13 / 76
2 高校に行けるんですか?
6 美少年は青龍様でした
しおりを挟む
唯はまた高校へ通えるようになった。
長く借りっぱなしだったコミックを美保に返せる。
怒ってはいないかと心配して登校したら、五人は唯を心配していた。
「怪我をして療養していたの」
「もう体は大丈夫なの?」
「青龍様のお陰で、助けていただきました」
五人は「素敵」と言いながら、胸の前で手を合わせた。
桜花高校のある花咲町は、町全体で青龍様を祀っている。
花姫の存在も知っていて、我が子を花姫にして欲しいと願掛けをする人もいるそうだ。
友人になってくれた五人は、花姫の友人として、学校からも地域からも一目置かれているようだった。
「2巻のコミック、今日は持ってきてないから、明日持ってくるね」
「ありがとう」
唯は微笑む。
「休んでいた間のノートは、購買でコピーすればいいよ」
香奈の申し出に、唯は焦る。
「私、お金持っていないから払えない。だから、少しずつ写させて」
「花姫様はお小遣いないの?」
「うん。高校に通わせてもらえるのもイレギュラーなことみたいなの。今までは花姫になったら御嵩家からは出られないしきたりなの」
五人は頷く。
「窮屈なのね」
唯は微笑むことで本音を隠す。
(もっと自由に生きたい。みんなが羨ましいよ)
「綺麗な池があるのね」
唯は話題を変える。
「花咲町は池が多いの。高校の敷地にも池が入り組んでいて、散歩ができるようになっているのよ」
香奈が窓辺に唯を連れて行く。
「綺麗な景色」
町全体に花が咲いている。
「花姫様が転入されてから、町の花が満開に咲き始めたの。花姫様って、すごい力があるのね」
「花を咲かせることしかできないのよ。花咲かじいさんみたいでしょ?」
「唯って、本当に花姫様らしくないわ。他の花姫様は威張っているのに」
「私はまだ花姫になったばかりだから、自覚もないし、しきたりにも詳しくないの。香奈たちと同じ高校生だったんだもん」
クルッと回転すると、プリーツスカートが広がる。
懐かしい感覚。
ブラジャーやパンティーも着けられて、普通の高校生になったような気持ちよさを感じる。
「今日のお昼、池の畔にある東屋に行ってみる?」
「いいね、人気の場所だから空いているかわからないけど、そこでお弁当食べましょう」
由香里と明里の提案に、唯は頷いた。
「いろんな事、教えて」
「いいわよ」
香奈が唯の手を握った。
「唯の手って暖かいわ。なんだか気持ちがよくなる」
「どれどれ」
他の四人も唯の手に触れる。
「本当だ。なんだかいい香りもする」
「みんな止めてよ」
体に悪寒が走った。
本能でいけないことだとわかった。
体に触れる手を拒むと、五人は急に我に返ったように唯から離れた。
「花姫様の力なのね」
「分からないけど。あまり触らない方がいいと思う。みんなに何かあったら私、悲しいし」
五人は頷いた。
「でも、甘美な感覚よね」
「うんうん」と他の四人も頷き、唯の体に触れてくる。
「みんなやめて」
「……食べたい」
「唯を食べたい」
「ああ、美味しそう」
「食べたい」
「美味しそう」
五人の様子がおかしい。
食べたいと言いながら、顔つきが変わっていく。
唇が大きく耳まで裂けていく。
「いや、どうしたの。みんな」
周りの生徒が五人の言葉を聞いて、唯の周りに寄ってくる。
「いい香りだ」
「食べたい」
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
生徒たちの口が大きく裂けていく。
「助けて!」
唯が声を上げると、誰かが唯の肩に触れた。
「落ち着きなさい」
肩に触れたのは、白銀の髪をもつ綺麗な男子生徒だった。
綺麗な髪の長さは腰より長い。
瞳の色は透き通った青色だ。
「助けて」
「大丈夫だ。落ち着いて、唯。時間を止めた」
いつの間にか、「食べたい」と集まっていた生徒が動きを止めていた。
「なんで?」
目の前の男子生徒を見上げる。
背丈は唯よりずっと高い。身長は180㎝以上あるかもしれない。
見上げなければ顔は見えない。
「御嵩龍之介といいます」
「御嵩家の方なんですか?」
「唯の護衛のつもり」
龍之介はクスリと笑う。
声は少し低く、それでも聞きやすい声だ。
唯は何度も頷く。
「護衛ですか?」
龍之介は微笑むと、唯の手を取り、「こちらへ」と唯を引っ張っていく。
「でも、香奈たちが」
振り向くと、長い黒髪の背が高い生徒が、固まったように動かない香奈たちや周りの生徒の額に順に触れていた。
「唯の力は、人には強すぎる。触れられてはいけない。だから、今まで花姫は御嵩の家からは出られなかった」
「私が高校に行きたいと願ってしまったから?」
「そうだね。理を変えた」
龍之介は何でもないように静かに言葉を続ける。
「辰巳が今、彼女たちの記憶を消している。唯の甘美な味を知ってしまったら、人ではなくなり鬼になり唯に襲いかかってくる」
「私を襲うんですか?」
「唯の花姫の力は強い。御嵩家の屋敷や領地を花盛りにできるほど。唯がこの学園に通うようになってから、この花咲町もずっと花が咲いている」
唯は静かに頷く。
「その甘美な香りに人間は、鬼になり自我が壊れて、唯を食べたくなる」
「そんな。私を食べるなんて」
唯は身震いする。
今、教室の中は人が変わったように「食べたい」と口々に言いながら、唯に襲いかかってきていた。
教室のすべての人の動きが止まっていた。
他の花姫たちまで、動きを止めている。
「あの、龍之介様の、このお力は?」
「少し、時間を止めているだけだ。今は俺と辰巳と唯だけがこの世界で動いている」
「時間を止めるお力ですか?神様みたい」
そう言った後、唯は改めて、龍之介の顔をじっと見つめた。
青い瞳に白銀の長い髪。聞き覚えのある優しい声。今は学校の制服を身につけているが、その姿は威厳に満ちている。
「青龍様ですか?」
龍之介はにっこりと微笑む。
唯は急いで跪く。深く頭を下げた。
「唯、俺は唯にそんなことは求めてはいない」
龍之介の手が、唯の手を掴み、引き上げるように立たせる。
「でも、青龍様ですよね?」
「龍之介と呼んでくれていい」
「勿体ないお言葉です」
今度は立ったまま頭を下げる。
「唯、顔を見せてくれ」
顎を持ちあげられ、目と目が合う。
「俺の妃になってくれるね?」
「私なんて、まだたったの16歳で、まだまだ子供です」
唯は慌てて、言葉を紡ぐ。
「もう決めている。その体に俺の鱗を飲ませた」
「いつですか?」
「唯が川に流され、湖の底に沈んだとき。人の体では死んでしまうほどの傷を負った。事後承諾で申し訳ないが、唯の命を助けるために、先に俺の妃になるための秘薬を飲ませた」
「緑色の薬ですか?」
「そうだ。俺の鱗を煎じた」
「そんな急に言われたって」
唯は混乱していた。
青波に毎食薬を飲まされた。
傷も癒えるのが早かった。
1週間で骨折が治った。
「嫌か?」
「戸惑っています」
「そうか」
唇に龍之介の唇が触れる。
膝が震えるような澄んだ霊気が送り込まれてくる。
唯の瞳がとろりと甘くなる。
唇が薄く開き、赤く染まっていく。
触れているだけなのに、気持ちよく、体が作り替えられていくように感じる。
ゆっくり唇が離れて、唯は倒れそうになって龍之介に抱きしめられる。
「まだ完全に体は癒えていない。俺の霊気を受け入れられる体になったに過ぎない。これからは、薬の代わりに俺の霊気で、死にかけた体を治す。回復も早くなるだろう」
「龍之介様。私を妃にというのは本気ですか?」
「唯が花を付けた日から待ち望んでいた」
「花ですか?」
「そうだな、そのうち、いろんな理を教えてやろう。いろんな場所にも案内してやろう」
辰巳が近くに寄ってきて、片膝をつけ唯を見上げた。
「千鶴が危険なときに助けてくださってありがとうございます」
「黒龍様?」
「辰巳と申します。龍之介様の護衛をしております」
「千鶴さんはお元気ですか?」
「ええ、元気にしております。今は私の霊気を受け入れるための体質改善をしております」
「よかった」
唯は微笑む。
「時間を戻す。いいか、唯。体に触れさせてはならぬ。忘れるな」
「はい、龍之介様」
龍之介の指先が、唯の指先に触れて離れていく。
皆が動き出した。
始業を知らせるチャイムが鳴る。
皆が席に着く。
「唯、これ、休んでいたときの授業のコピーよ。先生に言ったら使ってもいいって言ってくれて、コピーしたの。よかったら使って」
「……ありがとう」
時間が戻っている。
コピーもしてもらえた。
(龍之介様、ありがとうございます)
大量のコピー用紙をもらって、唯はそれを鞄にしまった。
教師が入ってきて、授業が始まる。
唯は背後を振り向いた。
教室の後ろの席に、龍之介と辰巳が座っている。
龍之介が微笑んだ。
唯も微笑みを返した。
長く借りっぱなしだったコミックを美保に返せる。
怒ってはいないかと心配して登校したら、五人は唯を心配していた。
「怪我をして療養していたの」
「もう体は大丈夫なの?」
「青龍様のお陰で、助けていただきました」
五人は「素敵」と言いながら、胸の前で手を合わせた。
桜花高校のある花咲町は、町全体で青龍様を祀っている。
花姫の存在も知っていて、我が子を花姫にして欲しいと願掛けをする人もいるそうだ。
友人になってくれた五人は、花姫の友人として、学校からも地域からも一目置かれているようだった。
「2巻のコミック、今日は持ってきてないから、明日持ってくるね」
「ありがとう」
唯は微笑む。
「休んでいた間のノートは、購買でコピーすればいいよ」
香奈の申し出に、唯は焦る。
「私、お金持っていないから払えない。だから、少しずつ写させて」
「花姫様はお小遣いないの?」
「うん。高校に通わせてもらえるのもイレギュラーなことみたいなの。今までは花姫になったら御嵩家からは出られないしきたりなの」
五人は頷く。
「窮屈なのね」
唯は微笑むことで本音を隠す。
(もっと自由に生きたい。みんなが羨ましいよ)
「綺麗な池があるのね」
唯は話題を変える。
「花咲町は池が多いの。高校の敷地にも池が入り組んでいて、散歩ができるようになっているのよ」
香奈が窓辺に唯を連れて行く。
「綺麗な景色」
町全体に花が咲いている。
「花姫様が転入されてから、町の花が満開に咲き始めたの。花姫様って、すごい力があるのね」
「花を咲かせることしかできないのよ。花咲かじいさんみたいでしょ?」
「唯って、本当に花姫様らしくないわ。他の花姫様は威張っているのに」
「私はまだ花姫になったばかりだから、自覚もないし、しきたりにも詳しくないの。香奈たちと同じ高校生だったんだもん」
クルッと回転すると、プリーツスカートが広がる。
懐かしい感覚。
ブラジャーやパンティーも着けられて、普通の高校生になったような気持ちよさを感じる。
「今日のお昼、池の畔にある東屋に行ってみる?」
「いいね、人気の場所だから空いているかわからないけど、そこでお弁当食べましょう」
由香里と明里の提案に、唯は頷いた。
「いろんな事、教えて」
「いいわよ」
香奈が唯の手を握った。
「唯の手って暖かいわ。なんだか気持ちがよくなる」
「どれどれ」
他の四人も唯の手に触れる。
「本当だ。なんだかいい香りもする」
「みんな止めてよ」
体に悪寒が走った。
本能でいけないことだとわかった。
体に触れる手を拒むと、五人は急に我に返ったように唯から離れた。
「花姫様の力なのね」
「分からないけど。あまり触らない方がいいと思う。みんなに何かあったら私、悲しいし」
五人は頷いた。
「でも、甘美な感覚よね」
「うんうん」と他の四人も頷き、唯の体に触れてくる。
「みんなやめて」
「……食べたい」
「唯を食べたい」
「ああ、美味しそう」
「食べたい」
「美味しそう」
五人の様子がおかしい。
食べたいと言いながら、顔つきが変わっていく。
唇が大きく耳まで裂けていく。
「いや、どうしたの。みんな」
周りの生徒が五人の言葉を聞いて、唯の周りに寄ってくる。
「いい香りだ」
「食べたい」
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい。食べたい……
生徒たちの口が大きく裂けていく。
「助けて!」
唯が声を上げると、誰かが唯の肩に触れた。
「落ち着きなさい」
肩に触れたのは、白銀の髪をもつ綺麗な男子生徒だった。
綺麗な髪の長さは腰より長い。
瞳の色は透き通った青色だ。
「助けて」
「大丈夫だ。落ち着いて、唯。時間を止めた」
いつの間にか、「食べたい」と集まっていた生徒が動きを止めていた。
「なんで?」
目の前の男子生徒を見上げる。
背丈は唯よりずっと高い。身長は180㎝以上あるかもしれない。
見上げなければ顔は見えない。
「御嵩龍之介といいます」
「御嵩家の方なんですか?」
「唯の護衛のつもり」
龍之介はクスリと笑う。
声は少し低く、それでも聞きやすい声だ。
唯は何度も頷く。
「護衛ですか?」
龍之介は微笑むと、唯の手を取り、「こちらへ」と唯を引っ張っていく。
「でも、香奈たちが」
振り向くと、長い黒髪の背が高い生徒が、固まったように動かない香奈たちや周りの生徒の額に順に触れていた。
「唯の力は、人には強すぎる。触れられてはいけない。だから、今まで花姫は御嵩の家からは出られなかった」
「私が高校に行きたいと願ってしまったから?」
「そうだね。理を変えた」
龍之介は何でもないように静かに言葉を続ける。
「辰巳が今、彼女たちの記憶を消している。唯の甘美な味を知ってしまったら、人ではなくなり鬼になり唯に襲いかかってくる」
「私を襲うんですか?」
「唯の花姫の力は強い。御嵩家の屋敷や領地を花盛りにできるほど。唯がこの学園に通うようになってから、この花咲町もずっと花が咲いている」
唯は静かに頷く。
「その甘美な香りに人間は、鬼になり自我が壊れて、唯を食べたくなる」
「そんな。私を食べるなんて」
唯は身震いする。
今、教室の中は人が変わったように「食べたい」と口々に言いながら、唯に襲いかかってきていた。
教室のすべての人の動きが止まっていた。
他の花姫たちまで、動きを止めている。
「あの、龍之介様の、このお力は?」
「少し、時間を止めているだけだ。今は俺と辰巳と唯だけがこの世界で動いている」
「時間を止めるお力ですか?神様みたい」
そう言った後、唯は改めて、龍之介の顔をじっと見つめた。
青い瞳に白銀の長い髪。聞き覚えのある優しい声。今は学校の制服を身につけているが、その姿は威厳に満ちている。
「青龍様ですか?」
龍之介はにっこりと微笑む。
唯は急いで跪く。深く頭を下げた。
「唯、俺は唯にそんなことは求めてはいない」
龍之介の手が、唯の手を掴み、引き上げるように立たせる。
「でも、青龍様ですよね?」
「龍之介と呼んでくれていい」
「勿体ないお言葉です」
今度は立ったまま頭を下げる。
「唯、顔を見せてくれ」
顎を持ちあげられ、目と目が合う。
「俺の妃になってくれるね?」
「私なんて、まだたったの16歳で、まだまだ子供です」
唯は慌てて、言葉を紡ぐ。
「もう決めている。その体に俺の鱗を飲ませた」
「いつですか?」
「唯が川に流され、湖の底に沈んだとき。人の体では死んでしまうほどの傷を負った。事後承諾で申し訳ないが、唯の命を助けるために、先に俺の妃になるための秘薬を飲ませた」
「緑色の薬ですか?」
「そうだ。俺の鱗を煎じた」
「そんな急に言われたって」
唯は混乱していた。
青波に毎食薬を飲まされた。
傷も癒えるのが早かった。
1週間で骨折が治った。
「嫌か?」
「戸惑っています」
「そうか」
唇に龍之介の唇が触れる。
膝が震えるような澄んだ霊気が送り込まれてくる。
唯の瞳がとろりと甘くなる。
唇が薄く開き、赤く染まっていく。
触れているだけなのに、気持ちよく、体が作り替えられていくように感じる。
ゆっくり唇が離れて、唯は倒れそうになって龍之介に抱きしめられる。
「まだ完全に体は癒えていない。俺の霊気を受け入れられる体になったに過ぎない。これからは、薬の代わりに俺の霊気で、死にかけた体を治す。回復も早くなるだろう」
「龍之介様。私を妃にというのは本気ですか?」
「唯が花を付けた日から待ち望んでいた」
「花ですか?」
「そうだな、そのうち、いろんな理を教えてやろう。いろんな場所にも案内してやろう」
辰巳が近くに寄ってきて、片膝をつけ唯を見上げた。
「千鶴が危険なときに助けてくださってありがとうございます」
「黒龍様?」
「辰巳と申します。龍之介様の護衛をしております」
「千鶴さんはお元気ですか?」
「ええ、元気にしております。今は私の霊気を受け入れるための体質改善をしております」
「よかった」
唯は微笑む。
「時間を戻す。いいか、唯。体に触れさせてはならぬ。忘れるな」
「はい、龍之介様」
龍之介の指先が、唯の指先に触れて離れていく。
皆が動き出した。
始業を知らせるチャイムが鳴る。
皆が席に着く。
「唯、これ、休んでいたときの授業のコピーよ。先生に言ったら使ってもいいって言ってくれて、コピーしたの。よかったら使って」
「……ありがとう」
時間が戻っている。
コピーもしてもらえた。
(龍之介様、ありがとうございます)
大量のコピー用紙をもらって、唯はそれを鞄にしまった。
教師が入ってきて、授業が始まる。
唯は背後を振り向いた。
教室の後ろの席に、龍之介と辰巳が座っている。
龍之介が微笑んだ。
唯も微笑みを返した。
1
あなたにおすすめの小説
「無能」と捨てられた少女は、神の愛し子だった――。 凍てつく北の地で始まる、聖獣たちと冷徹公爵による「世界一過保護な」逆転生活。
秦江湖
恋愛
魔法適性「鑑定」がすべてを決める、黄金の国ルミナリス。 名門ベルグラード公爵家の末娘アデリーンは、十五歳の鑑定式で、前代未聞の『鑑定不能(黒の沈黙)』を叩き出してしまう。
「我が家の恥さらしめ。二度とその顔を見せるな」
第一王子からは婚約破棄を突きつけられ、最愛の三人の兄たちからも冷酷な言葉とともに、極寒の地「ノースガル公国」へ追放を言い渡されたアデリーン。
着の身着のままで雪原に放り出された彼女が出会ったのは、一匹の衰弱した仔狼――それは、人間には決して懐かないはずの『伝説の聖獣』だった。
「鑑定不能」の正体は、魔力ゼロなどではなく、聖獣と心を通わせる唯一の力『調律師』の証。
行き倒れたアデリーンを救ったのは、誰もが恐れる氷の公爵ゼノスで……。
「こんなに尊い存在を捨てるとは、黄金の国の連中は正気か?」
「聖獣も、私も……お前を離すつもりはない」
氷の公爵に拾われ、聖獣たちに囲まれ、これまでの不遇が嘘のような「極上溺愛」を享受するアデリーン。
一方で、彼女を捨てた黄金の国は、聖獣の加護を失い崩壊の危機に直面していた。
慌ててアデリーンを連れ戻そうとする身勝手な王族たち。
しかし、彼らの前には「復讐」の準備を終えたアデリーンの兄たちが立ちはだかる。
「遅いよ。僕らのかわいい妹を泣かせた罪、一生かけて償ってもらうからね」
これは、すべてを失った少女が、真の居場所と愛を見つけるまでの物語。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
辺境伯夫人は領地を紡ぐ
やまだごんた
恋愛
王命によりヴァルデン辺境伯に嫁ぐことになった、前ベルンシュタイン公爵令嬢のマルグリット。
しかし、彼女を待っていたのは60年にも及ぶ戦争で荒廃し、冬を越す薪すら足りない現実だった。
物資も人手も足りない中、マルグリットは領地の立て直しに乗り出す。
戦しか知らなかったと自省する夫と向き合いながら、少しずつ築かれていく夫婦の距離。
これは、1人の女性が領地を紡ぎ、夫と共に未来を作る「内政×溺愛」の物語です。
全50話の予定です
※表紙はイメージです
※アルファポリス先行公開(なろうにも転載予定です)
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
理想の男性(ヒト)は、お祖父さま
たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。
そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室?
王太子はまったく好みじゃない。
彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。
彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。
そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった!
彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。
そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。
恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。
この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?
◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。
本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。
R-Kingdom_1
他サイトでも掲載しています。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる