お前は、ヒロインではなくビッチです!

もっけさん

文字の大きさ
45 / 181
幼少期

巨乳は憧れが詰まってる

しおりを挟む
 ウンディーネが我が家に居ついて、料理が格段に美味しくなりました!!
 流石、水の大精霊様様だ!
 水が違うだけで料理の味が違う。
 良水が手に入るなら、もっと美味い酒や化粧品が作れるだろう。
 ノームは迷惑そうにしてはいるが、太った頃よりは態度は軟化している。
「ウンディーネが居るだけで、こうも水が美味しくなるとはねぇ」
「水の精霊がいる時点で、その場所は水が豊富になる。ましてや、私ほどになれば水害は起こらないし何時だって美味しい水が飲めるのよ」
 フフンとドヤァな顔をするウンディーネに少しイラッとしたが、はいはいと聞き流しておく。
「で、大精霊なんだから色々やることあるんじゃないの?」
「まあね。あんたが提案した魔法を使わない世界から魔力を貰おうって話を相談している最中だから、それまでは待機中なのよ。大方、あんたの案が通りそうだけども。もしそうなったら、召喚以外で手に入れられる方法を探ったりする必要もあるから忙しくなると思うわ」
「ふーん」
「言い出しっぺのあんたに知恵を貰おうと他の精霊も押しかけるんじゃない?」
 クワァッと大きな欠伸をして、後ろ足でガリガリと首をかいている元ブタ猫もといウンディーネ。
 相変わらず目つきは悪いが、最近はそれを逆手に取って屋敷の住人に愛想を振りまいている。
 しかし、触らせない辺りが猫っぽい。
「人を頼らないでよ。私、忙しいんだから」
 半分は自分のせいなのだが、これ以上厄介ごとはごめんだと断るが、ウンディーネはお構いなしに喋る喋る。
「あんた、格下認定している相手に気を使うわけないでしょう」
「ほう」
 思わず私の声が低くなった。
 ウンディーネは、慌てて付け加えて言った。
「それは、私やノーム以外の精霊って事よ! まあ、大体あんたの事は他の精霊たちの間でも噂になっているからね。何もしなくても、あっちから接触してくるわよ」
「それはそれで迷惑」
 ズバッと切り捨てたら、ウンディーネは大きな溜息を吐いた。
「あんた、不敬って言葉知らないの? 私達精霊は、世界のバランサーなのよ」
「それはノームに聞いた。神様もいるとも聞いてる。でもさ、それって私に何の関係があるの? 敬って欲しいなら、相応の見返りと態度を要求する」
 後百年程度で滅ぶ世界のバランサーと言われても、正直全然ありがたみが無い。
 それどころか、滅びを目前にお前ら何してたと突っ込みたい。
「本当に人間って強欲ね! 何でノームは、あんたなんかと契約したのか理解に苦しむわ」
「知らんがな。ウンディーネ、居候するなら賃料代わりに水出してよね! それで新商品を作るんだから」
 私の言葉にウンディーネは眉を顰めたが、出ていく気配がないので答えは是なのだろう。
「まだ何か作る気なの?」
「うん。豊胸用のウォーターパッド」
 スライムの粘液が、ゴムの素材に近いことが分かり密かに開発をしていた偽乳パッドだ!
 スライムの粘液をそのまま使えば良いじゃないかと言われると、時間が経つにつれ固くなるので乳パッドには不向きと判断した。
「豊胸!! ウォーターパッドの意味は分からないけど、胸が大きくなるのね?」
「疑似的にだけどね。脱げば、似非乳がバレる。まあ、どこの世界でも巨乳に憧れる女はいると思うよ」
 前世の私は、控えめに言えば小ぶりなオッパイだった。
 巨乳には、人一倍憧れがあるのだよ。
 母を見ていると、将来に希望が持てたのでちょっと期待している。
「凄く気になるフレーズだわ」
「因みに、前世では豊胸手術ってのがあってね。塩水バッグという処方が用いられていたわ。自分の脂肪を使う方法もあったけど、結構高かったなぁ」
「どういう物なの?」
 ウンディーネの問いかけに、いちいち答えるのが面倒で絵を描いて説明したら何故か目を輝かせていた。
「これを作って私の中に取り込めば巨乳になるんじゃない!?」
 私天才みたいなドヤ顔で言ってのける彼女を思わず憐みの目で見てしまった。
 純粋に形を保つときに妄想力で補えば乳の形くらい変えられるだろうとはツッコミを入れるのを止めた。
「さあ、それはどうかは分からないけれど。協力してくれるの?」
「良いわ! 手伝ってあげる」
 乗り気なウンディーネから言質を取り、私はウォーターパッドの制作に着手した。
しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

やり直すなら、貴方とは結婚しません

わらびもち
恋愛
「君となんて結婚しなければよかったよ」 「は…………?」  夫からの辛辣な言葉に、私は一瞬息をするのも忘れてしまった。

【完結】16わたしも愛人を作ります。

華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、 惨めで生きているのが疲れたマリカ。 第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、

【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです

との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。 白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・  沈黙を続けていたルカが、 「新しく商会を作って、その先は?」 ーーーーーー 題名 少し改変しました

【完結】お飾りではなかった王妃の実力

鏑木 うりこ
恋愛
 王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。 「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」  しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。    完結致しました(2022/06/28完結表記) GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。 ★お礼★  たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます! 中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!

断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。

パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。 将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。 平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。 根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。 その突然の失踪に、大騒ぎ。

彼女にも愛する人がいた

まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。 「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」 そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。 餓死だと? この王宮で?  彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。 俺の背中を嫌な汗が流れた。 では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…? そんな馬鹿な…。信じられなかった。 だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。 「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。 彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。 俺はその報告に愕然とした。

処理中です...