かちこみっ!

もっけさん

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ミズガルズ ー貿易都市ミストハレー

第10話 貿易都市ミストハレ

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 一二三ひふみを連れてユグドラシルにやってきた。今月分の化粧品を発送したので、残りの日数をユグドラシルでレベリングと資金稼ぎするためだ。
 車を飛ばして2日経過した頃、やっと街が見えてきた。
 「一二三ひふみ、車から降りて原付に乗り換えるよ。」
 「え?車でも良くない?」
 きょとんとした顔で私を見る一二三ひふみ
 「車だと目立つでしょ。原付なら魔道具だと言い切れば良いし。」
彼女を車から降ろして原付とヘルメットを取り出す。
 ここは日本じゃないからニケツしても問題ない。途中でモンスターに遭遇して衝撃で吹き飛ばされたら困るので結界を張った。
 原付を最大速度で爆走して街に向かった。途中、行き交う商隊の人達にギョっした視線を貰いつつもお構いなしだ。気にしたら終わり。
 関所が近くなったので原付から降りて列に加わった。
 「人が多いね。」
 「そうね。(イリス、ここはどこか分かる?)」
 『ミズガルズ 帝国の貿易都市ミストハレになります。』
 (国の治安としてはどう?)
 『他国に比べると治安の良い国です。』
 イリスの言葉にこの国を拠点にするのも良いかもしれないと思った。治安が悪かったら拠点どころではないからね。
 1時間ほど一二三ひふみと雑談しながら待っていると私達の番が来た。
 「どこから来て何しに来た。」
 衛兵の問いに
 (隣国の名前は?)
 『隣国はニブルヘイムが一番近いです。ミズガルズ 帝国と戦争の準備をしているのでそれを理由に商売が出来なくなったと申告して下さい。』
 「ニブルヘイムから来ました。きな臭くなった上、商売が出来ないのでミストハレに来ました。」
 「身分証を提示しろ。」
 「身分証は紛失したのでありません。」
 「ではこの魔道具に魔力を籠めて手をかざせ。犯罪歴が無いか調べさせてもらう。」
 私と一二三ひふみは衛兵の言う通りに魔道具に手をかざした。特に変化が無かったので犯罪歴なしということだろう。
 「一人当たり保証金で銀貨8枚になる。二人だから金貨1枚と銀貨6枚だな。」
 私は空間魔法アイテムボックスからお金取り出して支払った。
 「ほれ、仮滞在書だ。期間は7日間だ。その間にギルドでカードを発行して貰うといい。期限内にカードを持ってくれば金貨1枚と銀貨6枚は返金される。期間が過ぎても持ってこなければ金は没収、カードを作ってなければ即拘束されて牢屋行きだ。」
 「親切にありがとうございます。」
 私達は衛兵に礼を言って街に入ったのだった。


 さて保証金を回収しなければならないので、冒険者ギルドに行くことにした。
 (イリス、冒険者ギルドは何処にある?)
 『マップを展開します。』
 視界の端にGoogマップような地図が表示され目的地まで道案内してくれる優れ物だ。
 地図に従って私達は冒険者ギルドにやってきた。
 冒険者ギルドに入ると私達が珍しいのかジロジロと見られている。
 「すみません、冒険者登録したいんですけど。」
 「冒険者登録ですか?未成年は登録出来ませんが…」
 私の顔を見て困った表情かおをする受付嬢の言葉に私達って未成年に見られているの?と愕然とした。
 「これでも27歳で成人してます。」
 私の言葉にマジかよっ!未成年に見える!etcと声が上がったが気にしない。
 「そ、そうですか…失礼しました。それでは此方をご記入下さい。」
 出された用紙を記入していく。
 「七五三なごみ姉ちゃん、文字が分かんない。」
 一二三ひふみの言葉に小さな声で
 「あんた言葉は通じてるのに何で分かんないのよ?」
こそこそと聞く。
 「イリスが翻訳してくれたから問題なかった。」
 その言葉に万能言語を取得してなかったことに気付き
 「今、スキル取得するからちょっと待て。」
一二三ひふみに万能言語のスキルを取得した。
 「おお、文字が書ける!」
 うひょひょと笑いながら記入欄を埋めていく一二三ひふみ
 私の職業は魔物使いテイマーだが、一二三ひふみの職業は医師の卵なんだよね。何を書くのかと思ったら妖術師ソーサラーにしたようだ。魔法使えるしね。
 「ナゴミ様が魔物使いテイマーでヒフミ様が妖術師ソーサラーですね。ではカードに血を垂らして下さい。」
 針で指を刺して渡された銅のカードに血を垂らす。カードを受付嬢に返しすと
 「それではこの魔道具に魔力を籠めて下さい。」
魔道具を差し出された。
 「一二三ひふみ、先に済ませて良いよ。」
 早くギルドカードを貰いたそうな表情かおをしていた一二三ひふみに順番を譲る。
 一二三ひふみは魔道具に魔力を流した。
 「ヒフミ様の登録が完了しました。レベルが41と高いですね。これなら直ぐに昇格出来ますよ。」
 私も魔道具に魔力を籠めた。
 「えっ!?れ、レベル721っ!?嘘っ!?勇者様でもレベル500行けば良い方なのにっ!!」
 受付嬢の言葉にギルド内が騒然となった。困ったな…
 「あの~私は登録出来るんですか?」
 ここで登録出来なかったら別の国で登録しようと思う。
 「あ、すみません。勿論、登録出来ます。ギルドランクがレベルに合わないので此処で少しお待ちください。」
 慌ただしく席を離れた受付嬢をぽかーんと見送ってしまった。
 数分して受付嬢が
 「ナゴミ様、ヒフミ様、ギルドマスターの所に案内します。」
私達をギルドマスターの執務室へ案内する。
 執務室に入ると壮年の男性が出迎えてくれた。
 「君がレベル700越えのお嬢さんか、わしはミストハレの冒険者ギルドのギルドマスターをしているミニッツだ。で、どちらがレベル700越えなのかな?」
 「私です。」
 「君がナゴミさんか、君のレベルだとFランクにするのは勿体ないんだ。昇級試験を受けてBランクになって欲しい。また紹介状を書くから王都に行ってSランクの昇級試験を受けて欲しいと思っている。」
 ミニッツの言葉に
 「妹とパーティを組むので昇級試験はお断りします。」
バッサリと断ると
 「受けて欲しい依頼があるんだ!頼む!」
頭を下げられた。
 「七五三なごみ姉ちゃんBランクの昇級試験、私は受けられないの?Bランクになれば高ランクの依頼を受けられる上にレベルも早く上がると思うんだけど?」
 一二三ひふみの言葉に
 「別にFランクでも高ランクモンスターを狩りに行って素材をギルドに卸せば良いだけじゃない。」
このままFランクから始めると伝えると
 「それだと討伐報酬が出ないかもしれないじゃん。おじさん、私も七五三なごみ姉ちゃんと一緒に昇格試験受けられないの?受けられないなら絶対にFからこつこつするって言うよ。」
ミニッツを脅し始めた。ミニッツは
 「ヒフミ嬢だったか?う~ん、嬢ちゃんはCランク相当なんだ。Bランクになるにはレベルが足りんが嬢ちゃんがCランクに昇格すれば姉さんとパーティを組むことは出来るぞ。」
一二三ひふみを丸め込みにかかった。
 「じゃあ、昇格試験受ける!」
 そしてあっさりと引っかかる一二三ひふみ
 「試験はいつ受ける?」
 「明日で良いよ。」
 「なら明日の昼はどうだ?」
 「分かった。受付の人に話を通しておいてね。」
 私抜きで話を進める二人に大きな溜息を吐いて
 「勝手に話を進めない!一二三ひふみ、高ランクになれば危険なんだよ。私がいつでも守ってあげることは出来ないの分かってる?」
一二三ひふみに問いかける。
 「分かってるよ。それに今の実力的にCならBランクまでの仕事は受けること出来ると思うんだ。」
 だよね?とミニッツに確認する一二三ひふみ。ミニッツも一二三ひふみの言葉に頷いている。
 「それに昇級を受ければ高ランクモンスターを狩っても討伐報酬は色を付けて出してくれるよね!?だって七五三なごみ姉ちゃんに無理言ったんだから!」
 にこにことミニッツを見る一二三ひふみとは対照的に引き攣った表情かおをしたミニッツは
 「…勿論、色を付けて報酬は出す事を約束しよう。」
根負けしたようだ。無理を言ってる自覚あったんだな。
 「……はぁ、じゃあ明日の昼に伺います。」
 私はそう言って一二三ひふみと一緒に冒険者ギルドを後にした。
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