上 下
369 / 426
大波乱!?料理対決!!

聖女首席の話④(アスパルside)

しおりを挟む
アスパルはふらふらしながら馬車から降りた。

「お見事です、 首席殿」

御者に扮しているメタトロンが聖女首席を褒める。

「この程度、 訳無いよ、 前世が主婦で今生が何の苦労も無いヒロイン
前世と今生を荒波で過ごした私にとっては正しく赤子の手を捻る様に簡単だ」
「そうですか」
「出せ」

馬車を出すメタトロン。

「それにしてもあの交渉術、 見習いたい物です」
「交渉、 と言うのは違うわね
只管詭弁を並べ立てて頭をぐちゃぐちゃにした後に脅したって言うのが正解ね」
「詭弁? ですか?」
「前世も今生も私の人生は努力して勝ち取った物だ
それで不利益を被った物は居るだろうが知らん
世界にある物は何もかも有限だ、 競争社会を良いとも悪いとも思っていない
捕まらなければ後は何をやっても問題無し」
「相変わらず、 と言った所ですね」
「とは言え善行すればOKな、 そうだな
精神的に豊かな奴に対しては私の人生を悪しざまに語って
更にその事に対して何が悪いとか何だとか詭弁を並べ立てれば
相手の頭をぐちゃぐちゃにして混乱させる事は出来る
私の人生や経験なんて物は私だけの物だから相手は対応出来ないし
私が長年持っていた経験則武器だ、 説得力威力は抜群だろう」
「なるほど・・・確かにあれだけの言葉を並べられては
正に言葉の槍衾、 並の精神では持ちますまい」
「そこでトドメの脅迫よ」
「そこが疑問ですが、 最後に脅迫するのならば最初から脅せばよかったのでは?」
「最初から必殺技を使うバイク乗りも巨人も戦隊も居ないでしょ」
「はい?」
「私の詭弁でぐちゃぐちゃになった頭に私の脅迫
即ち、 『私がやれと言った』と言う事実を相手に与えるのよ
必殺の一撃を私はあの娘に手渡した」
「理解しかねますが・・・」
「彼女は悲しいでしょうし罪悪感も有るでしょう
でも心の何処かで『私がやれと言った』から『やる』
つまり私に悪行を押し付ける『言い訳』が出来た」
「・・・・・即ち、 貴女は詭弁でぐちゃぐちゃに耕したアスパルの頭に
『言い訳』と言う種を撒いて要求をきかせると言う作物果実を得たと」
「詩的だな、 まぁ要約するとその通りだ
何をしても『自分は脅された』という大義名分が有れば何でもやるさ
勿論、 自分では否定するだろうけどね
大義名分は大事だよ、 人類は大義名分さえ有れば大量虐殺もするから」
「勉強になります」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

そして俺は召喚士に

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

ホワイトデーのお返しは毒入りマシュマロでした

キャラ文芸 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

ぼくの恋は妹により煩わしくなった。ーはぁ、どうなるんだよー

青春 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

メゾン・クローズ 光と闇のはざまで

歴史・時代 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:7

ヴァーチャル鶴の恩返し

大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

信号

ps1
ホラー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

結婚が決まったので、あなたには私を好きになってもらいます!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:112

百々五十六の小問集合

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:313pt お気に入り:2

処理中です...