唯一の恋

綾月百花   

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わくわくチョコレート大作戦 ~平等に愛して~♪

4   バレンタインパーティー

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 亜稀がお風呂から出た後、バレンタインパーティーが始まった。
 まずは食事だ。
 亜稀はスペアリブを見て、大喜びだ。
「奈都、最高!」
「美味しい?」
「めっちゃ美味しい」
「こらこら、口に入れたまま話さない」
「わかってるけどさ」
 亜稀は大盛りのご飯を食べながら、肉にかぶりつく。
「響ちゃん、ビーフシチューおかわりあるよ」
「大盛りで」
「うん」
 響介からお皿をもらって、奈都は鍋からビーフシチューを大盛りにつけて、テーブルに置く。
「響ちゃん、パンもあるけど、ご飯おかわり?」
「パンもらおうかな」
「夕方焼きたてだって」
 バケットの入った袋から、お皿に何枚か載せて、響介の目の前に置く。
「あ、俺もパンが欲しい」
「いっぱいあるよ」
 奈都は亜稀の前にも置いて、自分のお皿にもパンを載せた。
 夕食を食べ終わった奈都は、食器を片付け、チョコレートフォンデュを温めていく。
 火加減が難しい。
 沸騰させないように気をつけながら、ゴムベラで混ぜていく。
「甘い、いいにおいだな」
 食事を終えた響介が、食べ終えた食器を洗浄器の中に入れていく。
「今日はバレンタインだから」
 亜稀も食べ終わって、食器を片付けていく。
「手伝うことある?」
「鍋敷き置いてくれる?」
「OK!任せて」
 亜稀がテーブルの上に、鍋敷きを置くと、ガスを止めて、小鍋をテーブルに置いた。
 端に避けておいた、果物を小鍋の横に置くと、まず亜稀がイチゴを刺してチョコにつけた。
 次に響介がパイナップルを刺して、チョコをつける。
「はい、あーんして」
 響介と亜稀が、奈都の前にフォークを持ってくる。
「え?」
 奈都は目の前に差し出された果物のどちらを先に食べていいのか迷ってしまう。
(平等に、平等にしなきゃ。どうしたらいいの?)
 迷った末、奈都はイチゴとパイナップルを両方口の中に入れた。
 甘いイチゴの味と甘酸っぱいパイナップルの味が混ざり合い、口の中が一杯になって、なかなか噛めない。
 響介も亜稀も大笑いだ。
 やっと食べ終えて、奈都は「もう!」と二人を睨む。
「早く食べないと、チョコレート固まっちゃうよ」
 亜稀はパンにもチョコをつけて食べている。
 さすが成長期。
「奈都、食べさせてあげようか?」
「響ちゃんは、自分で食べて。私も自分で食べる」
「わかったよ」
 響介はイチゴを刺して、また奈都の口の中に入れてくる。
 わかったって言ったのに。
 仕方なく、奈都はイチゴを刺して、響介の口の中に入れた。
「あ、俺は?」
「なにがいい?」
「イチゴ」
 平等に!平等に!
 奈都はイチゴを刺して、亜稀の口の中にイチゴを入れた。
 二人とも口を開けて待っている。
 奈都の口の中には、二人が交互に入れてくれる。
 最後に残ったチョコは、亜稀がパンで綺麗に掬って食べた。
「お腹いっぱい」
 奈都はなんだかみんなより倍食べたような気がする。
「あ、そうだ」
 奈都は立ち上がると、キッチンに隠していたチョコを二人にわたす。
「平等だからね」
「ありがとう」
「平等、嬉しいな。ありがとう」
 響介は足下の置いていた紙袋から、たくさんのチョコを出して、奈都の前に置いた。
「こんなにいっぱい?」
「奈都、チョコ好きだろう?」
「うん。ありがとう」
「亜稀にもあるよ」
 響介は亜稀の前に、チョコを1箱置いた。
「サンキュー」
「奈都には、もう一個」
 響介は長い箱をわたした。
「開けてごらん」
「うん」
 包装紙を開けていくと、宝石箱が現れた。
 蓋を開けると、赤い宝石の付いたネックレスだった。
「綺麗」
「ピジョンブラッド。鳩の血って言われてるルビーだよ」
 響介は箱から出すと、奈都の首につけた。
 白いセーターに映える赤。
「似合うな」
「響ちゃん、ありがとう」
「ルビーか。ちょうどお揃いだ」
 亜稀は奈都の前に包装された小さな紙袋をわたす。
「開けてみて」
「うん」
 紙袋の中には、チョコレートともう一つ箱が入っていた。
 その箱を出して、開けると、綺麗な薔薇が目に飛び込んできた。
「わぁ、綺麗」
 亜稀が嬉しそうに笑った。
「髪飾りだよ」
「同じシルバーの色で、偶然だな」
 響介もその髪飾りを見て、満足そうだ。
「ルビーとペリドットでできているんだ。土台はシルバーだけどね」
「ありがとう、亜稀」
 亜稀は、奈都の髪を手櫛で梳かしてバレッタをつけた。
「似合うじゃないか」
「うん、似合うな」
「鏡、見てきてもいい?」
「見ておいで」
「行ってらっしゃい」
 奈都は立ち上がると、部屋に走って行く。
 手鏡を持って、洗面所に向かった。
「わぁ、綺麗」
 洗面所から、奈都の声が聞こえる。
 響介と亜稀は、洗面所に行くと、嬉しそうに鏡を見ている奈都を見に行く。
「似合うよ、奈都」
「可愛いよ、奈都」
 響介と亜稀は、どこからどう見ても女の子にしか見えない奈都を見つめていた。

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