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大波乱!?料理対決!!

対戦相手④(別side)

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冥府の門にて一人の中年女性が料理をしていた。
彼女こそ今回の料理対決で麻薬王選出料理人に選ばれた主婦である。
頭は鍋になっている。

「お袋、 大丈夫か?」

彼の息子は麻薬王の配下である。
頭が鉄パイプになっている。
麻薬王の側近とは言わないがそれなりに信頼の厚い男である。

「なぁーに言ってんのよ、 アンタがウチのホームパーティで
麻薬王さんを連れて来たのが原因じゃないの」
「そうだけどよぉお袋、 お袋の腕で
海千山千の強者料理人に勝てるのかよ」
「あんちゃんの言う通りだぜ」
「そうだぜ、 あんちゃんの言う通りだぜ」

他の息子達も追従する。
主婦は子沢山であり、 22人の子供達を産んでいる。
地元に居るのは7人で、 ここに居るのは3人だけである。
因みに旦那は単身赴任中である。

「いやいや、 麻薬王さんの目は確かだと思うよ
強い料理人に対して強い料理人をぶつけるのは
経験上、 あまりいい手とは言えない」
「そうなの?」
「私の旦那も昔はモテモテでね、 私よりも良い体の女は沢山居た」
「お袋ぉ、 息子の前でそういうのはちょっとグロい」
「だからこその別アプローチ、 それが家庭的な味よ」
「家庭的ぃ?」
「そう」

主婦は切り分けた材料を組み合わせてベーグルサンドを作って子供達の前に出した。

「家庭的な女に男は弱い、 力には力に対抗すると際限無くなる
故に別アプローチよ」
「確かになぁ」

子供達はベーグルサンドをもぐもぐ食べている。

「そもそも料理が一番上手い職業は料理人じゃない
毎日子供達に料理を作っている親なのよ
愛情持って子供達に料理を作る、 料理人には真似出来ない事よ」
「なぁるほどねぇ」

くっくと子供達は笑う。

「で、 何の料理を作るのかは決めたの?」
「勿論地元料理に決まっているじゃない、 地元且つ家庭の味
美味いだけの料理が何処まで対抗出来るか見物ね」
「マジ? 下手したら失格にならねぇ?」
「規定は聞いたけども大丈夫よ問題無いわ
そもそもコレ・・が駄目なら麻薬王が参加する事自体が駄目になるじゃない」
「あー」
「それもそうかー」
「かーちゃんおかわりー」
「はいはい」

主婦は新しいベーグルサンドを作り始めた。
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