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6 神様から求愛されて困っています
1 神からの求愛
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唯は龍之介の許可をもらって、龍之介からの贈り物の着物は着ずに花姫の正装である白い着物にピンクの羽織を着るようになった。
他の花姫たちの嫉妬を恐れて、おとなしく過ごしていた。
約束で、指には青い指輪ははめている。
禊ぎは体が弱いためにお休みしますと、神官から花姫たちに告げられ、唯は花姫の中で一番霊力の弱い虚弱な花姫と位置づけられた。
虐めは完全になくなりはしないが、それでも川に流されるような危険を伴う物はなくなった。
神社に参拝し、掃除の時間から花姫たちとは合流する。
「今日も冷たかったわ、いいわね。禊ぎをしなくていいなんて」
胡桃が唯に箒で掃いた埃をかけながら、嫌みを言う。
「すみません」
唯は丁寧に頭を下げる。
「体が弱いのに、花姫になれるなんて、本当に花姫不足なのね」
「花姫は年に一人しか生まれないらしいの。いっぱい殺されて、神様たちが花姫を探しているらしいですよ」
「私たちも神様に見られているのかしら?」
小花が言った言葉に、唯の周り集まってきていた花姫たちが、散らばって掃除を始める。
「規律正しく過ごしましょう。唯に構っている暇はないわ。龍神様が選んでくださるように努めましょう」
琴美が皆に声をかける。
「そうですね」
「自分のためですから」
唯は一人残されて、ゆっくり掃除を始める。
(みんな龍神様に選んでもらえるように、きちんとするようになった)
よく見ると、髪は正しく一つに結って、白い布で結ばれている。
身なりも崩れてない。みんな本気なんだ。
唯は空を見上げる。
(龍神様が見ていらっしゃるの?そういえば、私の傷が痛むたびに、龍之介様が来てくれた。ずっと私を見ているの?)
「唯様、掃除の時間は終わりですよ。箒を片付けましょう」
みのりが唯の手から箒を受け取り、プレハブ小屋に片付けに行った。
唯のそばには達樹がいる。
二人は必ず唯のそばにいてくれる。
みのりが走って戻ってくる。
「戻りましょうか?」
「はい」
唯はみのりに手を引かれて部屋まで戻った。
……
…………
………………
朝食を終えて、唯は白い着物にピンクの羽織を身につけた。
髪は一つに結び、ピンクの髪飾りを付けている。
みのりが着物の端切れでリボンを作ってくれた。何も望まないと言ってから、唯は本当に何も求めなくなった。他の花姫たちは綺麗に髪を飾り、美しく結い上げている者もいるが、唯は質素に暮らすように努めていた。
あまりにも頑固な唯の心を癒やすために、みのりが唯に似合いそうな色合いの髪飾りを作って見せた。
「みのり、ありがとう」
唯はみのりの贈り物を大切に身につけるようになった。
頑なな心が、少しは癒えたのか、唯はよく笑顔を見せるようになってきた。
「今日は湖に散歩に行きましょう」
行き先は湖のまわりの遊歩道くらいしかないが、毎日「散歩に行きましょう」と出かけていく。
花が咲かない山は、緑一面で、毎日の散歩もそれほど楽しくはないだろうが、唯は毎日遊歩道を散歩する。
『美しい花姫よ』
突然、頭に何か聞こえて、唯は足を止めた。
すっと目の前に、目の細い緑色の長い髪を高い位置で結んだ男性が立った。金色の着物に金色の羽織を着ている。
「私は出雲の青龍だ」
唯は急いで跪く。頭を深く下げた。
「そなたは花姫の力はないようだが、その衣装は花姫だな」
「花姫でございます」
(青龍様は、他の地方にもいるの?)
「花姫の霊気はないが、澄んだ霊気をしておる」
「ありがとうございます」
「私の花嫁にならぬか?いや、花嫁にもらいたい」
「すみません。私には約束をした方がおります」
咄嗟に唯は、指輪を片手で握った。
「今、隠したのはなんだ?」
「旦那様からいただいた指輪です」
「すでに求婚されておるのか?」
「はい」
唯は急いで答えた。
(龍之介様以外の神様の元へは行きたくはない)
「結納の着物は届いていないのか?」
「訳があって、着てないだけです」
「気に入らぬのか?」
「いいえ、私は霊力が低いので、他の花姫たちに嫉妬をされてしまうので、旦那様にお許しをいただいて、花姫の正装を着ているのです」
出雲の青龍様は、にやりと笑うと唯が隠した手を魔術でどけた。指輪が晒される。
「やめてください」
強い霊力に、唯の力では逆らうことはできない。
「相手は青龍か」
「はい」
「まだ若い鱗だ。私にしなさい」
「いやです」
「神の言うことが聞けんのか」
天上に雷が鳴った。その瞬間、指から指輪が抜けて、湖にポトンと落ちた。
「聞けません」
唯は毅然と立ち上がると、草履を脱いで柵を超えて湖に飛び込んだ。
「唯様、いけません」
「唯様」
控えていた達樹とみのりが立ち上がる。
「美しい花姫だったが、人のような体で湖の底までは潜れぬ。私の求婚を拒んだ報いだ。水草の肥やしにでもなるがいい」
出雲の青龍は、姿を消した。
「青龍様、唯様をお助けください」
達樹とみのりは、大声で叫んだ。
……
…………
………………
唯の体は、湖に沈んでいった。
意識はない。
大きな青龍の体が、唯を背中に載せて、爪の先で指輪を拾う。
他の花姫たちの嫉妬を恐れて、おとなしく過ごしていた。
約束で、指には青い指輪ははめている。
禊ぎは体が弱いためにお休みしますと、神官から花姫たちに告げられ、唯は花姫の中で一番霊力の弱い虚弱な花姫と位置づけられた。
虐めは完全になくなりはしないが、それでも川に流されるような危険を伴う物はなくなった。
神社に参拝し、掃除の時間から花姫たちとは合流する。
「今日も冷たかったわ、いいわね。禊ぎをしなくていいなんて」
胡桃が唯に箒で掃いた埃をかけながら、嫌みを言う。
「すみません」
唯は丁寧に頭を下げる。
「体が弱いのに、花姫になれるなんて、本当に花姫不足なのね」
「花姫は年に一人しか生まれないらしいの。いっぱい殺されて、神様たちが花姫を探しているらしいですよ」
「私たちも神様に見られているのかしら?」
小花が言った言葉に、唯の周り集まってきていた花姫たちが、散らばって掃除を始める。
「規律正しく過ごしましょう。唯に構っている暇はないわ。龍神様が選んでくださるように努めましょう」
琴美が皆に声をかける。
「そうですね」
「自分のためですから」
唯は一人残されて、ゆっくり掃除を始める。
(みんな龍神様に選んでもらえるように、きちんとするようになった)
よく見ると、髪は正しく一つに結って、白い布で結ばれている。
身なりも崩れてない。みんな本気なんだ。
唯は空を見上げる。
(龍神様が見ていらっしゃるの?そういえば、私の傷が痛むたびに、龍之介様が来てくれた。ずっと私を見ているの?)
「唯様、掃除の時間は終わりですよ。箒を片付けましょう」
みのりが唯の手から箒を受け取り、プレハブ小屋に片付けに行った。
唯のそばには達樹がいる。
二人は必ず唯のそばにいてくれる。
みのりが走って戻ってくる。
「戻りましょうか?」
「はい」
唯はみのりに手を引かれて部屋まで戻った。
……
…………
………………
朝食を終えて、唯は白い着物にピンクの羽織を身につけた。
髪は一つに結び、ピンクの髪飾りを付けている。
みのりが着物の端切れでリボンを作ってくれた。何も望まないと言ってから、唯は本当に何も求めなくなった。他の花姫たちは綺麗に髪を飾り、美しく結い上げている者もいるが、唯は質素に暮らすように努めていた。
あまりにも頑固な唯の心を癒やすために、みのりが唯に似合いそうな色合いの髪飾りを作って見せた。
「みのり、ありがとう」
唯はみのりの贈り物を大切に身につけるようになった。
頑なな心が、少しは癒えたのか、唯はよく笑顔を見せるようになってきた。
「今日は湖に散歩に行きましょう」
行き先は湖のまわりの遊歩道くらいしかないが、毎日「散歩に行きましょう」と出かけていく。
花が咲かない山は、緑一面で、毎日の散歩もそれほど楽しくはないだろうが、唯は毎日遊歩道を散歩する。
『美しい花姫よ』
突然、頭に何か聞こえて、唯は足を止めた。
すっと目の前に、目の細い緑色の長い髪を高い位置で結んだ男性が立った。金色の着物に金色の羽織を着ている。
「私は出雲の青龍だ」
唯は急いで跪く。頭を深く下げた。
「そなたは花姫の力はないようだが、その衣装は花姫だな」
「花姫でございます」
(青龍様は、他の地方にもいるの?)
「花姫の霊気はないが、澄んだ霊気をしておる」
「ありがとうございます」
「私の花嫁にならぬか?いや、花嫁にもらいたい」
「すみません。私には約束をした方がおります」
咄嗟に唯は、指輪を片手で握った。
「今、隠したのはなんだ?」
「旦那様からいただいた指輪です」
「すでに求婚されておるのか?」
「はい」
唯は急いで答えた。
(龍之介様以外の神様の元へは行きたくはない)
「結納の着物は届いていないのか?」
「訳があって、着てないだけです」
「気に入らぬのか?」
「いいえ、私は霊力が低いので、他の花姫たちに嫉妬をされてしまうので、旦那様にお許しをいただいて、花姫の正装を着ているのです」
出雲の青龍様は、にやりと笑うと唯が隠した手を魔術でどけた。指輪が晒される。
「やめてください」
強い霊力に、唯の力では逆らうことはできない。
「相手は青龍か」
「はい」
「まだ若い鱗だ。私にしなさい」
「いやです」
「神の言うことが聞けんのか」
天上に雷が鳴った。その瞬間、指から指輪が抜けて、湖にポトンと落ちた。
「聞けません」
唯は毅然と立ち上がると、草履を脱いで柵を超えて湖に飛び込んだ。
「唯様、いけません」
「唯様」
控えていた達樹とみのりが立ち上がる。
「美しい花姫だったが、人のような体で湖の底までは潜れぬ。私の求婚を拒んだ報いだ。水草の肥やしにでもなるがいい」
出雲の青龍は、姿を消した。
「青龍様、唯様をお助けください」
達樹とみのりは、大声で叫んだ。
……
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………………
唯の体は、湖に沈んでいった。
意識はない。
大きな青龍の体が、唯を背中に載せて、爪の先で指輪を拾う。
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