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幼少期
王妃教育のために新たに先生が追加されました
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お手製の化粧品をモニターとして使っている母に王都へ行くと手に入らないかも~と吹き込んだら、私の王都行きに難色を示した。
私が化粧水・乳液・保湿液・洗顔石鹸やメイク落とし用のオイルを趣味の片手間で作っていて、商品化を目指していたのだ。
広告塔になって貰おうと思って試行錯誤しましたよ。
以前にも増してお肌の調子が上がったようです。
モニターをして貰ったので、母の口利きでなければ売らないというスタンスで活路を見出そうとしていた時の婚約&王妃教育だったので怒りました。
人の研究の邪魔すんなよ、というのが私の本音です。
美形の父に美人な母のハイブリットなので、私も美幼女です。
上には上がいるので上はみませんが、化粧をすれば傾国妃くらいには出来る顔立ちだと思います。
父に発毛剤と育毛剤のサンプルを渡して買収しました。
相当ハゲに悩んでいたんでしょう。
脳内で私を王都へやるメリットとデメリットを考えれば、デメリットの方が大きすぎると分かったようで何よりです。
しかし、王妃教育は残念ながら逃れるわけにはいかないので新たな家庭教師が付くことになりました。
これ以上は要らないと言いたいが、言ったところで私の意思など綺麗に無視されるでしょう。
バーバリー伯爵夫人の従妹だという、エミル・アンダーソン侯爵夫人だった。
元々は現陛下の后候補の一人で、立太子され正式な婚約者が決まっても王妃教育は終わらなかった不遇の人である。
理由は、婚約しても婚約者に問題あり・矯正の余地なしと判断された場合は挿げ替えることがあるからだ。
結局、王妃様と婚姻が決まりお役御免になったアンダーソン侯爵夫人は幸いとばかりに好きな人に売り込んでスピード婚を実現させた猛者である。
アンダーソン侯爵夫人以外に複数王妃教育を受けている人が存在するとのこと。
その中で一番優秀で国に利益を齎す女性が王妃にと選ばれるため、そこに個人の意思は皆無だという。
貴族間の結婚でも同じだと思うが、王家に嫁ぐよりも百倍マシらしい。
「エリザベートより話を聞いている限り、ギリギリ及第点と言ったところかしら。常に誰かに見られているという意識をもって行動しなさい」
「はい。一つ思うのですが、家族の前でもですか?」
「そうです」
「それでは、家族間に確執が生まれると愚考します」
「……いつか嫁ぐ身なのであれば、気にすることではありません」
アンダーソン侯爵夫人は、言葉に詰まったが直ぐに持ち直した。
手強いな。
「ご時世、嫁いで出戻りするパターンは過去の文献にもありました。理由は様々ですが、夫有責で三行半を言い渡し慰謝料をガッポリせしめた後は、どうやって生きて行けと? 家族間を良好にする必要はあると思います。夫の裏切りに傷心して枯れるように死ねと仰りたいのであれば、それが王妃教育の真髄なのですね」
駆け込み寺が修道院は嫌でござる!
だって何もないうえに、質素で日々食べるものに困る。
何よりユーフェリアを信奉するのが嫌だ。
偉人をなした聖女かもしれないが、今はただの金食い虫でしかない。
教会では鑑定石で鑑定するらしいが、道具に頼らず鑑定出来る方法を模索したら鑑定出来ましたとも。
目に入る物の情報処理を繰り返すると鑑定が出来る仕組みなのだが、レベルが低い内は『石』『壁』『服』といった簡単な物しか分からない。
魔力も使うので、コントロールが上手く出来ないと膨大な量の情報が頭に流れ込んできて痛い。
魔力コントロールに鑑定魔法を使うことで、実害が私以外に出ないように頑張った。
頑張りました! 重要なので二回言いました。
「リリアン様、それは極論でしてよ。何故、別れるのが前提なのでしょうか?」
「最悪の事態を想定して動くことが、生きていく上で重要だと判断致しました」
それは日常生活でも仕事でも思わぬリスクを負う時があるのだ。
リスク回避のために努力を怠るのは、愚か者がすることだ。
後百年ほどで滅亡する世界をどうにかしないと、私の異世界スローライフは完成しない。
私は、スミス先生のようにバンバン魔法を使って大賢者の称号を手に入れたい。
世界各国津々浦々を回って珍しい物を色々仕入れて商売をして生計を立てても良いと思っている。
王妃になる気は、一ミクロンもないが姿勢は大事なのでやりますよ。
最低限のことだけは。
「貴女は、次期王妃になる方です。これは国が決定したことで、貴女個人の意見はまかり通りません」
「それは存じ上げておりますが、殿下があの調子で成長されたら国の未来は暗雲が漂うでしょうねぇ」
「……」
アルベルトの事を引き合いに出したら黙った。
彼女もアルベルトの悪評は届いているらしい。
寵姫と陛下に甘やかされて育ち傲慢さが成長することに増している顔だけ王子。
そこに出来の良い女を宛がわせてアルベルトの手綱を握りながら、国の政務を行うという苦行を強いられると思うとヘドが出る。
現在の王妃様も私と同じ立場にいて親近感が湧くわ。
個人的には、王妃様に王女か王子を生んでもらわないと困る。
うちの弟妹は跡継ぎになるから、王妃を避けるとなれば王妃が生んだ子供が王位継承権第一位になる。
多分、馬鹿王子はそれすら分からないだろうが。
「私としては、王妃様と良好な関係を作りたいのですよ。正直申し上げてアルベルト様は、政務者には向きませんわ。是非とも王妃様にお子を授かって頂き、良き政務者として育てて頂きたいのですよ」
「…こんな幼子までに分かるとは。王家も落ちたものですわ」
ハァとため息を吐くアンダーソン侯爵夫人の手をガッチリ掴んで微笑んだ。
「実は、陛下と王妃様のために良い物が御座いますの。アリーシャ、あれを持ってきて」
「はい」
控えていたアリーシャにお茶とお菓子を持ってこさせた。
「この茶色い塊は?」
「チョコレートという食べ物ですわ」
すんっと匂いを嗅いで、おそるおそるチョコレートを口にするアンダーソン侯爵夫人。
目がカッと見開き、無言で食べている。
「口の中でホロッと解ける口当たりの良さに、甘味の中にあるほのかな苦み。これは癖になりそうね」
「食べ過ぎは良くありませんが、夜寝る前に王妃様と陛下で食べて頂ければ良い雰囲気になるのではないでしょうか? こちらの菓子は直射日光が当たらないひんやりした部屋に置けば日持ち致します」
名付けて、媚薬大作戦である。
男はサルだから、盛れば止まれない生き物だ。
本能を刺激させてあげれば、王妃に襲い掛かるだろう。
「そう上手く行くかしら?」
「王妃様とその側近しか食べられない物にすれば、良いのでは? 噂を流せば陛下の耳にも入るだろうし、寵姫の為に寄こせと言われても陛下自身が味を知らねば説明も何も出来ませんから一度は必ず食す必要がありましょう。そこを逆手に取れば良いのです」
化粧品と一緒に心付けで届ける予定だったしね。
「悪い話ではありませんね。実は、王妃様にお会いする機会があるの。これを少し融通して貰えないかしら」
アンダーソン侯爵夫人、チョコレートが気に入ったんですね。
分かります。
「構いませんよ。一言、チョコレートの出どころを私の家だという事を匂わせて頂ければ十分ですわ」
「ありがとう。助かるわ」
「いえいえ、こちらもメリットがありますので」
チョコレートなるものは、この世界にはない。
作る工程は手間がかかるし、お金もかかるが大事な武器の一つであることには変わりはない。
是非とも、私を王妃に売り込んでおいてくれたまえと心の中でつぶやいた。
私が化粧水・乳液・保湿液・洗顔石鹸やメイク落とし用のオイルを趣味の片手間で作っていて、商品化を目指していたのだ。
広告塔になって貰おうと思って試行錯誤しましたよ。
以前にも増してお肌の調子が上がったようです。
モニターをして貰ったので、母の口利きでなければ売らないというスタンスで活路を見出そうとしていた時の婚約&王妃教育だったので怒りました。
人の研究の邪魔すんなよ、というのが私の本音です。
美形の父に美人な母のハイブリットなので、私も美幼女です。
上には上がいるので上はみませんが、化粧をすれば傾国妃くらいには出来る顔立ちだと思います。
父に発毛剤と育毛剤のサンプルを渡して買収しました。
相当ハゲに悩んでいたんでしょう。
脳内で私を王都へやるメリットとデメリットを考えれば、デメリットの方が大きすぎると分かったようで何よりです。
しかし、王妃教育は残念ながら逃れるわけにはいかないので新たな家庭教師が付くことになりました。
これ以上は要らないと言いたいが、言ったところで私の意思など綺麗に無視されるでしょう。
バーバリー伯爵夫人の従妹だという、エミル・アンダーソン侯爵夫人だった。
元々は現陛下の后候補の一人で、立太子され正式な婚約者が決まっても王妃教育は終わらなかった不遇の人である。
理由は、婚約しても婚約者に問題あり・矯正の余地なしと判断された場合は挿げ替えることがあるからだ。
結局、王妃様と婚姻が決まりお役御免になったアンダーソン侯爵夫人は幸いとばかりに好きな人に売り込んでスピード婚を実現させた猛者である。
アンダーソン侯爵夫人以外に複数王妃教育を受けている人が存在するとのこと。
その中で一番優秀で国に利益を齎す女性が王妃にと選ばれるため、そこに個人の意思は皆無だという。
貴族間の結婚でも同じだと思うが、王家に嫁ぐよりも百倍マシらしい。
「エリザベートより話を聞いている限り、ギリギリ及第点と言ったところかしら。常に誰かに見られているという意識をもって行動しなさい」
「はい。一つ思うのですが、家族の前でもですか?」
「そうです」
「それでは、家族間に確執が生まれると愚考します」
「……いつか嫁ぐ身なのであれば、気にすることではありません」
アンダーソン侯爵夫人は、言葉に詰まったが直ぐに持ち直した。
手強いな。
「ご時世、嫁いで出戻りするパターンは過去の文献にもありました。理由は様々ですが、夫有責で三行半を言い渡し慰謝料をガッポリせしめた後は、どうやって生きて行けと? 家族間を良好にする必要はあると思います。夫の裏切りに傷心して枯れるように死ねと仰りたいのであれば、それが王妃教育の真髄なのですね」
駆け込み寺が修道院は嫌でござる!
だって何もないうえに、質素で日々食べるものに困る。
何よりユーフェリアを信奉するのが嫌だ。
偉人をなした聖女かもしれないが、今はただの金食い虫でしかない。
教会では鑑定石で鑑定するらしいが、道具に頼らず鑑定出来る方法を模索したら鑑定出来ましたとも。
目に入る物の情報処理を繰り返すると鑑定が出来る仕組みなのだが、レベルが低い内は『石』『壁』『服』といった簡単な物しか分からない。
魔力も使うので、コントロールが上手く出来ないと膨大な量の情報が頭に流れ込んできて痛い。
魔力コントロールに鑑定魔法を使うことで、実害が私以外に出ないように頑張った。
頑張りました! 重要なので二回言いました。
「リリアン様、それは極論でしてよ。何故、別れるのが前提なのでしょうか?」
「最悪の事態を想定して動くことが、生きていく上で重要だと判断致しました」
それは日常生活でも仕事でも思わぬリスクを負う時があるのだ。
リスク回避のために努力を怠るのは、愚か者がすることだ。
後百年ほどで滅亡する世界をどうにかしないと、私の異世界スローライフは完成しない。
私は、スミス先生のようにバンバン魔法を使って大賢者の称号を手に入れたい。
世界各国津々浦々を回って珍しい物を色々仕入れて商売をして生計を立てても良いと思っている。
王妃になる気は、一ミクロンもないが姿勢は大事なのでやりますよ。
最低限のことだけは。
「貴女は、次期王妃になる方です。これは国が決定したことで、貴女個人の意見はまかり通りません」
「それは存じ上げておりますが、殿下があの調子で成長されたら国の未来は暗雲が漂うでしょうねぇ」
「……」
アルベルトの事を引き合いに出したら黙った。
彼女もアルベルトの悪評は届いているらしい。
寵姫と陛下に甘やかされて育ち傲慢さが成長することに増している顔だけ王子。
そこに出来の良い女を宛がわせてアルベルトの手綱を握りながら、国の政務を行うという苦行を強いられると思うとヘドが出る。
現在の王妃様も私と同じ立場にいて親近感が湧くわ。
個人的には、王妃様に王女か王子を生んでもらわないと困る。
うちの弟妹は跡継ぎになるから、王妃を避けるとなれば王妃が生んだ子供が王位継承権第一位になる。
多分、馬鹿王子はそれすら分からないだろうが。
「私としては、王妃様と良好な関係を作りたいのですよ。正直申し上げてアルベルト様は、政務者には向きませんわ。是非とも王妃様にお子を授かって頂き、良き政務者として育てて頂きたいのですよ」
「…こんな幼子までに分かるとは。王家も落ちたものですわ」
ハァとため息を吐くアンダーソン侯爵夫人の手をガッチリ掴んで微笑んだ。
「実は、陛下と王妃様のために良い物が御座いますの。アリーシャ、あれを持ってきて」
「はい」
控えていたアリーシャにお茶とお菓子を持ってこさせた。
「この茶色い塊は?」
「チョコレートという食べ物ですわ」
すんっと匂いを嗅いで、おそるおそるチョコレートを口にするアンダーソン侯爵夫人。
目がカッと見開き、無言で食べている。
「口の中でホロッと解ける口当たりの良さに、甘味の中にあるほのかな苦み。これは癖になりそうね」
「食べ過ぎは良くありませんが、夜寝る前に王妃様と陛下で食べて頂ければ良い雰囲気になるのではないでしょうか? こちらの菓子は直射日光が当たらないひんやりした部屋に置けば日持ち致します」
名付けて、媚薬大作戦である。
男はサルだから、盛れば止まれない生き物だ。
本能を刺激させてあげれば、王妃に襲い掛かるだろう。
「そう上手く行くかしら?」
「王妃様とその側近しか食べられない物にすれば、良いのでは? 噂を流せば陛下の耳にも入るだろうし、寵姫の為に寄こせと言われても陛下自身が味を知らねば説明も何も出来ませんから一度は必ず食す必要がありましょう。そこを逆手に取れば良いのです」
化粧品と一緒に心付けで届ける予定だったしね。
「悪い話ではありませんね。実は、王妃様にお会いする機会があるの。これを少し融通して貰えないかしら」
アンダーソン侯爵夫人、チョコレートが気に入ったんですね。
分かります。
「構いませんよ。一言、チョコレートの出どころを私の家だという事を匂わせて頂ければ十分ですわ」
「ありがとう。助かるわ」
「いえいえ、こちらもメリットがありますので」
チョコレートなるものは、この世界にはない。
作る工程は手間がかかるし、お金もかかるが大事な武器の一つであることには変わりはない。
是非とも、私を王妃に売り込んでおいてくれたまえと心の中でつぶやいた。
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