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冥府にGO!!

舞台裏から帰った男(ウィノside)

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時間は少し遡り。
否、 ウィノの体感では大体5兆年ほど前の話。
ウィノはアヤワスカを飲んだ事で精神が極限を遥かに超越した域にまで研ぎ澄まされた。
その結果、 万象全ての情報がウィノの脳内に流れ込む。
常人なら死である、 しかしながらウィノは常人では無かった。
と言いたい所だがウィノ自体は強いが充分常人である。
だがしかし特別な存在である。
普通でも特別な存在になれる世界なのだ。
だってここはゲームの中の世界なのだから。

ウィノは自分がゲームの中の登場人物だと知った。
ゲームと言う物も理解した、 万象全てが虚構と理解した。
ウィノの精神はバラバラに崩壊したと言って良い。
だがしかしウィノの潜在的な深層心理、 或はスーパーエゴ。
若しくは魂は消え去る事を拒んだ、 否、 ウィノは消える事を許容しなかった。
ウィノはウィノに会った、 自分とは異なる未来、 異なるルートのウィノである。
ウィノは虚構と分かっては居る、 しかし別の未来の自分はどうなったか
とても気になるので見て回った。

アスパルが自分を選び、 結婚するルート。
アスパルがサンライズと結婚し、 それでも彼女守る騎士として戦い
敵と相打ちとなってアスパルに死に目を看取って貰うルート。
ラビーと結婚し、 共に政敵となりアスパルとサンライズに牙をむくルート。
クリームの下剋上に端を発した政変により国外逃亡するルート。
全員がアスパルと結ばれ新婚旅行に行き
新婚旅行先でアスパルとラビー以外全員殺されるルート。

全てのウィノを見た。
誰も彼も必死で守るべき者を守り抜くために戦った。
それに比べて自分の惨めさを見て心底落胆し悲嘆した。
心底と言ったが底なんて抜けている奈落の底に無限に堕ちた様な感覚だった。
全てのウィノを見た筈だったが、 唐突に一人見忘れていたと気が付いた。

悲嘆にくれながらも囚われの姫君を助けようと奮起する自分を見た。

助けを待つ姫、 しかも二人。
悲嘆も自己嫌悪も虚しさも全て消え去った。
この世が虚構? 結構。
単なるゲーム? 結構。
所詮無意味? 結構。
そんな物は俺が命を賭けない理由にはならない。

自らの全てを賭けてウィノは必ず、 かの邸より囚われの姫君達を助ける事を誓ったのだ。
精神世界旅行を終え起き上がったウィノは
自分を見張っていた亜人達を葬り走り出したのだった。
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