完結【第7回ホラー・ミステリー小説大賞サスペンス応募作】宝石の行方

Mr.後困る

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暗号解読

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王宮にて国の重鎮が集まっていた。

「暗号の解読は成功しました」

参謀総長が苦々しく口を開いた。

「で、 内容は?」

大臣のロウが問う。

「身代金と受け渡し方法です、 身代金は1兆G分のダイヤモンドを要求していますが・・・」
「ならば見殺しで構いませんね陛下?」

ルイ王国の国王ルイ三世は頭を抱えた。

「考える迄も無いでしょう陛下、 あの娘にそれ程の価値はない
父親のカボン子爵でもそこまでの金を支払う事は出来ないでしょう」
「そうもいかんのだ・・・あの愚息は既に神前での婚約を済ませている」

ざわつく一同、 神前での婚約は神への誓い、 破る事は神への裏切り。
後に待つのは教会からの破門である、 教会からの破門は社会的な死と言い換えて良い。
そしてその婚約に対して周囲は配慮を行う必要が有った。
さもなくば教会からの心証は下がる、 社会的な信用低下を招く事になるのだ。

「何と愚かな・・・婚約者を裏切った男と婚約者から男を寝取った女が神前婚約?
馬鹿げてる!! 神前婚約なんて立場ある人間がする事じゃない!!」

激昂して立ち上がるロウ。
貴族間での婚約なんて物は政治的判断で変わる代物故に
神前婚約なんて物はしない。

「本人達が勝手にやった事だ・・・・・信仰に対し口出しは出来ぬ」
「勝手にやった事では済まされませぬ!! 1兆Gのダイヤモンドを如何やって調達するつもりですか!!」
「大金だが支払えない額では無いだろう」
「しかし!!」
「お黙りなさい!!」

王妃フロアーがぴしゃりと制する。

「この事態になったそもそもの原因はお前と騎士団長の息子の不手際もあるのですよ!!」
「っ・・・」
「・・・・・」

ロウが苦虫を噛み潰した表情をし騎士団長のチェンが黙って聞いていた。

「身代金は支払わなければならないでしょうが国庫だけに負担させませんよ!!
あなた方二人とあのカボンとか言う田舎貴族にも負担して貰います!!」
「なっ!?」
「・・・・・陛下、 私は騎士の家系に過ぎません
公爵家のロウ大臣とは違い、 我が家に財はありませんが」
「ならば金を調達しなさい!! 一国の騎士団長の貴方には信用が有るでしょう!!」
「息子が大失態をやらかした騎士団長に信用は有りますかね?」
「それは問題有りませんわ
市井の馬鹿共は『悪役令嬢から真実の愛を勝ち取った二人』として
愚息マーカス阿婆擦れシーを称えていますから
それに一役買ったあなたの息子の人気も高いですわ」
「・・・・・」

チェンは瞑目した。

「・・・・・2500億Gを支払えと言うのですか?」

ロウが尋ねる。

「まさか!! そこまでの大金を払えなんて申しませんわ!!
カボンの家の財務状況を調べ上げました!! 婚約破棄の始末をつけるためにね!!
その結果、 カボンの財産は動産不動産、 経営商会を全て処分すれば
5000億G位にはなりますわ!!」
「え? そんなにするのか?」

ルイ3世が尋ねる。

「せこせこと稼いでいた様ですね!! 残りは国庫と騎士団長と大臣で割って
大体1300億と言った所でしょうか!!」
「それ位ならば支払えますかね」
「ちょっと待って下さい、 支払った後で犯人を逮捕してダイヤモンドを取り返せば良いのでは?」
「勿論そうしますよ!! 騎士団長には頑張って頂きたい!!」
「しかし問題が有るでしょう、 ダイヤモンドを如何やって集めます?
いやそもそも国内にダイヤモンドが1兆G分有るんですか?」

一同黙った。

「頼りたく無いが・・・仕方ないか・・・」

ルイ3世がぽつりと呟いた。
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