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2 奔放なプリューム
1 奔放なプリューム(1)
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プリュームは自宅へ戻った。
「あら、プリューム。王宮から戻って来たの?」
「ええ。イグレシア殿下が一度実家に戻ったらどうかと言うので」
プリュームは追い出されたとは決して言わない。まだ諦めたわけではない。
「お優しい殿下ですわ。いきなり家から出て行ったら私たちが寂しがると気遣いなさってくださったのね」
「そうなの、お母様。一度、実家に戻って家族と過ごしてきなさいと言ってくださいました」
「せっかく帰って来たのですけれど、お父様は議会に出ております。アリエーテは仕事を始めたのよ。タクシスは学校ね」
「アリエーテお姉様、お仕事を始めたのですか?」
「ええ、今では人気デザイナーよ」
「……人気デザイナー?」
「そうよ。洋服やドレスのデザイン画が上手くて、今までおとなしく興味のなさそうな顔をしていたのに、急に目覚めたように始めたのよ。朝の教会の仕事を終えた後から、夕方まで働いているわ」
「……お姉様が?」
プリュームは姉の部屋に向かった。扉を開けると、今までとは全く違ったお洒落な部屋に様変わりしていた。そのまま部屋の奥へ行き、クローゼットを開けると、昔は古い白いワンピースと古いドレスが数着あっただけなのに、色も鮮やかなドレスが並び、普段着のワンピースも派手やかで見たこともないデザインの洋服になっていた。
何があったのかしら?
プリュームはアリエーテの部屋の中で、洋服を見た後、お洒落なドレッサーを見た。引き出しを開けると、綺麗に整理された化粧品や装飾品が出てくる。ドレッサーの上には宝石箱まで置かれている。
「プリューム、駄目よ。アリエーテの部屋に入っては」
「お母様、これはどういうことなの?」
「アリエーテが自分で働いて買った物よ。アリエーテが留守の時は勝手に入っては駄目。勝手に触るのもマナー違反よ。人の物に手を出してはいけません」
「……ええ、そうね」
まるで今までアリエーテの物を持ちだしていたことを叱られているようだ。いや、違う。婚約者を奪うような真似をしたことを叱られているのだろうか?
「あまりに変わっていたから、少し見ただけよ。何も持ち出してはいないわ」
「それならいいけれど。留守の間に触れないでと言われているの。いいわね。勝手に部屋に入ってはいけません」
「そんなに怒らなくてもいいでしょ。少し見ただけですもの」
「あなたは、放っておくと勝手に自分の物にしてしまうから。今回のイグレシア殿下の事も……。婚約していたのはアリエーテよ。どうしてプリュームが婚約者になったのか、お母様に説明してちょうだい」
「……殿下に迫られたのよ」
「イグレシア王子はアリエーテと早く結婚をしたいと、私たち両親に話していたのよ。アリエーテが戦いに向かうときも、アリエーテに危険があるかもしれないと、それはもう心配して、何度も会いに来ていたわ。あなた、イグレシア殿下に何かしたんじゃないでしょうね?」
「お母様は私を疑っているの?」
「その手首の花は何?プリュームには、そんな痣はなかったわ。アリエーテの痣とは違って、まるで本物の花のように見えるわ。いつ、その花を刻んだの?」
「これは自然に浮かんできたのよ」
「見せてみなさい」
母は、プリュームの手首を掴むと、じっと目を凝らしてタトゥーを見る。
「あなた家族の反対を押し切って、1週間ほど旅行に出たときがあったわね。あの後から、手首に花があったわね。母の目を誤魔化せると思っていたの?いつも包帯で隠していたから、何も言わなかったけれど、まさか自分が聖女だなんて言わなかったでしょうね?偽証罪で処罰されるわよ」
「……言ってないわよ」
「お父様が戻るまで、自分の部屋にいなさい」
「……分かったわよ」
自分の部屋に戻ると、部屋は片付けられ、殺風景なのに、床には箱に詰められたいろんな物が置かれていた。王宮に運ぶように部屋を片付けて欲しいと頼んだのは自分だ。
さすがお母様と言うべきか?プリュームのタトゥーにも気付いて、いつも奪うようにアリエーテから物を持ちだしていたことも知っている。同じ家に住んでいたのだから、気付かない方がおかしいのかもしれないけれど……。
「……はあ、退屈だわ」
夕方まで家を抜け出そうかしら。お母様と顔を合わせたら、また色々言われそうだし……。
プリュームは静かに階段を降りて、外への扉を開いた。
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