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1 二度目の家族
5 お兄ちゃんは酔うと私を抱こうとするの?
しおりを挟むファッションデザイナーの母が、賞をもらいパーティーが開かれることになった。
亜里砂は出席を辞退した。
頑な亜里砂を置いて、夫婦でパーティーに出かけていった。
母が賞をもらったことは嬉しかったし、お祝いもしたいと思ったけれど、人がたくさんいるところに行くのが嫌だった。
母にはちゃんと理由を説明して、理解はしてもらった。
学校で虐めに遭っている亜里砂は、できるだけ地味にしていたい。
名門校なので、母のパーティーにクラスメートが出席するかもしれない。そのとき、迷惑をかけたくない。
母は寂しそうな顔をしたが、迷惑をかけてからでは遅い。
お風呂に入った後、コンビニで買ってきたお弁当を食べて、なんとなくテレビを見ていると、友麻が帰ってきた。
「お帰り、お兄ちゃん」
「ただいま、亜里砂」
酔っているのか、足下がおぼつかない。
「お兄ちゃん、酔ってるの?」
「酔ってるな、亜里砂が二人いるみたいだ」
「もう寝なよ」
酔ったままお風呂に入るのは危険だと母が言っていたのを思い出して、兄の体を兄の部屋に押し込む。
友麻の部屋にもベッドはある。
鞄を椅子に置くと、スーツの上着を脱ごうとするが、うまく逃げないようだ。亜里砂は仕方なく、手伝ってあげる。
脱いだスーツをハンガーにかけると、横から友麻が抱きついてくる。
「亜里砂好き」
「お兄ちゃん、寝なよ」
「それなら亜里砂が寝かせてよ」
首筋に唇が触れると、お酒くさい。
その体を押しのけた。
「お兄ちゃん、お風呂に入ってないでしょう?いやだ」
「わかった、風呂に入ってくる」
友麻は何も持たずに部屋を出て行った。
「お兄ちゃん、着替えは?」
「なくてもいいや」
裸で戻ってくるつもりだろうか?
「お兄ちゃん、それなら酔いが少し覚めるまで、ソファーで横になってたら?」
「亜里砂も一緒にいてくれるのか?」
「少しくらいなら」
ふらつく友麻の腕を掴んでリビングに連れて行く。
ソファーに座らせて、グラスに水を入れて友麻に飲ます。
「ありがとう」
「別にいいよ。でも珍しいね、お兄ちゃんがこんなに酔ってるのを初めて見たよ」
「上司に飲まされた」
亜里砂は苦笑した。
優しい兄らしい。
頼まれれば、なんでも引き受けてしまう。
亜里砂のことも、誰も頼まなかったのにすべてを受け止めてくれた。
「ご飯は食べてきたの?」
「今日は外で食べてきた」
「うん」
席を立って、もう一杯お水をくんでくる。
「お父さんとお母さん、パーティーでいないから、少し眠ったら?」
残暑があるので、エアコンはつけてある。
薄い膝掛けを友麻にかけると、腕を引かれて友麻の上に倒れてしまった。
くるりと体の位置を反転させられ、押し倒されると、唇が触れて、そのまま舌が亜里砂の舌を追いかける。
「お兄ちゃん、だめ」
「おとなしくしてろよ」
「いやだってば」
パジャマの中に手が入ってきて、胸を揉まれる。
友麻の唇が胸を吸い、痕が残るほど肌を吸う。
ボタンが外されていく。
「お兄ちゃん、やめて」
パジャマをはだけられて、胸を隠そうとするが、腕を掴まれて肌を晒される。
「綺麗だな」
「お兄ちゃん」
「亜里砂のこと好きなんだ。このまま抱いていい?」
パジャマのズボンを下げられて、全裸にされてしまう。
逃げ出す前に、押さえつけられ、膣に指がいきなり二本入ってきて、友麻の胸を叩く。
「セーブポイント超えちゃう」
ベルトを緩める音がしたとき、玄関の方で音がした。
亜里砂は、テーブルの上のコップを掴むと友麻の顔に水をかけて、怯んだ隙に、パジャマのズボンを掴むと部屋に逃げ出した。
両親が帰ってきた。
「友麻、何してるの?」
母の声がする。
亜里砂は急いでパジャマを着た。
部屋の電気をつけずに、ベッドに潜った。
「お土産買ってきたよ、亜里砂」
父の声がしたが、返事をしなかった。
「もう眠ったのか?」
カタンと扉が閉まった。
亜里砂は体を丸めて泣いていた。
初恋は友麻だ。一目惚れだ。病んだ亜里砂を受け止めて、怖い夜を一緒に過ごしてくれる大好きな人だ。『お兄ちゃん』と呼ばずに、『友麻』と呼びたいほど、大好きだ。
体を求められて、本当は嬉しい。好きだと言われて、飛び上がるほど嬉しい。すべてを差し出してしまいたい。
けれど、そんなことをしたら兄妹でいられなくなる。
両親に引き離されてしまうかもしれない。
一緒にいるために拒んでいる。
(ごめんなさい、ごめんなさい、お兄ちゃん大好き)
その日の深夜に、亜里砂のベッドに友麻が入ってきた。
亜里砂は気付いたが、眠ったふりをした。
首筋に唇が触れて、亜里砂を守るように体を抱きしめてきた。
「おやすみ、亜里砂」
すぐに友麻の寝息が聞こえた。
体の向きを変えて、友麻に抱きついて、唇にキスをした。
「大好き」
綺麗な頬のラインを撫でた。
「最後まで抱いてよ、友麻」
もう一度、キスをして、その胸に頬をつけた。
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