お前は、ヒロインではなくビッチです!

もっけさん

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エルブンガルド魔法学園 中等部

大精霊に事情聴取を行った

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「愛し子よ、行き成り我らを呼びつけるとは何事だ。余程の事でないなら、燃やすぞ」
「ファーセリア、出会い頭に物騒なことを言わないで頂戴。ちょっと聞きたいことがあったのよ。ノームから世界の成り立ちについては、大体のことは聞いているわ。魔王側の話を聞いていたら、腑に落ちないことが出て来たから招集して貰ったのよ」
「魔王? 何で、あんたが魔王と一緒に居るの?」
「嘘を申すでない。愛し子と言えど、我らを謀るのであれば燃やす」
 ファーセリアが、苛々してきた。
 どうせ王都の私の自室で本を読んでいる最中に呼び出しを喰らって怒っているのだろう。
「ファーセリア、私を燃やすと言うなら水の精霊を全員集めてぶつけても良いのよ。水蒸気爆発って知ってる? 水 が非常に温度の高い物質と接触することにより 気化 されて発生する爆発のことよ。非常に温度の高い物質は、ファーセリアのことよ。跡形もなく塵も残らず消えたら新しい大精霊が誕生するんじゃないかしら。フフフ、やってみる?」
 燃やす前に殺すぞと脅せば、か細い悲鳴を上げてブルブルと震えている。
 最初から大人しくしていれば良いものを、本当にプライドだけはエベレスト並みに高いから付け上がらせないようにするのが大変だ。
「レユターレン、挨拶してみなさい」
「……レユターレン・フォン・フェルマです」
「そんな覇気のない雑な挨拶がありますか。淑女たるもの、いついかなる時でも無言の圧力を微笑に変換して相手を威圧しなさい。やり直しと言いたいところだけれど、今はそんな状況じゃないから省くわ。次、同じようなことをしたら出来るまで延々と挨拶の練習をさせますからね。話がそれたけれど、さっさと本題に入るわよ。魔王側の言い分はこうよ。数代前に起こした魔王はユーフェリアと恋仲にありながら、時の神と浮気し、バレたことで魔王を悪者に仕立て上げて殺そうとした。大戦にユーフェアリアに加担した精霊達の言い分を聞きたいから集まって貰ったのだけど、何か言い訳はあるかしら?」
 特にノームを睨みつけながら詰問すると、ノーム以外は全員目を逸らしている。
 誰も何も答えないので、名指してノームに聞いてみた。
「ノーム、どういう事か話をして貰えるかしら?」
「ワシは何も知らん! 伝え聞いた話しか知らんのじゃ」
「伝え聞いたとは、どういうことかしら?」
 まさかとは思うが、嫌な予感とは的中するもので聞いた後に思いっきり机を殴っていた。
「クソガッ!」
 ガンッと殴った机は、ひびが入っている。
「大戦で沢山の精霊達が死んでいったわ。勿論、大精霊も例外じゃないのよ。私達は、その大戦に参加できるほど力は強くなかったし…。年月が経ってから、空いた大精霊の座に就いただけなんだもの。当時は、魔王が魔族以外滅ぼそうとしてるって事しか知らなかったの!」
 怖いと泣きながら無罪放免を訴えるウンディーネに、私は当時の状況を知っているものはいないのかと聞けば居ないと答えられた。
 マジかよ……と一瞬諦めかけたが、ピコンと私の頭の中で何かが閃いた。
「ウンディーネは女性に見えるけど、精霊にも性別はあるのかしら?」
「性別という概念はないわよ。ただ、女の格好をした方が美しいじゃない」
「逆を言えば、男の格好にもなれるのよね?」
 ウンディーネに聞き返すと、小さく頷いた。
 性別の概念が無くても、ウンディーネのように女性よりだったり男性よりだったり好みの姿があるはずだ。
 ウンディーネ以外は、男性よりの格好をしている。
 約一名は、裸族で股間に葉っぱを付けている変態がいるが気にしないでおこう。
「ウンディーネ、貴女がその恰好をしているのはノームに振り向いて欲しいからよね?」
「そうよ。女性の方が、華奢で可愛くて守ってあげたくなるものなんでしょう?」
 世間一般的には、そういう女性の方が男性受けは良いだろう。
 しかし、精霊間でそんな俗世めいた考えをするだろうかと疑問に思う。
 もし、ウンディーネのような恋愛脳な精霊がいたらファーセリアの口車に乗せられてコロッと掌で転がされているかもしれない。
 テトラグラマント神なら、その時の状況くらい見ているはずだ。
 精霊の同行を知らないとは限らない。
「教会に行って、テトラグラマント神に直接当時の状況を聞くわ。ウンディーネ以外は、先回りしてそのことを伝えて頂戴」
 神託を受けるのであれば教会の方が、色々と好都合だ。
「何でウンディーネだけ行かんのじゃ?」
「今の私は、色んな奴から目をつけられているのよ。ファーセリアだったら殺しちゃうでしょう。ノームは戦闘向きじゃないし、シルフは私の精神を汚染するから却下。消去法で、ウンディーネを護衛につけるのがベストと判断しただけよ」
「そんな理由で?」
「それ以外にもちゃんとあるわよ。攻撃されそうになったら、攻撃対象の顔に水の膜を張って気絶させれるでしょう」
「……窒息させるの間違いじゃない」
「何か言った?」
「イイエ、何デモアリマセン」
 ギロッとウンディーネを睨みつけ、私はパンパンと手を叩いた。
「分かったら即行動。さっさと行きなさい」
 その号令と共に、シルフ・ノーム・ファーセリアは速攻で姿を消した。
 取り残されたウンディーネの顔は、悲壮感が漂っている。
「レユターレンは、ここで挨拶の練習をしなさい。これが、カンペね。メイドバージョンと魔王バージョンがあるから、私が戻ってくるまでにきちんと使い分け出来るように。出来なかったら、宿題増やすわよ」
「はい!」
 若干上ずった声で返事を返すレユターレンを置き去りに、私はフェディーラに声を掛けて腕っぷしの強そうな奴隷を数名連れて教会へと足を運んだ。
 私が聖女だと言う事は周知の事実なので、適当に祈りを捧げに来たと言えば神殿の祭壇に通された。
 そこでテトラグラマント神に抗議の念話を送ると、フッと世界が白い空間に変わった。
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