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レストラン・スコヴィルの客

国外追放された皇子の料理(王子side)

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「おーい、 ケーキが焼けたぞ食べろー」

夜が更けたので馬車で野営している時にウォームがブラウニーを持って来た。
甘い匂いが馬車内に漂う。

「・・・・・ケーキが焼けた?」
「俺の固有魔法【ヘルズキッチン】は何処でも美味しく調理が出来る
石窯で焼いた如くほっかほかのケーキを焼く事等容易い」
「固有魔法のこの上ない無駄遣い・・・!!」
「いやいや、 固有魔法=強い攻撃魔法って言うのは可笑しいだろ
全ての魔法使いが兵隊とも限らないし」
「・・・確かに、 では頂きます」

ウルが手を伸ばした。

「あ、 アスパルには喰わせるなよ」
「アスパルならもう寝たよ」
「いや、 流石に怪我人には不味いかもしれないから
後、 あんまり沢山食うなよ、 ぶっ飛ぶから」

ウォームの言葉に手が止まるウル。

「お前ケーキに何入れたんだ」
「大麻だけど」
「何さらっと言ってやがる・・・!!」
「ケーキに大麻なんて普通だろ? 俺なんかやっちゃいました?」
「大分やっちゃっているだろうが・・・!!」

ラノベっぽい台詞を吐いているウォームにツッコミが追い付かないサンライズ。

「私は宗教上の問題で大麻はNGです」

スノーが華麗に回避する。

「いやいや、 そういう大麻を使用した事のない奴にとってこそ大麻は重要だ
所詮大麻は植物だろう?」
「何でそこまで勧めて来るのか分からんがこれは喰えんよ」
「そうか、 分かった」

しょぼんとウォームがブラウニーを持って帰った。
暫くすると笑い声が聞こえ始めた。

「この商隊の連中全員大麻ユーザーかよ・・・」
「いかれてやがる・・・」

暫くしてウォームがケラケラ笑いながらまたやって来た。

「おーい、 オムレツ作ったから食べない?」
「中身が普通ならば食べる、 大麻は入っていないだろうな?」
「入っていないよ」
「じゃあ何を入れた?」
「幻覚作用のあるキノコを」
「要らん!!」

ちぇー、 と帰るウォームだった。

「断れば帰る分、 良識は有るんだよな、 アイツは・・・」
「悪意が無いんですかね?」
「悪意無しに薬物を進めるってアイツはヤバい奴だろ」

爆笑が周囲に響き渡った。

「・・・・・これ明日無事に進めるんですかね?
二日酔いとかそういうレベル以上に明日に差し支えるんじゃないですか?」
「うぅ・・・心配だ・・・」
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