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冥府にGO!!

弟(ベッコside)

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場面が代わり、 一人殺風景な部屋に居るベッコ。

「・・・物置部屋?」
「私の部屋だ、 父から扱いが酷くてね
使用人所がベッドも机も無い、 ボロ布と椅子のみだ」

暫くすると誰かがやって来た。
黒い髪、 鏡合わせの自分の様だ。
いや、 ベッコじゃなくてグンナーにそっくりだ。

『兄上、 これを・・・』

彼はパンを差し出した。

「彼は?」
「彼はヘグニ、 私の弟だ」
「ヘグニ・・・ヘグニ・ダイン!!」

歴史の授業で習った。
ビア帝国皇帝直轄第一憲兵団【皇帝の剣】団長。
【破軍皇】ヘグニ・ダイン。
その勇猛さは正に一騎当千。
文字通り軍一つをあっさり壊滅させる程の実力者。
だがしかしビア帝国の内乱を引き起こした者の一人とされ現皇帝フライに倒された。

「彼が子供だと言う事は・・・」
「内乱が起こる四十何年か前の事だよ・・・」

ヘグニから受け取ったパンを食べる。
パンの味が口いっぱいに広がった。
ベッコにとって、 あまりいいパンでは無い事は分かった。

「あんまり美味しくないかい?」
「あ、 いえ・・・」
「仕方ない、 ヘグニは使用人の分のパンを盗んで私に持って来てくれたんだ」
「・・・・・良い弟さんですね」
「・・・そうだな、 この時は私もそう思った」
「・・・この時は?」

また場面が変わる。



『こ、 これは如何言う事だ?』

父は震えた。

『ひ、 ひぃ・・・』

グンナーは怯えた。

『・・・・・』

ヘグニは立っていた。

『これは一体なんだ!!』

死体が転がっていた。

「こ、 これは・・・」
「見ていろ」
『父上、 この分家の者は我が兄に対し酷い侮辱の言葉を投げかけました
それ故に成敗いたしました』
『どうやったのだ・・・』

震える父。

『この周囲の跡・・・』
「跡?」

周囲には大きな剣で叩ききった様な跡が天井にまで届いていた。

『お前・・・まさか』
『ダインスレイヴ習得しました』
『でかした!!』

父はヘグニを抱き締めた。

『それでこそ私の息子だ!!』

ベッコは震えた。

「これは・・・何ですか? 息子が人を殺したのに何故彼は・・・」
「当時は無礼打ちがまかり通っていた、 と言いたいが当時から見ても
貴族が平民なら兎も角、 下位であろうと貴族を手打ちにするのは問題だった
父はおかしかった、 そして弟もまともじゃなかったんだ」
「・・・・・」

絶句するベッコだった。
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