花姫だという私は青龍様と結婚します

綾月百花   

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2   高校に行けるんですか?

4   龍の鱗

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 四月に入っても禊ぎの水はつめ冷たい。

 真優と美鈴が千鶴を激流の中に落とそうとしている姿を見て、唯は耐えきれず、千鶴の手を引っ張り浅瀬に引き戻したが、にやりと笑った美鈴が、唯の両肩を押した。


「きゃっ!」


 ザブンと体が川に投げ出された。

 唯の体が、激流に飲み込まれてしまった。


「唯様!」


 みのりの悲鳴のような声が聞こえたが、答えることができない。

 溺れて死んでしまってもいいと思っていた。

 体が岩にぶつかりながら流されていく。

 鋭い岩が肌を裂く。


(ああ、痛い)


 岩場を通り体は湖に流され、湖の底に沈んでいく。


(死ぬんだ、私)


 呼吸はできない。ごぼっと空気が出て、水を吸い込み意識が薄れていく。

 体が沈み込んで、意識が途切れた。


……
…………
………………


 白銀の長い髪を下ろした龍之介は、唯を抱いて地底湖に続く神殿に来ていた。

 人工呼吸で水を吐かせたが、意識が戻らない。

 昨日から、唯の霊力が不安定になっていた。

 学校から帰宅すると、すぐに神社に参拝に来るのに、昨日は来るのが遅く、いつも龍之介に語りかけるような言葉はなにもなかった。心を覗こうとしたが、唯は何も考えていなかった。心の中は寂しさと悲しさに満ちていた。

 初めてこの屋敷に来たときよりも、心は沈んでいた。

 龍之介が贈った着物も着ずに、花姫が身につける白い着物に、最初に準備したピンクの羽織を身につけていた。

 楽しみにしていた学校でも、ずっと沈んだ顔をしていると思い観察をしていると、泣き出して、級友に慰められていた。昨日、一日、唯の笑顔を見ていない。

 俺は唯に何をしたと自問自答を繰り返すうちに、唯が激流に流された。

 辰巳の婚約者の千鶴を助け、美鈴に肩を押されていた。

 木の葉のように岩にぶつかりながら流され、湖の底に沈んだ。

 龍之介は急いで青龍の姿になり湖の底に潜った。背中に唯を乗せて地底湖に続く神殿に連れてきた。


「青波」

「龍之介様、唯を抱えてどうなさいました」

「また花姫の悪戯で水に流され、湖に沈んだ。意識が戻らない」

「人工呼吸はなさったのでしょう?」

「最低限だ。俺の霊気を与えすぎると、生身の体には負荷になる。まだ俺の鱗を与えていない体では、死んでしまうかもしれない」


 傷だらけの唯を見て、青波は呆れた顔になる。


「腕が反対方向に折れているではないか。このままでは花姫たちに殺されてしまいますよ」


 岩で全身を打撲し擦り傷や切り傷があり赤い血が流れている。

 龍之介は唯を診察室のベッドに、そっと寝かせる。

 顔にも傷ができていて、愛らしい顔が血で赤く染まっている。


「龍之介様は、この唯を妃にと考えていらっしゃるのですね」

「唯以外に興味はない」


 龍之介はきっぱり答えた。


「それなら、他の花姫を龍神に嫁がせればいいのではないか?」

「それも考慮しよう」


 龍之介は龍神の姿に戻る。

 緑に近い青い龍が神殿に浮かんでいる。

 荘厳で美しい。

 まだ若い青龍の鱗も艶があり煌びやかだ。

 81枚の鱗のうち、一枚を抜くと龍神の姿が人の姿に戻る。

 大きな龍の鱗を軽々と持ち青波の前まで歩くと、龍之介は鱗を青波にわたした。


「死なない程度に調合してくれ。残りの鱗は唯のために。いずれは不老不死の体にする。婚礼の指輪も作ってくれ」

「仰せのままに」


 青波は龍之介から生き神様の鱗を受け取ると、恭しく頭を下げた。


「とりあえず、命を救うことが先決ですね」


 なんとか呼吸をしているだけの唯を見て、青波はどこから手を付けるか、唯の体を検分する。


「絶対に殺すな」

 龍之介の青い瞳が光る。


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