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第二章

7    きちんとした女の子になるために   ※

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 朝食が終わると、アスビラシオン様は仕事に出かけた。

 おれは、王妃様に誘われて、お茶を飲んでいた。

「チェリーの男装は初めてね?」

「はい。男なのに、本当にすみません」

「いいのよ。この世界は男性として目覚めていない男の子は、女の子になれるようなのよ」

 王妃様は今までと変わらずに接してくれる。

 なんて優しい王妃様だろう。

「シオンは幼い双子の姉弟を見て、モモちゃんではなくチェリーを見初めたのよ。歳が離れているから、婚約者にするのに私達も迷いはあったのだけど、シオンがね、チェリーが生長するまで待つと決めて、他の婚約者候補をすべて断ってしまったのよ」

 王妃様はおれが婚約者の選ばれた経緯を教えてくれる。

 そこまでアスビラシオン様に想われてきたのかと思うと、おれの胸もキュンとしてしまう。

「どうか、シオンをお願いしますね」

「王妃様、僕こそお願いします。シオン様にも王妃様にも優しくしていただいて、すごく幸せです」

「そう、よかったわ」

 王妃様は、アスビラシオン様とは違う空色の瞳を細めて、優しげに微笑んだ。

 あの蜂蜜のような黄金の瞳は父親譲りなのだろうか?

 国王陛下も王妃様もアスビラシオン様と同じ金髪で輝いて見えるような気がする。

 実際には輝いていないので、これはおれが抱いたイメージだ。

 おれの髪は、ストレートの白銀だ。美しいけど、黄金のような温かなイメージは受けない。

 どうしておれだったのだろう?

 綺麗な普通の令嬢がたくさんいるのに?

 そこは不思議だった。

「母上、チェリーをありがとうございます」

 王妃様と話をしていると、気付くと何時間も経っていることが多い。

 仕事を終えたアスビラシオン様がおれを迎えに来てくれた。

「いいえ、私がお話に付き合って貰っているのよ」

 王妃様はお茶目に笑って、「さあ、行きなさいな」とおれに席を立つように勧めてくれる。

「王妃様、ありがとうございます。それでは失礼いたします」

 おれはワンピースを着てなくても、礼儀よくお辞儀をした。

 動くと、おれの中に埋め込まれている張形が動くから、変な声が出そうになるのを気をつけながら……。

 アスビラシオン様はおれの手を取ると、ゆっくりエスコートしてくれる。

「そろそろ張形を動かさないといけないから、寝室に行くよ」

「動かすの?」

 ポッと頬が熱くなる。

「今、チェリーの体の中は女の子のように、変化している途中だ。動かさないと張形を包みこんでしまうんだ。傷が治るときと同じ原理だね」

「……うん」

 とても分かりやすい説明、ありがとうございます。

 それで今からおれと、こんな昼間から寝室でエッチな事をするのね?

 ああ、恥ずかしい。

 チェリーの中身は29歳の男ですが、転生したので、それは秘密です。

 寝室に入ると、アスビラシオン様はおれのお洒落なシャツを脱がせて、おれのズボンも下着ごと脱がせてしまった。素っ裸になったおれを、ベッドに寝かせると、アスビラシオンはおれの足を開いて、足と足の間に身を置いた。

 まるでおれを犯すような体勢だ。

 おれは目を閉じた。きっといきなり張形を動かされると思ったからだ。

 けれど、アスビラシオン様はおれに重なり、唇を合わせた。

 ご挨拶のキスでしょうか?

 それにしては、少々激しいですよ。

 舌がするりと入ってきて、口の中を蹂躙してくる。

 あまりに気持ちが良くて、おれはキスに夢中になっていた。

 手がおれの胸を揉んでくる。

 まな板のように、なんの膨らみもない胸だけれど、筋肉も付いていない柔らかな手触りだけは、我ながら受けとしては、喜ばれるかもしれないと思ってしまう。

 アスビラシオン様はキスをしながら、おれの胸を愛おしげに揉み続ける。

 長いキスが終わると、体をずらして、おれの乳首を口に含み、甘く噛んだり、吸ったりしてくる。

 なんだか気持ちが良くなって、おれはアスビラシオン様の美しい髪を掴んだ。

 アスビラシオン様は張形に触れずに、胸ばかりを揉んでくる。

 室内には、アスビラシオン様の唾液の音と、おれの喘ぎ声が聞こえている。

 おれは気持ち良くなって、自然に出てくる声を我慢できなかった。

「ん、あん、いい、もっと……ん、んんん」

 アスビラシオン様はピチャと濡れた音を出しながら、乳首から離れて、上体をあげた。

 おれは、終わったのかと思って、目を開けた。

「チェリー、胸の大きさは大きい方がいいか?それとも小さい方がいいか?」

「胸の大きさ?」

 問いかけられて、おれはアスビラシオン様の視線を追って、自分の胸を見た。

「胸ができてる!」

 おれは驚いて、声を上げた。

「今、作っている途中だ。大きさの希望はあるか?」

「別にないけど……おれ、本物の女の子になるのか?」

「ああ、ペニスは残しておくが」

「……」

 おれは驚いて、声が出なかった。

「希望がなければ、私の好きにするがいいか?」

 おれは頷いた。

 触るのはアスビラシオン様だけだ。作っているのなら好きなようにすればいいだろう。

 アスビラシオン様はまたおれの胸を揉み出した。

 パンを捏ねるように、モミモミと。

 どんな胸ができるのだろう?

 おれはじっと自分の胸を見ていた。

 ただ、とても気持ちがいい。

 もっと触って欲しいと思える程度に、快楽を与えられる。

 初めて射精を覚えたペニスも疼いてきて、勃起しているのが分かる。

「射精は我慢してくれよ。我慢ができなくなったら言うように」

「……もう、我慢ができないよ」

 アスビラシオン様は苦笑を浮かべた。

 ポケットの中から赤いリボンを出した。

「……アスビラシオン様」

「シオンだろう?」

「あのシオン様、そのリボンは?」

「これはチェリーの為の物だよ」

 そう言うと、体をずらして、おれの勃起したペニスの根元を縛った。

「うううう……」

 酷いよ。しかもリボン結びだ。

「もう少し、我慢してくれるかな?」

「嫌だって言ってもするんでしょ?」

「そうだね」

 にっこり微笑んで、またおれの胸を揉み出した。

「ああん、ううん、変になっちゃうよ」

「変になってもいいよ」

 おれは与えられる快感に振り回され、自分の胸を見る余裕はなかった。

 両手で顔を覆い、射精感を必死に我慢していた。

「これくらいでいいだろ」

 そう言うと、おれの胸から離れていった。

 おれの脇を掴むと、ベッドに座らされた。

「見てごらん」

 おれは自分の胸を見て吃驚した。

 大きすぎず小さすぎず、形のいい胸がおれにできていた。

「すごい」

 ぷるんとした胸は乳首がつんと起っていた。

 アスビラシオン様はベッドから降りると、姿見を持って来た。

 その鏡におれの姿を写してくれる。

 美しい少女がいるようだ。

 モモのように、ちゃんと胸がある。

 モモより美しい胸をしている。

「足も開いてごらん」

「恥ずかしいよ」

「自分の新しい姿は見ておいた方がいい」

 そう言うと、アスビラシオン様はおれの足を開いて、そこを見せた。

 木の張形を咥えているので、よく見えない。

「これが邪魔だね」

 そう言うと、張形を抜いた。

 お腹の中が擦れる感触の後、異物感がなくなった。

「目を開けてごらん」

 おれは、ゆっくり目を開けた。

「あ……」

 美しい花びらが咲いているようだ。

 淡いピンクで、張形が入っていたそこは、小さな口を開け、輝く蜜が垂れている。

 美しいが、とてもエッチだ。

 反り返ったペニスの下に睾丸があり、その下に秘密の花園ができている。

「気に入ってくれたか?」

「僕、男の子だよね?」

「男の娘になっただけだよ。両性具有にした。私は錬金術を使えるんだ。チェリーを見た時に私の最愛を作って愛せると思えたんだ」

「僕で試したかっただけじゃないの?」

「それはないとは言えないけど、愛しているのは本当だ」

 おれは変わりすぎた自分の姿を見て、悲しくなった。

 昨日までは、普通の男の子だったのに、胸があり女性器がある。

 おれは足を閉じた。

 前世のおれは、恋人がいなかったので、性経験はなかった。だから女性器を見るのは、写真か絵だったが、男の自分にできると、それはそれでショックだった。

「気に入らなかったのか?今なら作り替えることはできるよ?」

「男に戻してよ」

「それはできない。チェリーは私の花嫁になるのだから」

「男でいてもいいって言ったよね?」

「勿論、男の姿でいても構わない」

「……」

 神様、おれはこんな事望んでなかったよ。

 おれは、一生、美味しい食事にありつけて、おれを大切に愛してくれる人がいれば、それ以上の望みはないと望んだ。

 おれを大切に愛してくれる人が、アスビラシオン様なのですか?

 こんな姿に変えられてしまったのに……。

「チェリー、ショックを受けてしまったのか?だが、一生チェリーを愛していく覚悟で、この姿に変えた。落胆はしないでくれ。この世界では、こういう行為は一派的だが、チェリーは知らずに育ってきたのだな?」

「一般的なのか?」

「ああ、付き人のランドは男の娘だ。ドルフと兄弟だが、二人は夫婦だ」

「……親近相姦もありなのか?」

「なにか言ったか?」

「……別になにも」

「納得してもらえたか?」

 おれは頷いた。

 そういう世界に転生してしまったのだから受け入れるより仕方が無い。

 神様にお願いするとき、一言二言足りなかったのは自分のせいだ。

 アスビラシオン様は鏡を、端に片付けると、おれの元に戻って来た。

「すぐに楽にしてあげるからね」

 おれをベッドに横たえると、勃起したペニスのリボンを解いた。その瞬間、アスビラシオン様がおれのペニスを咥えた。

 飛び出す精液を、チュッっと吸って、飲み込んだ。

 量は少なかったと思う。溜まっていた物が出ただけだ。射精感はもう無くなっていたから。

「気持ちが逸れてしまって、一番、気持ちがいいときにイかせてやれなくて、すまなかった」

 おれは首を振った。

 もともと性欲がなかった体だ。刺激されて、勃起しただけで、これは生理的処理に近いような気がする。

「嫌かもしれないが、また張形を挿入するよ?」

「……そうしなければならないなら」

 仕方が無い。

「目を閉じていなさい」

「……大丈夫です」

 おれはじっとアスビラシオン様が何をするのか見ていた。

 新しい張形はトレーに載せられていた。大きさは最初の物より太い。何か塗ってあるのか、張形はつやつやしていた。

「オイルが塗ってあるから、滑りがいいと思う。痛みもないはずだ。力は抜いていた方が楽だろう」

 おれは頷いた。

 それから、何度か深呼吸をして、体から力を抜いた。

 花園に触れた張形は、おれの体の中にすんなり入って行った。

 痛みはなかった。

 ただ異物感は、最初の頃より大きい。

 動けるかな?と心配になるほどだ。

 下着も履かせてくれた。ただ胸が大きくなって、今まで着ていたドレスシャツが着られないので、バスローブを着せられた。

「昼食を食べたら、洋服の採寸をしてもらう」

「……はい」

「辛い想いをさせたなら、すまない。でも、チェリーを愛しているのは本当だから、私を嫌わないでくれ。必ず幸せにする」

 アスビラシオン様はおれを正面から抱きしめた。

 頭にキスが落ちてきた。

 愛されているのは、きっと本当だ。

 おれは、この運命を受け入れることを決心した。

 男の娘になってしまったが、この世界では珍しい事ではなさそうなので、流されよう。

 ダイニングまでは、アスビラシオン様が抱き上げて連れて行ってくれた。

 食事は美味しい。プリンに似たプリューンも、また出してくれた。

 ご飯が美味しければ、まあいいか……。

 反発したところで、どうせ結婚したら、この体はアスビラシオン様に抱かれるのだから。

 美人にしてくれ、取り敢えずありがとう。



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