171 / 181
オブシディアン領で労働中
リストラ大作戦2
しおりを挟む
「失礼致します。フリックです」
「入って頂戴」
フェディーラが退出してから10分ほどで、フリックが入れ替わるように入ってきた。
「お嬢様、今回はどのようなお仕事ですかな?」
「人員整理に伴って、栄転した者達を護衛するために、一度王都へ行って来て頂戴」
ニッコリと笑みを浮かべながら告げると、
「なるほど、栄転と来ましたか。王都では、引継ぎの手続きのみということですかな?」
「そうよ」
こちらの意図を説明しなくても理解してくれる。
やっぱり良い男だわ。
欲しいわー。人の夫じゃなかったら、グイグイとアピールして既成事実作ってでも落とすのに。
本当に残念でしかたがない。
アルベルトもフリックまでとは言わないから、せめて普通レベルになっていて欲しい。
バーバリー伯爵夫人投入で、効果があったかは連絡待ちなのが悔しいわ。
「畏まりました。ただ、コレットの教育が済んでおりません。如何致しましょう」
コレットを指示代名詞に置き換えて話すフリックに、私は相当教育に苦労しているのがニュアンスから感じ取った。
「コレットに関しては、フリックがいない間はわたくしが見ますわ。書類仕事ばかりで身体がなまってますの。丁度良いサンドバック2号がいるので、魔法の新技について練習したいと思っていたのよね」
「ああ、的が欲しいんですね。畏まりました。ただ、お嬢様の前で傍若無人、無礼千万な数々をやらかすと思いますの。その時は、やらかした記録を取って頂けると幸いです。任務が終わった後に、教育方針を考えます」
物凄く良い笑顔で恐ろしいことを言い切るフリックに、私は笑顔が引き攣った。
今も相当厳しい態度でコレットに接しているというのに、これ以上どうするつもりなんだろうか。
コレットは、高確率でやらかすだろう。
毎日、館のどこかしらで彼女の悲鳴が聞こえている。
最近では、嘆きの館とか領民の間で呼ばれているらしい。
不名誉な呼び名を解消したいが、コレットの悲鳴は時間を計るのに丁度良いのだ。
時計はあるが、書類に目を通している時間が長いので見ることが少ない。
その点、コレットの悲鳴は大体1時間置きに上がる。
コレットの悲鳴と共に目覚め寝る生活をしていると、コレットが鳩時計代わりになっている。
「暫く悲鳴が聞こえなくなると、わたくしの体内時間狂わないかしら」
「お嬢様もコレットの悲鳴で時間を計っていましたか。精霊様にお願いをして、一時間毎にコレットの悲鳴が上がるようになさっては如何ですか?」
フリックの提案に、傍にいた精霊達は「賛成!」や「採用だ~」とか言っている。
コレットのこと嫌いだもんね、君達。
フリックの行き過ぎた教育を目の当たりにして、私が精霊達にコレットへちょっかいを出さない様にお願いをしていた。
しかし、この様子だとフリック不在時はやっても良いんじゃない? って感覚で提案に乗っかっている。
こうなると精霊達を止めるのは至難の業だ。
「アルベルト同様に可愛い悪戯に留めて頂戴ね」
そこかしこで「わかった~」と気の抜けた返事が返ってくる。
私の都合で、精霊達の悪戯にあうことが確定したコレットには同情する。
「どれくらいで行けそう?」
「後身が育っておりますので、半月あれば十分かと」
「では、半月に彼らを王都まで送り届けて頂戴。終わったら直ぐに戻ってきてね。仕事が山積みになっていると思うから」
パパンにフリックの貸し出しをして貰っているので、返せと言われたら少々困る。
ここが落ち着くまでは、有能な執事を手放す気はない。
「勿論ですよ、お嬢様」
フリックの返答に、パパンからの帰還命令が出ても従わないなと確信した。
「ありがとう。では、お願いね」
「はい。お任せ下さい」
これで犯罪者たちの護送役が無事決まった。
「入って頂戴」
フェディーラが退出してから10分ほどで、フリックが入れ替わるように入ってきた。
「お嬢様、今回はどのようなお仕事ですかな?」
「人員整理に伴って、栄転した者達を護衛するために、一度王都へ行って来て頂戴」
ニッコリと笑みを浮かべながら告げると、
「なるほど、栄転と来ましたか。王都では、引継ぎの手続きのみということですかな?」
「そうよ」
こちらの意図を説明しなくても理解してくれる。
やっぱり良い男だわ。
欲しいわー。人の夫じゃなかったら、グイグイとアピールして既成事実作ってでも落とすのに。
本当に残念でしかたがない。
アルベルトもフリックまでとは言わないから、せめて普通レベルになっていて欲しい。
バーバリー伯爵夫人投入で、効果があったかは連絡待ちなのが悔しいわ。
「畏まりました。ただ、コレットの教育が済んでおりません。如何致しましょう」
コレットを指示代名詞に置き換えて話すフリックに、私は相当教育に苦労しているのがニュアンスから感じ取った。
「コレットに関しては、フリックがいない間はわたくしが見ますわ。書類仕事ばかりで身体がなまってますの。丁度良いサンドバック2号がいるので、魔法の新技について練習したいと思っていたのよね」
「ああ、的が欲しいんですね。畏まりました。ただ、お嬢様の前で傍若無人、無礼千万な数々をやらかすと思いますの。その時は、やらかした記録を取って頂けると幸いです。任務が終わった後に、教育方針を考えます」
物凄く良い笑顔で恐ろしいことを言い切るフリックに、私は笑顔が引き攣った。
今も相当厳しい態度でコレットに接しているというのに、これ以上どうするつもりなんだろうか。
コレットは、高確率でやらかすだろう。
毎日、館のどこかしらで彼女の悲鳴が聞こえている。
最近では、嘆きの館とか領民の間で呼ばれているらしい。
不名誉な呼び名を解消したいが、コレットの悲鳴は時間を計るのに丁度良いのだ。
時計はあるが、書類に目を通している時間が長いので見ることが少ない。
その点、コレットの悲鳴は大体1時間置きに上がる。
コレットの悲鳴と共に目覚め寝る生活をしていると、コレットが鳩時計代わりになっている。
「暫く悲鳴が聞こえなくなると、わたくしの体内時間狂わないかしら」
「お嬢様もコレットの悲鳴で時間を計っていましたか。精霊様にお願いをして、一時間毎にコレットの悲鳴が上がるようになさっては如何ですか?」
フリックの提案に、傍にいた精霊達は「賛成!」や「採用だ~」とか言っている。
コレットのこと嫌いだもんね、君達。
フリックの行き過ぎた教育を目の当たりにして、私が精霊達にコレットへちょっかいを出さない様にお願いをしていた。
しかし、この様子だとフリック不在時はやっても良いんじゃない? って感覚で提案に乗っかっている。
こうなると精霊達を止めるのは至難の業だ。
「アルベルト同様に可愛い悪戯に留めて頂戴ね」
そこかしこで「わかった~」と気の抜けた返事が返ってくる。
私の都合で、精霊達の悪戯にあうことが確定したコレットには同情する。
「どれくらいで行けそう?」
「後身が育っておりますので、半月あれば十分かと」
「では、半月に彼らを王都まで送り届けて頂戴。終わったら直ぐに戻ってきてね。仕事が山積みになっていると思うから」
パパンにフリックの貸し出しをして貰っているので、返せと言われたら少々困る。
ここが落ち着くまでは、有能な執事を手放す気はない。
「勿論ですよ、お嬢様」
フリックの返答に、パパンからの帰還命令が出ても従わないなと確信した。
「ありがとう。では、お願いね」
「はい。お任せ下さい」
これで犯罪者たちの護送役が無事決まった。
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】16わたしも愛人を作ります。
華蓮
恋愛
公爵令嬢のマリカは、皇太子であるアイランに冷たくされていた。側妃を持ち、子供も側妃と持つと、、
惨めで生きているのが疲れたマリカ。
第二王子のカイランがお見舞いに来てくれた、、、、
【完結】結婚して12年一度も会った事ありませんけど? それでも旦那様は全てが欲しいそうです
との
恋愛
結婚して12年目のシエナは白い結婚継続中。
白い結婚を理由に離婚したら、全てを失うシエナは漸く離婚に向けて動けるチャンスを見つけ・・
沈黙を続けていたルカが、
「新しく商会を作って、その先は?」
ーーーーーー
題名 少し改変しました
【完結】お飾りではなかった王妃の実力
鏑木 うりこ
恋愛
王妃アイリーンは国王エルファードに離婚を告げられる。
「お前のような醜い女はいらん!今すぐに出て行け!」
しかしアイリーンは追い出していい人物ではなかった。アイリーンが去った国と迎え入れた国の明暗。
完結致しました(2022/06/28完結表記)
GWだから見切り発車した作品ですが、完結まで辿り着きました。
★お礼★
たくさんのご感想、お気に入り登録、しおり等ありがとうございます!
中々、感想にお返事を書くことが出来なくてとても心苦しく思っています(;´Д`)全部読ませていただいており、とても嬉しいです!!内容に反映したりしなかったりあると思います。ありがとうございます~!
断罪前に“悪役"令嬢は、姿を消した。
パリパリかぷちーの
恋愛
高貴な公爵令嬢ティアラ。
将来の王妃候補とされてきたが、ある日、学園で「悪役令嬢」と呼ばれるようになり、理不尽な噂に追いつめられる。
平民出身のヒロインに嫉妬して、陥れようとしている。
根も葉もない悪評が広まる中、ティアラは学園から姿を消してしまう。
その突然の失踪に、大騒ぎ。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる