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15 不協和音 2
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突然扉が開いて、わたくしは顔を上げた。
顔を真っ赤にしたクリマが立っていた。
「ノックをしてください。それくらい礼儀でしょう?」
「どうして、殿下と会ってあげないの?あんな優しいお方、他にはいないわ」
「あなたがそれを言うの?今日は、わたくしとイグレッシア王子とのお茶会でしたのよ。それを邪魔したのは、あなたでしょう?」
「少し、昔話をしただけだわ」
「少しね。わたくしが帰ったことも気づかないほど夢中で話していたわね」
「僻んでいるのね?」
「ええ、そうよ。あなたにわたくしの気持ちなど分からないでしょう。あなたは、わたくしの侍女をクビにします。父にはもう一度、エステの修行をできるように手紙を書いておいたわ。これは、あなたが婚約者を亡くしたから、気の毒に思って、父に特にお願いしておいたわ。わたくしは人様を美しくする仕事をしているの、施術もお茶も淹れられないあなたを雇うことはできないわ。お金を支払って施術を受けに来るお客様の信頼を裏切ることはできないから。理解できましたか?」
「私が殿下と話をして、殿下が私ばかり見ていたから、僻んでクビにするのでしょう?」
「きちんと話をしましたが、理解ができないようね。残念だわ。お父様には、学力も足りないと書き記して送らなくてはなりませんね」
「私、貴方に仕えるつもりは微塵もなかったのよ。王子とお茶会をしていると噂を聞いて、私も一緒にお茶会に出たかったから、侍女にして欲しいと頼んだのよ。紅茶なんて、淹れたことなんてないわよ。髪は侍女が結ってくれたもの。自分で結えるはずがないわ。ドレスだって、そうよ。全部、侍女がしてくれたから、私は人に着せることなんてできないわ。掃除?そんなこと、したこともないわ。手が荒れてしまうでしょう。私の婚約者が亡くなったから、学校時代に優しくしてくださった殿下に会いたかったのよ」
「会えて良かったわね。それで、これからどこに住むつもりなの?」
「ここを追い出されたと吹聴するわ。ここの店の信用もガタ落ちになるでしょうね。とても楽しみだわ」
「どうして、そんな意地悪なことをするの?」
「美の称号って、どれほどの物か確かめたかったのよ。たいしたことはないわ。私の方がずっと美しいわ。だから、殿下、私から目を離さなかったのよ」
「そう、言いたいことはそれだけ?」
「怒らないの?」
「別にどうでもいいわ。言いたいことが終わったのなら、ここから出て行ってくれる?実家にもエステの修行はしたくないと言っていたと伝えておくわ。もう出ていって、二度とここには来ないで。今度来たら、業務妨害として騎士に引き渡します」
「すぐに出て行くわよ。殿下にも、追い出されたと言ってやるわ。心の狭い女は、嫌われるのよ」
「もう黙って」
わたくしは手を何度も打った。
すると執事と騎士がすぐ部屋にやってきた。
「この者を今日限り、クビにします。早く追い出してください。二度と邸に入れないでください」
「畏まりました」
執事と騎士は、クリマの左右に付くと、わたくしの部屋から連れ出してくれた。
わたくしは、椅子に座ると、便箋を出して、お父様にクリマのことを詳しく書いた。それを速達で送った。
その後、ぼんやり椅子に座っていた。
とても疲れていた。
顔を真っ赤にしたクリマが立っていた。
「ノックをしてください。それくらい礼儀でしょう?」
「どうして、殿下と会ってあげないの?あんな優しいお方、他にはいないわ」
「あなたがそれを言うの?今日は、わたくしとイグレッシア王子とのお茶会でしたのよ。それを邪魔したのは、あなたでしょう?」
「少し、昔話をしただけだわ」
「少しね。わたくしが帰ったことも気づかないほど夢中で話していたわね」
「僻んでいるのね?」
「ええ、そうよ。あなたにわたくしの気持ちなど分からないでしょう。あなたは、わたくしの侍女をクビにします。父にはもう一度、エステの修行をできるように手紙を書いておいたわ。これは、あなたが婚約者を亡くしたから、気の毒に思って、父に特にお願いしておいたわ。わたくしは人様を美しくする仕事をしているの、施術もお茶も淹れられないあなたを雇うことはできないわ。お金を支払って施術を受けに来るお客様の信頼を裏切ることはできないから。理解できましたか?」
「私が殿下と話をして、殿下が私ばかり見ていたから、僻んでクビにするのでしょう?」
「きちんと話をしましたが、理解ができないようね。残念だわ。お父様には、学力も足りないと書き記して送らなくてはなりませんね」
「私、貴方に仕えるつもりは微塵もなかったのよ。王子とお茶会をしていると噂を聞いて、私も一緒にお茶会に出たかったから、侍女にして欲しいと頼んだのよ。紅茶なんて、淹れたことなんてないわよ。髪は侍女が結ってくれたもの。自分で結えるはずがないわ。ドレスだって、そうよ。全部、侍女がしてくれたから、私は人に着せることなんてできないわ。掃除?そんなこと、したこともないわ。手が荒れてしまうでしょう。私の婚約者が亡くなったから、学校時代に優しくしてくださった殿下に会いたかったのよ」
「会えて良かったわね。それで、これからどこに住むつもりなの?」
「ここを追い出されたと吹聴するわ。ここの店の信用もガタ落ちになるでしょうね。とても楽しみだわ」
「どうして、そんな意地悪なことをするの?」
「美の称号って、どれほどの物か確かめたかったのよ。たいしたことはないわ。私の方がずっと美しいわ。だから、殿下、私から目を離さなかったのよ」
「そう、言いたいことはそれだけ?」
「怒らないの?」
「別にどうでもいいわ。言いたいことが終わったのなら、ここから出て行ってくれる?実家にもエステの修行はしたくないと言っていたと伝えておくわ。もう出ていって、二度とここには来ないで。今度来たら、業務妨害として騎士に引き渡します」
「すぐに出て行くわよ。殿下にも、追い出されたと言ってやるわ。心の狭い女は、嫌われるのよ」
「もう黙って」
わたくしは手を何度も打った。
すると執事と騎士がすぐ部屋にやってきた。
「この者を今日限り、クビにします。早く追い出してください。二度と邸に入れないでください」
「畏まりました」
執事と騎士は、クリマの左右に付くと、わたくしの部屋から連れ出してくれた。
わたくしは、椅子に座ると、便箋を出して、お父様にクリマのことを詳しく書いた。それを速達で送った。
その後、ぼんやり椅子に座っていた。
とても疲れていた。
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