お前は、ヒロインではなくビッチです!

もっけさん

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オブシディアン領で労働中

コレットは納得できない

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 前世は、クソだった。
 今世は、もっとクソだった。
 ヒロインでないにしろ、『Holy Maiden~ドキドキ★メモリアル ~』の世界に自我を保ったまま転生して、攻略者をガンガン取り込んで逆ハーレムエンドが狙えると信じていた。
 信じていたのだ。
 実際は、逆ハーレムどころかシナリオすら機能していない状態だ。
 主要キャラの性格も違う。
 全体的に女々しい。
 騎士科を選択しているロンギヌスですら、顔に傷が付くのは嫌だと公言している。
 一番キャラ崩壊していたのは、推しのアルベルトだ。
 公式設定では俺様ツンデレ王子だったはずが、ナルシストのモラハラ守銭奴野郎に変貌していた。
 しかし、何気に女子力が高いのが気になった。
 王都での流行な服やアクセサリーもしっかりと押さえている。
 アルベルトに割いた時間が一番多く、好きな食べ物から仕草までゲームのヒロインのように振舞った。
 王太子妃になって、行く行くは王妃となりイケメンを侍らせるつもりだったのに。
 それもこれも、シナリオから外れたヒーローも悪役令嬢もポンコツだからだ!
 最初は順調に進んでいたが、リリアンの従僕が出て来てから少しずつ私の思い描いたシナリオが狂っていく。
 ガリオン・エバンスは攻略対象だから大目にみたけど、妹のアリーシャの方は私を目の敵にしていた。
 悪役令嬢不在で、フライングの攻略なので、チャンスと思って動いてみたが、結果は惨敗。
 ゲームストーリーでは名前すら出なかったモブ公爵令嬢なのに、学園を離れていてもその影響力は衰えず、私は『殿下ならびに節操無しに男性に媚を売り学園の風紀を乱した』という理由で退学処分にされてしまった。
 アルベルトの力でどうにかして貰おうとしたが、見向きもされない。
 話しかけても無視されて、一体何がどうなったのか理解が追い付かなかった。
 ビリーに手紙を書いて、学園に抗議して貰おう。
 そう考えて、コレット領に戻る道すがら、私は攫われた。
 攫った張本人は、アルベルトの現婚約者だ。
 もしかしてという思いは確信としなり、今の私と彼女の待遇の差に怒りが込み上げてくる。
 同じ転生でも、私が悪役令嬢ポジションだったら上手くやれたかもしれないのに。
 神様は、一体何をしているんだ!
 リリアンは私に謝罪を要求してきたが、私は謝罪をするようなことはしていない。
 だから、断固拒否をした。
 すると、脅された。
 実父母がどうなっても良いのかと。
 王太子妃になりたかったから家を出たが、実父母に危険を加えられるのは本意じゃない。
「わたくしの手駒になりなさい。そうね、今のところは貴女が持っている乙女ゲームの知識かしら。私側につけば、貴女の実母たちは守ってあげるわ。ただ、ピューレ現当主は無理ね。貴女がこさえた借金と賠償金で首が回らなくなるでしょうし、そうなれば領地管理能力なしと国に判断されて没収されるわ。彼も貴方も貴族でなくなるの。理解できたかしら?」
「……………少し考えさせて」
 直ぐに決断できる問題ではない。
 そう思って行った言葉は、即座に拒否される。
 結局、誓約書を書かされリリアンの手駒になることを選んだ。
 アルベルトさえ、上手く立ち回って私を助けてくれていれば、こんな状況に陥ることはなかっただろう。
 誓約書で私を縛って屈辱的な謝罪をさせたこと、絶対に後悔させてやる。
 復讐を胸に近った矢先、アングロサクソン家筆頭家令と名乗るフリック・スーにより再教育されることになった。
 メイド業だけでなく、国の歴史から世情まで幅広い範囲の情報をこれでもかと詰め込んでくる。
 期日までにこなせなかった課題は、戦闘実践しながら覚えさせられる。
 『身体で覚える』ということを体現させられ、アングロサクソン家に拉致されてから2週間程度で身も心もボロボロにすり減った。
 目下の敵は、リリアンではなく鬼畜執事のフリックだとコレットは思うのだった。
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