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チャプター16:インフェルノ・クイーン
ブラザーズ
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ネーデル公爵領直轄領、 ラーヘ・ランデン。
この街は低地に位置しており防風対策は必要なく古来から栄えた街である。
その街の一角、 ネーデル公爵直営キャバクラ【ネーデル・キャット】。
ネーデル公爵の呼び出しから帰る途中のネーデル公爵麾下門閥貴族である
ショウ伯爵、 チク子爵、 バイ男爵は大枚叩いて※1 遊んでいた。
※1:大金を使う事。
昔、 貨幣の規格が統一されて無かったころに極端に大きい貨幣が混ざる事があった。
つり合いを取る為に大きい貨幣の価値は他の貨幣よりも高く設定され
その大きな貨幣を大枚と呼んでいた事から由来する。
「御三方!! 本日も遊びに来て頂いてありがとうございます!!」
店のオーナーが3人に挨拶に来る。
「いやいや、 ええよええよ、 そんなに畏まらんでも」
日に焼けた筋肉質の大男のショウ伯爵が諫める。
「そーや、 俺達パッーっと遊びに来ただけやから、 今日もぎょーさん楽しませてな」
金髪の小男のチク子爵がにかっと笑う。
「金ならたんまりと有るからな!! さっさと女の子と酒持って来な!! 最高のやで!!」
サングラスをかけたドレットヘアのバイ男爵が発破をかける。
店長はそそくさと立ち去った。
「しかし兄さん達と呑むのは久々ですなぁ、 今年初ですかね?」
「あー、 そやっけ?」
「チクとは呑んだ・・・いや、 それは去年の暮か、 いやだなぁ歳取ると
月日が早く過ぎるわ」
この三人は元々はネーデル公爵門閥貴族麾下の貧乏貴族の息子3人兄弟だったが
実家が没落し、 兄弟は門閥貴族達の下に就き、 兄弟で協力しながら門閥貴族として
それぞれ旗揚げする事が出来た人物である。
ネーデル公爵門閥貴族は人数が多い為、 こうして門閥貴族内で派閥を作る。
とは言え派閥内でも隙有らば蹴落とし合いが発生する為、 油断は出来ない。
唯一の例外は自前の手駒が充実しているマーナガルム。
彼のみが独立している、 とは言えマーナガルムの発言権は非常に強いので
独立よりは孤高と言った方が正しいか。
「しかし兄さん、 まさかチケットがやられるなんて・・・」
「まぁマーナガルムを敵視してたからな、 しかしヴァカな事をしたよ
あんな事をすればあぁなると分かる筈なのに」
「全く持ってその通りやね、 今日も割り勘で良いな?」
「ショウ兄さん、 年上だから奢ってぇな」
「ヴァカ言うんじゃねぇよ、 結構デカいんだから」
彼等が財布の中身を気にしながらもキャバクラに来たのは
オーナー経由で『俺達金持ってますよ!!』と言うアピールをネーデル公爵にする為である。
ネーデル公爵が経営している店での散財競争は強いアピールの場でもある。
事実、 こうしてこの三兄弟はネーデル公爵の眼にとまり現在に至る。
「男気じゃんけん※2 な!!」
※2:勝った者が全額支払う男気を見せるじゃんけん。
「いやいや、 割り勘しましょうよ、 リスクマネジメントすよ」
「まぁしかし、 まだまだマーナガルム一強が続く感じすか・・・」
「アイツが出資してる・・・ある・・・ある・・・あるふぉんす?」
「アルベドや、 株式会社アルベド、 まだまだ株価延びるってね、 意外やわ
てっきりもうおしまいかと」
「流石にリスクマネジメントしてるんじゃないんですか?
俺達ですらリスクマネジメントしてるんだから」
「割り勘をリスクマネジメントって言うなよ」
「ははは、 しかしアイツめっちゃ金有るし功績上げてるのにまだ男爵なんすね」
「しらねーんか? 家格が上がると上納金も増えるんや」
「ひえー・・・そこまで見越してるのか・・・」
「まぁ貴族の社会的信用を使うなら男爵位で充分って所か」
「しかしアルベドねぇ・・・俺らも株買います?」
「あー・・・」
「うーん・・・」
バイ男爵の言葉に唸るショウ伯爵とチク子爵。
「何か乗り気じゃないですね」
「あたりめーや、 アイツが前に値上がりする株とか話してたから買ったら暴落した事がある」
「暴落? 読み違えですか? マーナガルムが?」
「ちゃうちゃう、 俺達に株を買わせて上がった所を自分の持っていた株全部売り逃げ」
「鬼か、 何も文句言わないんスか?」
「雑談で話していただけだから確証も責任も無いって言い切りやがったんだよ
俺達はそこそこの損だったが、 何にはレバレッジ※3 で買った奴もいてな
そいつは・・・まぁ居なくなったが」
※3:極めて簡単に言えば借金を背負って買ったという事である。
「うわぁ・・・悲惨だぁ・・・閣下は何も言わなかったんですか?」
「寧ろそれを読んでカラ売り※4 してた」
※4:近い将来に株価が下落すると予想し現在の株価でいったん売りを出し
値下がりしたところで買い戻して借りた株を返す。
要するに株価が下がると儲けになる株の取引き。
「やはり閣下が先見の明があるな・・・」
「だな・・・おっ、 来た来た」
「「「「「本日はヨロシクオネガイシマスー♥」」」」」
ホステス達がやって来て乾杯をする3人だった。
この街は低地に位置しており防風対策は必要なく古来から栄えた街である。
その街の一角、 ネーデル公爵直営キャバクラ【ネーデル・キャット】。
ネーデル公爵の呼び出しから帰る途中のネーデル公爵麾下門閥貴族である
ショウ伯爵、 チク子爵、 バイ男爵は大枚叩いて※1 遊んでいた。
※1:大金を使う事。
昔、 貨幣の規格が統一されて無かったころに極端に大きい貨幣が混ざる事があった。
つり合いを取る為に大きい貨幣の価値は他の貨幣よりも高く設定され
その大きな貨幣を大枚と呼んでいた事から由来する。
「御三方!! 本日も遊びに来て頂いてありがとうございます!!」
店のオーナーが3人に挨拶に来る。
「いやいや、 ええよええよ、 そんなに畏まらんでも」
日に焼けた筋肉質の大男のショウ伯爵が諫める。
「そーや、 俺達パッーっと遊びに来ただけやから、 今日もぎょーさん楽しませてな」
金髪の小男のチク子爵がにかっと笑う。
「金ならたんまりと有るからな!! さっさと女の子と酒持って来な!! 最高のやで!!」
サングラスをかけたドレットヘアのバイ男爵が発破をかける。
店長はそそくさと立ち去った。
「しかし兄さん達と呑むのは久々ですなぁ、 今年初ですかね?」
「あー、 そやっけ?」
「チクとは呑んだ・・・いや、 それは去年の暮か、 いやだなぁ歳取ると
月日が早く過ぎるわ」
この三人は元々はネーデル公爵門閥貴族麾下の貧乏貴族の息子3人兄弟だったが
実家が没落し、 兄弟は門閥貴族達の下に就き、 兄弟で協力しながら門閥貴族として
それぞれ旗揚げする事が出来た人物である。
ネーデル公爵門閥貴族は人数が多い為、 こうして門閥貴族内で派閥を作る。
とは言え派閥内でも隙有らば蹴落とし合いが発生する為、 油断は出来ない。
唯一の例外は自前の手駒が充実しているマーナガルム。
彼のみが独立している、 とは言えマーナガルムの発言権は非常に強いので
独立よりは孤高と言った方が正しいか。
「しかし兄さん、 まさかチケットがやられるなんて・・・」
「まぁマーナガルムを敵視してたからな、 しかしヴァカな事をしたよ
あんな事をすればあぁなると分かる筈なのに」
「全く持ってその通りやね、 今日も割り勘で良いな?」
「ショウ兄さん、 年上だから奢ってぇな」
「ヴァカ言うんじゃねぇよ、 結構デカいんだから」
彼等が財布の中身を気にしながらもキャバクラに来たのは
オーナー経由で『俺達金持ってますよ!!』と言うアピールをネーデル公爵にする為である。
ネーデル公爵が経営している店での散財競争は強いアピールの場でもある。
事実、 こうしてこの三兄弟はネーデル公爵の眼にとまり現在に至る。
「男気じゃんけん※2 な!!」
※2:勝った者が全額支払う男気を見せるじゃんけん。
「いやいや、 割り勘しましょうよ、 リスクマネジメントすよ」
「まぁしかし、 まだまだマーナガルム一強が続く感じすか・・・」
「アイツが出資してる・・・ある・・・ある・・・あるふぉんす?」
「アルベドや、 株式会社アルベド、 まだまだ株価延びるってね、 意外やわ
てっきりもうおしまいかと」
「流石にリスクマネジメントしてるんじゃないんですか?
俺達ですらリスクマネジメントしてるんだから」
「割り勘をリスクマネジメントって言うなよ」
「ははは、 しかしアイツめっちゃ金有るし功績上げてるのにまだ男爵なんすね」
「しらねーんか? 家格が上がると上納金も増えるんや」
「ひえー・・・そこまで見越してるのか・・・」
「まぁ貴族の社会的信用を使うなら男爵位で充分って所か」
「しかしアルベドねぇ・・・俺らも株買います?」
「あー・・・」
「うーん・・・」
バイ男爵の言葉に唸るショウ伯爵とチク子爵。
「何か乗り気じゃないですね」
「あたりめーや、 アイツが前に値上がりする株とか話してたから買ったら暴落した事がある」
「暴落? 読み違えですか? マーナガルムが?」
「ちゃうちゃう、 俺達に株を買わせて上がった所を自分の持っていた株全部売り逃げ」
「鬼か、 何も文句言わないんスか?」
「雑談で話していただけだから確証も責任も無いって言い切りやがったんだよ
俺達はそこそこの損だったが、 何にはレバレッジ※3 で買った奴もいてな
そいつは・・・まぁ居なくなったが」
※3:極めて簡単に言えば借金を背負って買ったという事である。
「うわぁ・・・悲惨だぁ・・・閣下は何も言わなかったんですか?」
「寧ろそれを読んでカラ売り※4 してた」
※4:近い将来に株価が下落すると予想し現在の株価でいったん売りを出し
値下がりしたところで買い戻して借りた株を返す。
要するに株価が下がると儲けになる株の取引き。
「やはり閣下が先見の明があるな・・・」
「だな・・・おっ、 来た来た」
「「「「「本日はヨロシクオネガイシマスー♥」」」」」
ホステス達がやって来て乾杯をする3人だった。
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