43 / 44
秘密の場所で永遠を誓って
・・・
しおりを挟む「ここが秘密の場所?」
高速道路と一般道を走って一時間。車を止めて、山道を歩くこと十分。そこに山小屋が建っていた。
月明かりの下、その山小屋は古ぼけていて、まるでお化け屋敷のようにも見えた。
「そうらしい」
薫も初めて来たようで、その古ぼけた山小屋を、じっと見つめる。
「取り敢えず、入ってみようか?」
明人兄から預かった鍵を使い、扉を開けてみる。
ギッと軋んだ音を立てて、扉は開いた。
月明かりに照らされて見える部屋の中は、荒れているようには見えなかった。ホッとしながら薫の後に続いて小屋の中に入る。
玄関のあがりに燭台があり、薫は蝋燭に火を点していた。
ぼわっと淡くオレンジ色の光が、室内を照らしたとき、玄関の扉がかちりと閉じた。
(こ、怖いっ)
ビクンと体が跳ね上がり、咄嗟に薫にしがみつくと、オレンジ色の灯りの中で、薫が微笑む。
「素敵な家だね」
「う、うん」
オレには今一つ素敵な場所かどうか分からなかったが、薫は嬉しそうに瞳を輝かせている。
「奥に行こう」
ぎゅっと手を握られ、部屋の奥へ導かれる。
見たとところ、電機は通ってないようた。
居間にも、電灯はなかった。
ただ燭台がところどころ置かれ、薫は一つ一つに火を点していく。
部屋の中が徐々に明るくなっていく、
ほんわりと柔らかな灯りで、浮かびあがってきた室内は、薫が言うように素敵な部屋だった。
ふたりのために用意された、極上な居間だ。
それは向かい合って座っても、キスができるんじゃないかと思えるほど、こじんまりしている。
テーブルも向かい合うように置かれた二つの椅子も、彫刻が施された芸術的な一品のようだ。
その他にも、いかにも寛さんが好みそうな、調度品が置かれ、その調度品の中には、猛さんが好みそうな食器などが納められていた。
ふたりの囁き声が聞こえそうなほど、優しさに包まれた空間だった。
オレは淡いローズピンクのカーテンを開いてみた。すると大きな窓が姿を現す。
そこから見える景色は、満天の星空だった。
「綺麗・・・」
思わずため息がこぼれるほどに。
上弦の月が蜜色の細雨を降り注ぎ、闇の中に沈みかけた木々の梢や手入れされた小さな庭を、優しい光で包み込んでいる。
「愛する二人の子供たちへだって」
薫はテーブルの上に置かれた桃色のカードを手に取り読み上げた。
「誰?」
「優のパパたち」
オレのパパなら、薫にだってパパなのに。
「妙に理解のある親っていうのも、照れくさいよな」
「うん」
薫はテーブルの中央に置かれたフラワーアレンジから、白い小花を一本抜くと、クンと香りをかぎオレの髪に飾る。
とても照れくさかった。
薫は瞳を細めてオレの髪を撫でている。
その仕草や表情から、滅茶苦茶愛されているって伝わってくる。
「飲み物も軽食も冷蔵庫だって」
怖いくらいに幸せだ。
「え?パパたちが準備してくれたの?」
薫は「みたいだ」と苦笑しながら、オレの手を取る。
「どこかに潜んでいたりして」
薫は居間の中を大きく一周して、扉の前で言った。
「嘘?」
ガチャ―――
扉を開いた薫は、暗い部屋の中を覗き込む。
部屋の中は十畳くらいの寝室だった。
中央に金とホワイトで装飾された、洒落たベッドがあった。
窓から差し込む月明かりが、ベッドを照らしている。
愛らしいワイルドストロベリーの羽毛布団は温かそうで、床までつくほどのたっぷりとしたフリルがとてもゴージャスに見えた。
他にはナイトテーブルが一つ。
寝るためだけの部屋のようだ。
オレの手を引いて、薫は部屋の中に入っていく。
「ここは、親父と寛さんが、こっそり過ごしてた部屋なんだって」
ナイトテーブルの上には黒と白のバスローブが、並べて置かれていた。
「こっそり?」
至れり尽くせりに、顔面が熱くなる。
「親に反対されたからね。デートもままならなくて。ここで待ち合わせして、こっそり会ってたんだって」
薫がバスローブの間から、グリーンのカードを取り出した。
薫はそのカードを見て、くすっと笑いながら、オレにそのカードをくれた。
『薫に苛められたら、いつでもおいで。仕返しの方法一緒に考えてあげるよ~お兄ちゃんより』
(仕返し。明人兄と仕返し?)
ある意味、明人兄は薫よりあくが強いから、想像するとちょっと怖い。
(明人兄なら、薫にどんなことをするのかな?)
「それは今でもずっと続いてるんだって、心当たりない?」
カードを食い入るように見ていると、薫が耳元で小さく囁いた。
オレははっと顔を上げた。
今は目の前の薫だ。仕返しの方法を考える前に、仲良くなることを考えなきゃ。
「そういえば、時々」
不意にいなくなっていたことがあった。
「出張が多いな・・・とは、思ってた」
たいがいは、一泊。長くても二、三日で戻ってきていたので、出張だと思っていたのだ。
「なんか、狡い!オレだって薫に会いたかったのに」
ブッと膨れると、すかさず薫がチュッとキスをする。
「俺も知らなかったんだけど、前に一度、明人兄が口を滑らしたことがあって。この間、親父たちを問い詰めたんだよ。そしたら内緒で教えてくれたんだ」
ママたちには内緒なんだって・・・。
「うわっ、これって不倫じゃないの?」
つい興奮して大きな声を上げると、薫はシィッと唇に指をあてがう。
「ごめん、内緒、内緒・・・」
部屋の中をきょろきょろと窺うオレに、薫は声を潜めて、また囁いた。
「もう、俺たち共犯者だからな。絶対に言うなよ」
オレは明人兄からのカードを両手で持ったまま、何度も頷いていた。
「と、いうことで」
薫はオレの手からカードを抜き取ると、床に落とした。
「あっ・・・」
カードは床を滑るように部屋の隅までいき、止まった。
「明人兄に告げ口されないように、俺も頑張らないと」
「わっ・・・」
薫はいったんオレを引き寄せると、そのままベッドに倒れていった。
「でも、宝探しは?この小屋のことだったの?」
「この小屋じゃないよ。でも、外は真っ暗だし、今は宝探しよりも、優の恥ずかしい場所をいっぱい探りたい」
どうしてこんなに手が早いの?っていうか、どうしてそんなに恥ずかしいことを真顔で言えるのー。
オレは心の中で絶叫しながらも、脱がせやすいように協力し、
「オ、オレだって」
とても似合っていたラベンダー色のシャツのボタンを慎重にはずし、スラックスも弛めていった。
「じゃ、勝負。朝までにどれだけたくさん見つけられるか競争」
「え?」
互いに生まれたままの姿になると、薫は勝負を挑んできた。
拒絶する前に、薫の唇がオレの唇を塞ぐ。
「ん・・・ゃぁ・・・」
いきなり胸を抓られて、オレはビクンと体を反らせた。
「ほら優も頑張って、勝負は先手必勝だよ」
楽しそうに言う薫は、オレの体に新たなバラ色の花弁を散らせていく。
「薫、ちょっと、待って・・・あっ、ハンディ。ハンディ・・・ちょうだい。ぁっっ、・・・ぁぁ」
経験不足のオレに、巧みな愛撫を施してくる薫を、膝で押しとどめようと力を込めたとき、
「っ!」
薫の体がビクンと揺れた。
「へへっ・・・」
男の急所は誰しも変わらないようで。
オレは恐る恐る膝を弛めた。
こうなったら、笑って誤魔化そう。
「悪気はなかったんだ」
よしよしと、オレは膝で締め上げた勃起した薫を撫でると、薫は恨めしそうにオレを流し見た。
「経験不足だって?」
オレの手の中で、薫がひとまわり大きくなる。
「そ、そう」
「ふーん」
また薫の体が小さく揺れた。
「もしかして、とても感じてる?」
先端から溢れ出た先走りの滑りを借りて、括れから先端の割れ目を、指先で撫で上げる。
「お蔭様で」
薫は完全に体を起こすと、オレを引き寄せた。
「ハンディは、いらなさそうだね」
オレの手の中で、また薫の重量が増す。
「ううっ、そんなこと・・・」
さっさと手を放してしまえばよかったと思っても、後の祭り。
「褒めてるのに・・・謙遜するなよ」
優しく微笑んでみせるけれど、薫の目はギラギラしている。
「うう、ありがと」
薫の視線に促され、オレは重量を増した薫に唇を寄せ、先走りを舌に絡めた。
「しっかり濡らして、優が気持ちよくなれるように」
背筋を撫でていた掌が、そのまま恥ずかしい場所に降りていく。
くるっと蕾を撫でた指先が、ツンと起ちあがった欲望に絡みつく。
「ぁっ・・・」
先端から蜜を搾り取るように、指先が敏感な部分だけを刺激する。薫の愛撫に慣れているオレは、すぐに薫の指先を濡らしていた。
「いい子だ」
髪を撫でていた薫の指先が、耳の中にもぐりこむ。
「ゃぁっ・・・」
敏感になっている体にが、ぞくっと震えたとき、プツッと体の中に薫の指が潜り込んだ。
「美味しいものは最後にとっておく主義だけど、たまには先に食べたくなった」
いい?
耳元で囁かれ、オレはますます体をビクビクさせた。
だって、目の前には天を向いた薫が、鼻先を突いていて、オレの腹の中を指が強引に入ってくる。
「でも、優のここ狭いから、いきなりは無理かな?」
「無、無理・・・」
入り口を拡げられる痛みも、圧迫感もなかなか慣れられない。
「でも、もう指は三本入ったよ」
ほらと、薫はオレの手を持って、薫の指を咥えて、いっぱいに広がっている蕾に、手を導く。
「やっ・・・」
恥ずかしくて、咄嗟に薫の手を振り払っていた。
べったりと濡れたその場所は、貪欲に薫の指を咥え、ひくひくとしていた。
酷く自分が飢えているように思えた。だけど、
「やっぱり嫌?」
薫の指がオレの中から出ていく。
「あっ、やぁっ・・・」
「無理強いして優を泣かすと、明人兄に告げ口されるから」
内壁が薫の指を引き留めるように、絡みつく。
「諦めるよ」
薫の指が出て行ったあと、名残惜しそうにその場所が切なく疼き、体が震えた。
ふうと溜息を漏らした薫は、くるっと体の向きを変えベッドに横になってしまった。
「薫・・・」
昂ぶったオレの体を残して。
「優も寝なさい」
背を向けたまま薫は言って、大きな欠伸をした。
「すぐに朝になっちゃうよ」
羽毛布団を引き上げる薫は、きっとまたお仕置きモードかもしれない。
約束をすっぽかしたし。
薫を信じられなかったし。
二発も平手で叩いちゃったし。
だけど、原因はすべて薫だよ。そりゃ、オレも早とちりしたけどさ。
やられっぱなしなんて、癪に障る。
「意地悪!」
背を向けた薫の背を、足蹴りした。
オレだって、いつまでも従順でいい子のままじゃないんだよ。
いじめっ子の薫への警告のつもりだったのに、思わず力が入り過ぎて、報復になってしまった。
「痛っ!」
ドスッと床に、薫が落ちた。
「優!」
薫は地の底から響くような低い声でオレの名前を呼ぶと、大魔神のように立ち上がった。
「そういう悪戯をする子は、お仕置きをしなきゃね」
背筋が震えるような微笑みを浮かべて。
「ひゃ、ごめんなさい」
逃げ出そうと、ベッドから飛び降りようとしたけれど、薫はオレの足をぐっと掴むとベッドの上に貼り付けにした。
「覚悟はいい?」
「よくない。まだできてない!」
月の光に照らされた薫が、フフフと笑った。
その姿は生き血を食らう吸血鬼のように、妖艶で艶麗で、怖いくらいに美しかった。
「もう逃げられないよ」
優も俺も・・・。
囁きながらの、獣じみたキスは、オレの体をすぐに熱くした。
「逃がさないから」
オレは薫に負けないくらいの愛で、薫にキスを返した。
1
あなたにおすすめの小説
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
※画像は男の子メーカーpicrewさんよりお借りしました。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる