力は増大し、雷と炎は敵を全て焼き尽くさん。
炎雷の勇者が手にし、堕ちた成れの果ての武器である。
性能:STR+85 VIT+35 黒き炎雷 不壊

 ……チートな性能にも程があるな。

 それにしても、勇者の武器の堕ちた成れの果てとは、また大層なものだ。呪われていそうではあるが、何らバットステータスはない。

 試しに握って魔力を込めてみた。

――ボッ!バチバチ!

 穂先から黒炎が溢れ出し、それを包むかのように黒雷がバチバチと音をたて纏雷した。

「おお……!」

 その厨ニ心を擽るような格好良さに、思わず声が出た。斧槍を振ると、それに追従して黒炎と黒雷が跡を作るので、これで演舞をすれば中々に幻想的な光景になるだろう。

 無論、オレは演舞など踊れないが。

 一つアイデアが思い浮かび、安全性を確認した上でそれを実行へと移した。

 先ずは黒炎雷斧槍ブラックサンダレーメへ魔力をチャージする。そして『魔力操作』と手動で、遠巻きに見ていたホブゴブリンの部隊へ照準を合わせた。

【『照準』Ⅰを獲得】

 後は簡単、一直線へとチャージした魔力を解き放つのみ。イメージをより強固にするために、オレは詠唱のように呟いた。

「“開放リリース”」

 黒炎雷斧槍ブラックサンダレーメに貯められた魔力は、突きを放つと同時に、黒き炎雷の光線とかし、物凄い速さで一直線にホブゴブリンたちへ向かって行った。
 当然避けられる訳もなく、ホブゴブリンたちは直撃を食らった。

 その場で、物凄い爆発が起きる。周囲の草は黒炎で焼かれ、ホブゴブリンたちへ一直線に、綺麗な黒炎の跡が残っていた。
 爆発が起きた場所はもっと凄い。未だ黒い電流の残滓が飛び散り、危なくて近付けもしない。

 死体はドロップアイテム諸共消え去っていた。

「これは……使いどころには注意すべきだな」

 思わずそう呟いた。
 魔法の種類が増えただけでも、確かな戦力アップへ繋がるが、これほどのモノだと逆に扱いづらい。

 とはいえ、万が一の為の保険が出来たと思えば良いのだが。するとその為には、『斧槍術』も上げておく必要があるだろう。
 暫くはこの階層で、この斧槍を慣らす事にする。


【経験値を獲得】
【解析完了】
【スペル『水波ウォーターオンダ』Ⅰを獲得】
【レベル20→21UP!】
【『斧槍術』Ⅱ→ⅣUP!】





 流石にレベルが下の相手には、自身のレベルも上がりにくくなってきたが、『斧槍術』のスキルはそこそこレベルが上がった。
 手にも馴染んだし、長物特有の扱いにも慣れた。これならば実戦でも使えるだろう。

 とはいえ、今はまだ相棒の小太刀とダガーがあるので、それでも勝てない敵にあった時のみ使うようにしよう。オレはそう決めた。
 無論、そんな日が来なければ良いのだが。

 ちなみに、残っているレアガチャのチケットは使っていない。いつかのために保存しておく事にした。
 それに、またログインボーナスで貰うこともできるだろう。ガチャを引くのは余裕が出来てからでも遅くは無い。

 時間を確認すると、丁度昼時でお腹も空いていた事もあり、簡単な拠点を作成した。とは言っても、調理ようの料理器具やテーブルを広げたりする程度だが。

 素早くそれらも終え、ショップで食材を購入して料理を開始する。何か新しい情報に疲れたので、今回は手抜きだ。
 フライパンに雑に油をしき、下拵えもほどほどに肉をぶち込む。そこへタレを掛け、上手く頃合いを見計らって肉を焼き上げた。

 今回は米でなく、手間の掛からない白パンだ。肉と僅かなレタスやマヨネーズを間に挟み、サンドウィッチ風にして頂く。

【『調理』Ⅰを獲得】

 経験値が溜まり、スキルも獲得できたようだ。嬉しさを覚えつつ、特製サンドウィッチへ齧り付く。
 味は極上だったとだけ記しておこう。





 腹拵えも済んだことなので、そろそろ下層へ向かおうと思う。早く攻略するつもりだったが、新しいことが多く些か時間を潰し過ぎた。
 午後はもっとハイペースで進んで行く事にする。

 オレは腰に差してある小太刀とダガーを確かめると、四層へ向かう階段を降りていった。




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