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3 王妃様の誕生日パーティー
2 王妃様の誕生日パーティー(2)
しおりを挟む王妃様の誕生日パーティーは1週間後で、駆け込みでドレスを新調するお客が多く、お店は忙しかった。私は予約のお客を相手にしているので、普段とあまり変わらないけれど、お店が慌ただしく、担当のお客が、落ち着きをなくしている。
オーダーメイドのドレスやウエディングドレスの申し込みだが、私が数枚提案のスケッチを描いて、デザインを見てもらう。描き溜めた物もあるので、お客はけっこう迷う。
実際に布を顔に当て、色合いも見ていく。迷いながらも、気に入った物を選んで喜んで帰って行く。
「今日もお疲れ様です。みなさん喜んで帰って行かれましたね。オーダーメイドの品だと生地が違いますから、お値段も違ってきます。本当に毎日、ありがとうございます」
「いいえ、私も楽しんでしていますので。使っていただいて嬉しく思っています。ああ、そうだわ。王妃様の誕生日パーティーに出席しますから、その日はお休みをください」
「予定は開けていますわ。公爵令嬢の聖女様の予定は、ある程度把握しています」
「まあ、私よりしっかりなさっていますね」
「あまり無理をなさらない程度で、こちらにいらしていただければ……。聖女様に選んでいただけると、皆さん喜んでいらっしゃいますので」
「そうですか。今は融通が利くので、今のペースで構いませんが、予定が入るようになったら、来られない日もあるかもしれません」
「忙しい聖女様なので、そのことは分かっています」
「お願いします」
「こちらこそ、お願いいたします」
店長と話し、頭を下げ合って、時間を見るといつもより遅い時間になっていた。
「お先に失礼します」
「お疲れ様でした」
気持ちの良いかけ声を聞きながら、私は帰宅を急ぐ。
迎えの馬車に乗り、街から郊外へと向かっていく。さすがに少し疲れていた。馬車に揺られながら、うつらうつらと眠る。
『アリエーテ、僕はずっと君だけを愛している』
『イグレシア様、私もずっとお慕いしています。早く大人になりたいです』
『アリエーテは聖女だ。清い体でいなくてはいけない。僕も清い体でいよう』
『イグレシア様、お優しい言葉、嬉しく思います。いつか私を花嫁にしてください』
『ああ約束しよう。会う度にアリエーテを愛していく』
『私、幸せです』
彼の手が私の手を握る。手を繋いで庭園を散歩する。美しい薔薇が咲いている。
「お嬢様、自宅へ着きました。お嬢様……」
急に現実に戻って来て、目が覚めた。
御者が声をかけていた。
「あ、ごめんなさい。すぐに降ります」
馬車から降りて、庭園を見た。綺麗な冬咲きの薔薇が咲いていた。
アリエーテは思い出の中を彷徨っているのだと、気付いた。
「ただいま、帰りました」
「お帰り。今日は遅かったわね」
「皆さん、王妃様の誕生日パーティーで、落ち着かないのですわ。お部屋に荷物を置いてきます」
私室に戻ると、モリーとメリーが立っていた。
「お帰りなさいませ」
「ずっとお部屋を守ってくださってありがとう」
「鍵は付けていただきました」
モリーが鍵を渡してくれる。
「合鍵はあるかしら?」
「はい。私たちが一つお預かりいたします」
「ええ、お願い」
バックを置いて、手を洗い、うがいをする。
この世界に来るまでの私の習慣が、そのまま出ている。
カップを置いて、食事に向かう。
モリーとメリーも出てきて、鍵をかける。
キーホルダーを付けなくては……。
取り敢えず、ポケットにしまって、ダイニングに向かう。
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