42 / 181
幼少期
痩せたら美少女になったウンディーネ
しおりを挟む
結論から言うと、ウンディーネのダイエットには成功した。
無駄なぜい肉は取れ、スレンダーな美少女へと変貌した。
しかし、いかせん胸が小ぶりなのだ。
ノームはウンディーネの存在を疎んでいた為、ダイエットの過程を見る事すらせず屋敷に住む従者の部屋を転々と移動していた。
苦節1ヶ月で、ここまで劇的に痩せられたことが脅威である。
糖分や脂質の高いものを抑えたダイエット食は、元々人の食事を基礎に考えていたのでダイエットに悩める女性に大うけしてくれた。
また、運動方法もある程度痩せる間は水中歩行をさせた。
足に負担がかかるのを軽減するためだ。
後は、ぜい肉を筋肉に変更させるために前世の記憶で流行った何とかブートキャンプを試してみたらヒーヒー言いながら遣って退けた。
誰でも死ぬ気でやれば大抵のことはこなせる事を実証してくれて、デブ猫からスレンダー猫へと変化したが目つきの悪さは相変わらずだった。
食生活で肌質が改善されたが、老けて見えるのは肌の手入れが悪いからではと思い直し洗顔やスキンケアのイロハを叩きこんだ。
水を司る精霊だけあって、親和性があったのだろう肌は見違えるほど美しくなった。
ウンディーネから得られる水は、とっても美味しく何の用途に使っても上質なものを作り出してくれる。
「大分変ったけど、ノームの好みとは離れているなぁ」
「だから、嫌だったのに」
「でも、ノームに逃げられることは無くなったじゃん」
「そうだけど……」
「まあ、世間一般論で言えば綺麗だよ。ただ、ウンディーネに足りないのは『あざとさ』だと思う」
「あざとさ? 何それ」
あざといと言われても、日本語固有の表現なのでどう説明したら良いものか。
「ウンディーネはプライドが高くて近寄りがたい雰囲気が出ているの。その纏う空気を柔らかくするだけで好感度は上がるよ」
「よく分らないけど、そういうものかしら」
「まあ、実際に見て貰った方が早いか。明日、王城に行く予定があるから見せてあげるよ。擬態しなければ、他の人には見えないからね。王城にいる時は、声を掛けられても返事出来ないからね」
「ふーん」
興味があるのか、ないのかよく分からない返事を返され大丈夫かなと少し心配になった。
翌日、王城へ行って王妃教育を受けている姿を見せた。
ウンディーネは、家でいる時と王城にいる時の表情の差にドン引きしていた。
「これが、あざとさと言うの?」
とブツブツ呟いている。
王子と一緒の講義は、能面のようにスンとしている私に不穏なものを感じ取ったのか距離を置いて観察している。
帝王学や経営学、外交のための諸外国の歴史や言語を学ぶ間、私と王子の間にほぼ会話はない。
紙にカリカリと授業内容を要点を絞ってメモを取る私に対し、アルベルトはメモさえ取らずただ聞いているだけである。
「殿下、ナリス国最大の輸出品は何になりますか?」
「知らん」
欠伸をかみしめながら答えるアルベルトに対し、講師は私に同じ質問をしてきた。
「リリアン様、お分かりになりますかな?」
「通信魔法具ですわ。最近は、魔鉄道というものを開発したとか噂を聞いてますわ。もし、それが本当なら少し厄介ですわね」
「正解です。では、魔鉄道が厄介と思われるのですか?」
「魔法武装国家と名乗るだけあって、好戦的なお国柄ですわ。イーサント国の輸出品である鉱物が無ければ、ほぼ作れない代物ですもの。かの国に潤沢な資源がない為、もし戦争の準備を進めているとしたら我が国土を欲してもおかしくないのです。魔鉄道は、遠い場所をたった数時間で移動出来る大人数を運ぶ代物と聞き及んでいます。もし、それが戦争に使われたら物資や人材をたった数時間で移動させることが可能になるのですよ。我が国の機動力は、駿馬くらいですからね。到底太刀打ち出来ませんわ。空を飛べる道具を開発したら、それに対抗しうることが可能かもしれません」
国中に物資を運ぶためにはレールを蜘蛛の巣のように張り巡らせる必要があるだろう。
それこそ莫大なお金がかかるので、精々重要な場所に最低限の魔鉄道のレールを引くとは予想している。
今は良好な関係を築いているが、いつ悪化するかも分からない現状は感化できない。
文明の進化は、戦争するための道具を開発した産物で成り立っているようなものである。
折角転生したのに、戦争とかごめんだ。
「素晴らしい!! 流石はリリアン様ですね。どこから情報を仕入れてくるのか不思議です」
講師の賛辞に、私は張り付けた笑みを浮かべて沈黙する。
全部、商売絡みで入ってくる産物である。
そんな事を言おうものなら、アルベルトが盛大に叩いてくるだろう。
「その程度、俺でも答えられていた」
「知らないと仰られたのに、どの口が言うんですか。知ったかぶりするのは止めて、真面目に勉強をして下さい。殿下は凡人なのですから、メモをお取りになって予習復習するべきですよ」
と苦言を呈したら、思いっきり睨まれた。
まあ、いつもの事だから良いんだけどね。
無駄なぜい肉は取れ、スレンダーな美少女へと変貌した。
しかし、いかせん胸が小ぶりなのだ。
ノームはウンディーネの存在を疎んでいた為、ダイエットの過程を見る事すらせず屋敷に住む従者の部屋を転々と移動していた。
苦節1ヶ月で、ここまで劇的に痩せられたことが脅威である。
糖分や脂質の高いものを抑えたダイエット食は、元々人の食事を基礎に考えていたのでダイエットに悩める女性に大うけしてくれた。
また、運動方法もある程度痩せる間は水中歩行をさせた。
足に負担がかかるのを軽減するためだ。
後は、ぜい肉を筋肉に変更させるために前世の記憶で流行った何とかブートキャンプを試してみたらヒーヒー言いながら遣って退けた。
誰でも死ぬ気でやれば大抵のことはこなせる事を実証してくれて、デブ猫からスレンダー猫へと変化したが目つきの悪さは相変わらずだった。
食生活で肌質が改善されたが、老けて見えるのは肌の手入れが悪いからではと思い直し洗顔やスキンケアのイロハを叩きこんだ。
水を司る精霊だけあって、親和性があったのだろう肌は見違えるほど美しくなった。
ウンディーネから得られる水は、とっても美味しく何の用途に使っても上質なものを作り出してくれる。
「大分変ったけど、ノームの好みとは離れているなぁ」
「だから、嫌だったのに」
「でも、ノームに逃げられることは無くなったじゃん」
「そうだけど……」
「まあ、世間一般論で言えば綺麗だよ。ただ、ウンディーネに足りないのは『あざとさ』だと思う」
「あざとさ? 何それ」
あざといと言われても、日本語固有の表現なのでどう説明したら良いものか。
「ウンディーネはプライドが高くて近寄りがたい雰囲気が出ているの。その纏う空気を柔らかくするだけで好感度は上がるよ」
「よく分らないけど、そういうものかしら」
「まあ、実際に見て貰った方が早いか。明日、王城に行く予定があるから見せてあげるよ。擬態しなければ、他の人には見えないからね。王城にいる時は、声を掛けられても返事出来ないからね」
「ふーん」
興味があるのか、ないのかよく分からない返事を返され大丈夫かなと少し心配になった。
翌日、王城へ行って王妃教育を受けている姿を見せた。
ウンディーネは、家でいる時と王城にいる時の表情の差にドン引きしていた。
「これが、あざとさと言うの?」
とブツブツ呟いている。
王子と一緒の講義は、能面のようにスンとしている私に不穏なものを感じ取ったのか距離を置いて観察している。
帝王学や経営学、外交のための諸外国の歴史や言語を学ぶ間、私と王子の間にほぼ会話はない。
紙にカリカリと授業内容を要点を絞ってメモを取る私に対し、アルベルトはメモさえ取らずただ聞いているだけである。
「殿下、ナリス国最大の輸出品は何になりますか?」
「知らん」
欠伸をかみしめながら答えるアルベルトに対し、講師は私に同じ質問をしてきた。
「リリアン様、お分かりになりますかな?」
「通信魔法具ですわ。最近は、魔鉄道というものを開発したとか噂を聞いてますわ。もし、それが本当なら少し厄介ですわね」
「正解です。では、魔鉄道が厄介と思われるのですか?」
「魔法武装国家と名乗るだけあって、好戦的なお国柄ですわ。イーサント国の輸出品である鉱物が無ければ、ほぼ作れない代物ですもの。かの国に潤沢な資源がない為、もし戦争の準備を進めているとしたら我が国土を欲してもおかしくないのです。魔鉄道は、遠い場所をたった数時間で移動出来る大人数を運ぶ代物と聞き及んでいます。もし、それが戦争に使われたら物資や人材をたった数時間で移動させることが可能になるのですよ。我が国の機動力は、駿馬くらいですからね。到底太刀打ち出来ませんわ。空を飛べる道具を開発したら、それに対抗しうることが可能かもしれません」
国中に物資を運ぶためにはレールを蜘蛛の巣のように張り巡らせる必要があるだろう。
それこそ莫大なお金がかかるので、精々重要な場所に最低限の魔鉄道のレールを引くとは予想している。
今は良好な関係を築いているが、いつ悪化するかも分からない現状は感化できない。
文明の進化は、戦争するための道具を開発した産物で成り立っているようなものである。
折角転生したのに、戦争とかごめんだ。
「素晴らしい!! 流石はリリアン様ですね。どこから情報を仕入れてくるのか不思議です」
講師の賛辞に、私は張り付けた笑みを浮かべて沈黙する。
全部、商売絡みで入ってくる産物である。
そんな事を言おうものなら、アルベルトが盛大に叩いてくるだろう。
「その程度、俺でも答えられていた」
「知らないと仰られたのに、どの口が言うんですか。知ったかぶりするのは止めて、真面目に勉強をして下さい。殿下は凡人なのですから、メモをお取りになって予習復習するべきですよ」
と苦言を呈したら、思いっきり睨まれた。
まあ、いつもの事だから良いんだけどね。
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました
【完結】お飾りではなかった王妃の実力
鏑木 うりこ
恋愛
王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。
「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」
しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。
完結致しました(2022/06/28完結表記)
GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。
★お礼★
たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます!
中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる