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冥府にGO!!

閑話 馬車は進む

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ビア帝国の街道を走る馬車群。
ウルとスノーを送る為の馬車と護衛である。
馬車の中ではウルとスノー、 そしてキナァコが向かい合って座っていた。

「ここまでしてくれてありがとうございます」
「いえいえ!! こちらも私の退職金と年金を守る為ですので!!」

キナァコが謙遜する。

「しかしながらキナァコさん
貴方そんなに金を使うタイプじゃないそうに見えるが・・・」
「いやこの金額はデカイでしょう!! 億単位の金はリアルに人の生死がかかる金ですよ!!」
「そ、 そうか・・・」
「老後の生涯設計はちゃんと建てていますしこれからが楽しみですよ!!」
「老後ですか・・・」
「お二人は考えています?」

キナァコの問いに目を見合わせるウルとスノー。

「いや、 まだ若いですし・・・」
「40数年前に私も言っていたセリフですね、 懐かしい
だがしかし人生あっという間ですよ
特に30代からどんどん早くなります
仕事に慣れて楽になりますが退屈になったりとかしますよ」
「嫌だなぁ・・・」
「まぁ内乱の頃よりはマシですが」
「戦争も嫌だなぁ・・・と言うか内乱?」
「あぁ、 第13憲兵団【漆黒の尖晶】の構成員だったんですよ」

驚愕するウルとスノー。

「その・・・何て言うか・・・」
「見えないな」
「良く言われますよ、 そもそも私は前線に出るタイプじゃないですから
それでも内乱の時はずっと死を覚悟していましたね
結局の所、 仲間は大勢死んだり大怪我を負って五体満足じゃなくなったり
酷い目に遭った連中が大勢居ますが私は何とか元気にやらせて貰ってます」
「そ、 そうですか・・・それは幸運でしたね」
「ですねー、 フライさん、 いや陛下に出会ったのが一番幸運でしたよ
出会った時は私は浮浪児でしたが陛下に出会った事で
こうして長生き出来るとは本当に良かったですよ」

生き生きとして話すキナァコ。

「何と言うか金の話するよりも生き生きしてますね」
「金は大事ですが、 やはり人との繋がりですねぇ
老後如何するか尋ねて来たのも陛下ですし
あの人は生き残りだけじゃなく生き残ってからの事も考える
凄い人だと思いますよ、 悪く言う人も居ますがカリスマが有ると思いますよ」
「そうですか・・・折角ですし皇帝陛下の御話とか聞きたいですね」
「良いですとも、 まずは・・・」

こうしてキナァコがフライの話をするのを聞きながら
馬車は進むのだった。
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