【スキルコレクター】は異世界で平穏な日々を求める

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一章 始まりの街

23 いざ、迷宮攻撃へ:Ⅳ

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 『樹林の自然』の四層目は、ジャングルのような密林だった。足場が悪く、ジメジメとしている。
 ここで野営をするには、向いていない地形なのでどうにか今日中には抜けたい。

 早速攻略を開始した。

 MAPを確認しつつ、道なき道を進んで行く。そこへ、『罠察知』が発動した。
 慎重に確認すると、目の前に落とし穴が隠されたように配置されてある。落とし穴の中を除くと、尖った竹のような植物が奥底で待ち構えていた。

 なるほど、この階層からは罠があることも視野に入れていかねば。
 『罠察知』をフル稼働させ、より一層気を引き締める。

 罠の数こそ少ないが、一つ一つ手が込んでおり、まあまあの脅威なりえる。オレは慎重に進んでいった。

 そこら辺の草木を確認すると、目新しい素材も多くあるので採取をしておいた。後で新しい魔法薬でも作ろう。

 そうしている内に、四層初のモンスターと遭遇する。『解析眼』で判明した種族名は『ファンガス』。肌が爛れる胞子を撒き散らし、呼吸困難にさせ殺すモンスターらしい。

 近付かないように針で止めを刺そうと思ったのだが、魔法があった事を思い出した。この際だ、ばんばん使って行かねば。

 胞子をなるべく撒き散らさない為にも、水系統の魔法を使う。
 スペルを思い浮かべ、詠唱を唱える。

「『流れ行く水―我が手に謁見し―敵を穿て』“流水弾アクアバレット”」
「プシュ!?」

 空気の抜けるような音と共に、放たれた水の弾はファンガスを穿った。飛び出そうになった胞子も、水を吸って飛び散ることは無い。

【経験値を獲得】
【解析完了】
【『散布』Ⅱを獲得】

 無事、倒す事ができた。何やら使い道が良く分からないスキルも得られたが、まあ良しとしよう。

 それにしても魔法は、使い勝手が良い。今後、魔法を主体とした戦い方も考える必要があるだろう。

 オレはそう思いつつ攻略を進めた。魔法を使って攻撃すればスキルレベルアップへ繋がるし、魔法の扱いにも慣れることができる。一石二鳥だ。

 武器を抜くことなく、サクサクと四階層の攻略は進められた。


【経験値を獲得】
【解析完了】
【『植物魔法』Ⅱを獲得】
【スペル『植物操作プラントコントロール』Ⅰを獲得】
【『偽装』Ⅱを獲得】
【レベル21→23UP!】
【『水魔法』Ⅱ→ⅢUP!】
【スペル『水流弾アクアバレット』Ⅰ→ⅡUP!】
【『風魔法』Ⅱ→ⅢUP!】
【スペル『風刃撃ウィンドスラッシュ』Ⅰ→ⅡUP!】





 MPに任せ、魔法を乱用出来るので態々わざわざ動く事も無く、非常に楽で良い。
 途中、植物を操って襲って来るモンスターも居たが、中々に良さ気なスキルを得る事ができた。確かにこの密林では、この魔法は強力だろう。
 襲って来た蔦は、『風刃撃ウィンドスラッシュ』で切り刻んで終わったが。

 本体は『偽装』を使って隠れていたが、MAPで位置はモロバレだった。サクッと魔法で撃ち抜いて終わりである。

 約二時間ほどで、四層は走破出来た。軽い足取りで五階層へと降りていく。
 今日はあともう一層攻略しておきたい。

 五階層景色は、丘陵地帯と言うのが正しいのだろうか。山よりも小さいなだらかな小山が、幾重にも列なっている。
 ここでの階層では、オーガが多く存在していた。

 一個体でDランク冒険者の上位、下手をすればCランク冒険者に匹敵するほどのモンスターだ。それぞれが単鬼で彷徨いている。

 ここでは隠せる場所もなく、罠は無いだろうと判断し、一直線で突っ切る事を決断した。

 一先ず目に見える範囲で一番高い小山へと登る。MAPで階段の方向を確認すると、『疾走』も発動させその方向へ駆け抜けた。

 小山をスライディングのように滑り降りながら、平地へ着くと駆け出す。それを繰り返し行い、オレは走り続ける。
 途中、オーガが襲って来ようとしたがレベルも上がり、ステータスが尋常では無くなっているオレに追いつける訳もない。

 どんどん距離を離されて終わる。それでも、進行方向にいるオーガは走っている勢いを利用して、跳躍して頭へ小太刀を刺して殺したり、通り魔のように首を切り落としたりなどなど。
 特に問題にはなり得なかった。

 余談だが、オーガは茶色い肌をした額に角のある鬼で、ゴブリンらよりも大剣といった大物の装備を持つ者が多い。

 数体ほどしか遭遇エンカウントせず、あまり収穫は無いまま五階層は終わった。


【経験値を獲得】
【解析完了】
【『斧術』Ⅱ→ⅢUP!】




 六階層は一階層と同じまたもや洞窟、どうやらレパートリーを一周してきたようだ。
 しかし、難易度は全く持って異なる。

 罠は増え、それも凶悪なモノが多い。それにモンスターの数も増えている。一先ずオレは、罠を気をつけながら慎重に進んだ。

 暫くすると、二体のモンスターが近付いてくる。気配を殺し、フードを被って辺りの暗闇と同化する。
 『神隠しの面』や『偽装』、『潜伏』の効果も相まって、モンスターに気付かれる事はなかった。

 現れたのは、二体の黒い狼。ブラットウルフかと一瞬思ったが、どうやら違うようだ。
 狼の姿をしているが、輪郭は朧げで、定まっていないように思える。

 『解析眼』によると、相手の種族名は『シャドウ・ウルフ』。文字通り影で構成された狼のようだ。
 試しに、特製神経毒を塗った針を同時にシャドウ・ウルフへ放つ。

「《多数投擲マルチスロー》」

 放たれた毒針は、寸分違わずシャドウ・ウルフへ刺さるかに思われた。
 しかし、針はシャドウ・ウルフを通り抜け、奥の壁へと当たる。

「なっ!?」

 驚きに声を上げるが、こちらの存在に気付いたシャドウ・ウルフが駆け寄ってくる。すぐさま、応戦を構えた。

 すぐ側まで駆け寄ってきていたシャドウ・ウルフを、小太刀で袈裟懸けに斬る。しかし、先程の針同様、オレの攻撃はシャドウ・ウルフをすり抜けた。

【解析完了】
【ユニークスキル『影化』を獲得】

「グラァアウ!」

 突如表示されたログに、驚きを隠せないが、考える隙を与えずシャドウ・ウルフがご自慢の牙で噛み付いてこようとする。

 『回避』を用いて何とか避け、バックステップで距離を取った。

 先程獲得したユニークスキル『影化』。おそらくこれはシャドウ・ウルフ特有のスキルではなかろうか?
 それすらも解析して獲得出来るとは、恐るべし『解析眼』。

 それにしても、先程の戦闘で把握出来た内容は物理攻撃が全く効かないという事か。

 ならばと思い、オレは唸り声を上げてこちらを睨んでいるシャドウ・ウルフへ魔法を放った。

「『礫は空を飛び交い―我が意に従う』“石礫ロッククーゲル”」

 『土魔法』によって放たれた『石礫ロッククーゲル』は、シャドウ・ウルフへと命中する。

「キャイン!」

 情け無い声と共に、当たったシャドウ・ウルフの影は霧散していった。

(何だこれは?魔法に異常に弱いぞ?)

 思わずそう思う。だが、改めて考えれば均衡は取れていた。物理が全く効かず、魔法も効き目薄となれば、ただのチートモンスターだ。
 仲間の死を見て引け越しになったシャドウ・ウルフにも魔法を放つと、一発で霧散していった。

 その呆気なさに、少し呆然とする。

 とはいえ、弱点を見つけられたことはラッキーだった。
 段々とドロップアイテムやお金の価値が上がっていっている事に嬉しく思いつつ、ストレージへと回収して先へと進んだ。


【経験値を獲得】
【解析完了】
【『影魔法』Ⅲを獲得】
【スペル『影槍シャドウニードル』Ⅰを獲得】
【レベル23→24UP!】
【『罠解除』Ⅰを獲得】
【『立体機動』Ⅰを獲得】
【『壁走り』Ⅰを獲得】
【『魔纏法』Ⅰを獲得】





 あの後もシャドウ・ウルフと戦っていく内に、より弱点の詳細も確認する事ができた。
 どうやら『影化』は、魔力の篭った攻撃に対し大ダメージを受けるらしい。
 試しに小太刀に魔力を込めてシャドウ・ウルフを攻撃したら、スパッと斬れた。その際に、ゴルーダルと同じ『魔纏法』を獲得できたのは僥倖だった。

 試しに、オレも『影化』を発動させ、魔力を込めたダガーでスキルの発動前と後で指先を切ったHPの減り具合を確認したのだが、断然発動後の方が減りが大きかった。
 どうやら弱点も受け継いでいるらしい。これは仕方ないと言う他無い。

 ちなみに『影化』の発動中は衣服なども効果範囲に含まれるので、靡いていた影のコートが地味に格好良いと思ってしまったのは秘密である。

 しかし、この階層では思いの外罠に時間掛かってしまい、次の層へ行くには遅い時間となってしまった。
 仕方なくオレは、下の層へ繋がる階段付近の行き止まりの道の奥で休む事にした。これなら一方向からの襲撃に注意するだけで済む。

 適当な夕食を取り、テントを張って『不完全睡眠』のスキルを活用しながら、オレは一日を終えた。





【『不完全睡眠』Ⅰ→ⅡUP!】
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