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冥府にGO!!

ぬか喜び(マヤside)

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マヤは走る。
老いた身に鞭を打ちながら燃え上がる炎に自らの未来を思い描きながら走る。

「あ、 マヤ様!!」

声をかける亜人達を無視して通り過ぎる。
そして眼前から炎が迫る。

「レイシールド!!」

マヤの目の前に光の盾が形成される。

「ぐわああああああああああああ!?」
「マヤさまああああああああああああああ!!!」

亜人達は炎に包まれる。
マヤは自分のみを守ったのだ。

「な、 何で・・・」
「邪魔、 これからラビーとの話し合いだから余計な力使いたくない」

炎が消えた後、 再び走り始めた。

「さぁ、 来い、 さぁ、 来い
さぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁさぁ!!
来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い来い!!」

長きに渡り焦がれた相手がすぐそこまで迫っている。
その事実は酷くマヤを焦らした。
そしてとうとう現れた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

マヤの極限までに高まったテンションは一気に氷点下以下にまで下がった。

「・・・・・ウィノ?」

たっぷり時間をかけて思い出した。
マヤの目の前に居たのはウィノである。

「え? あのウィノ?」
「そうだな!! あんまり特徴の無い騎士のウィノだな!!
ははははっははははははははは!!」

急に笑い出すウィノ。
よく見ると眼の焦点が合っていない、 目が血走っている。
控えめに言うとガンギマってる。

「・・・・・何で?」

煽りでも何でもなくポツリと呟いた。
ウィノは確かに【スイーツ・キングダム】の攻略キャラの一人だ。
だがしかし、 これといった特徴は無い。
確かに固有ルートに入った時の剣技は凄まじいが
今回は固有ルートに入っていない。
凡人では無いが自分と戦える筈がない、 そもそも・・・

「俺がやった」
「? あぁ・・・そう言う事ね」

先程の炎はコイツの仕業か、 と判断するマヤ。
ウィノは魔法剣を使える、 ウィノの魔法属性は炎。
ならば炎を出せても不思議ではない、 ドラッグか何かで魔力を向上させたのか。

「そうだね」
「はぁ・・・ぬか喜びしたよ、 スターダスト」

大量の星の輝きがウィノに迫る。
光の魔法による破壊の星屑だ。
これに包まれれば即死だろう。
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