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運命じゃない君が運命らしい
前編
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【前編】
父さんは運命の番に出会って僕と母さんを捨てた。
父さんが大好きだった母さんも新しい男を作って出て行った。
付き合っている相手に絶対に運命の番に会っても捨てないでと頼むと皆決まって、「こんなに大好きなんだから捨てる訳ないだろう」と言っていたのに三歳年上の近所に住んでいたαも年下のαもさっきまで付き合っていた男も運命の番に出会って僕を捨てた。
普通なら運命の番なんて、って恨むようになるのかもしれないけど僕は違った。
両親に愛されず、捨てられてきた僕だって運命の番に会えれば愛してもらえる、って考えた。
それから必死で勉強した。
どんな運命の番にも認めてもらえるように、努力した。
幸いフランス人の母の血を引いてΩということもありその辺では見られないくらいの容姿だったし、これで頭もよければ運命のαに受け入れてもらえない訳がない。
運命の番に出会って愛してもらう、それだけを頼りに今まで生きてきた。
それなのになんで?
なんで僕の運命は僕を愛してくれないの?
呆然としながら目の前の男を見上げる。
αの中でもβよりのその男。
家だって金持ちじゃないしギリギリこの大学に入ったくらいだから頭はまぁまぁ。
でもそんなことどうだっていい。
僕は頭がいいし、僕がお金を稼げばいい。
ただ、僕を愛してくれればいいんだ。
運命の番なんだ。
簡単だろ?
目の前の男は未だに信じられずに呆然としている僕を置いて横にいた不似合いなほど美人な女の腰に手を回して背を向ける。
「なんでだよ!!僕が運命の番なのに!!!」
その男の肩を掴むと思いっきり振り払われて尻もちをつく。
お尻と手のひらのジンジンする痛みがこれは夢じゃなくて現実だって僕に教えてくる。
目の前にいる運命の番を捕まえようと全身が熱くなり誘うように発情期になった僕を気にせずその男は自分にだけ緊急抑制剤を打った。
そんな……発情した僕をこんなαだらけの所に置いていくの?
僕は運命の番にも捨てられるの?
「はぁっ、はぁ、苦しっ、」
今までとは比べものにならないほどに発情している身体。
周りのαの獲物を狙う視線がまとわりつく。
こんなαだらけの中で発情したことと、運命の番にも捨てられたこと、いろんな感情がごちゃごちゃになって涙が溢れる。
まとまらない頭でもとりあえず抑制剤を打たなきゃいけないことだけは分かり、尻もちをついた際に散らばったカバンの中身を見ると高いからと大事に持ち歩いていた緊急抑制剤の注射器が割れていて地面に中身が出てしまっていた。
もう終わりだ。
今から普通の抑制剤を飲んだところで効く前にαにやられる。
それでもいいかもしれない。
だってもう生きてる理由もない。
僕は誰からも愛されないんだから。
そんな人生要らないでしょ?
これから起こることにも、自分の人生にも諦めて目を閉じる。
何人ものαが近づいてきているのが分かるがどうにでもなれ、と身体を投げやりにして地面に寝転んだ。
誰かの手が自分の身体に触れそうになったときその場がαの威圧的な空気に変わった。
その空気に発情期に当てられていたαたちも理性を取り戻す。
「触るな」
たった、一言。
誰かもわからないそのαの一言に発情期したであろう周りにいたαたちが引いていく。
なんで?
なんで触ってくれないの?
もう何も考えたくない。
「もっ、からだ、あつい、誰かっ!さわってよ…」
閉じていた目を開けると少女漫画の主人公のような整った容姿をした男がこちらに歩いてくるのが分かった。
さっきまで近くにいたαは遠巻きにこちらを見つめるだけ。
歩いてくる男が誰であってもどうでもよかった。
その男に縋るような目を向ける。
「たすけてっ、身体熱い、触って、」
ここが今、大学のど真ん中であることなんかどうでもいい。
この熱を、少しだけ残っている理性も、何もかもめちゃくちゃにして欲しかった。
早く触って欲しくて誘うように服を服をめくろうとした手をその男が掴み、そのまま抱き上げられる。
極上のαの匂い全身を駆け巡り本能がこのαは自分をすごく気持ちよくしてくれるのだと認識する。
さっきまであった少しの理性も何処かへ行き、名前も知らないそのαの首に腕を回すとよく出来ました、と頭を撫でられる。
気持ちいい。褒められて嬉しい。
--------------------------------------------------
やっと待ち望んでいたモノが手に入ったことに我慢ができずに口角が上がる。
極上のΩを諦めなくないのか、遠巻きにまだこちらを見ているαたちを見回しながら睨みつけるとそれだけで目を逸らして散っていく。
「秋斗、ホテル?家?どっちいくの?」
「家に決まってる」
この時を待ちに待っていたんだ。
ホテルなんかに行かないさ。
二人だけの場所じゃないと。
秋斗の腕の中で理性を無くして首筋をペロペロと舐めてくる可愛い男の頭を撫でる。
「凛、帰ろう。俺たちの家に…」
やっと、やっとだ。
もう誰にも触らせない。俺のものだ。
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父さんは運命の番に出会って僕と母さんを捨てた。
父さんが大好きだった母さんも新しい男を作って出て行った。
付き合っている相手に絶対に運命の番に会っても捨てないでと頼むと皆決まって、「こんなに大好きなんだから捨てる訳ないだろう」と言っていたのに三歳年上の近所に住んでいたαも年下のαもさっきまで付き合っていた男も運命の番に出会って僕を捨てた。
普通なら運命の番なんて、って恨むようになるのかもしれないけど僕は違った。
両親に愛されず、捨てられてきた僕だって運命の番に会えれば愛してもらえる、って考えた。
それから必死で勉強した。
どんな運命の番にも認めてもらえるように、努力した。
幸いフランス人の母の血を引いてΩということもありその辺では見られないくらいの容姿だったし、これで頭もよければ運命のαに受け入れてもらえない訳がない。
運命の番に出会って愛してもらう、それだけを頼りに今まで生きてきた。
それなのになんで?
なんで僕の運命は僕を愛してくれないの?
呆然としながら目の前の男を見上げる。
αの中でもβよりのその男。
家だって金持ちじゃないしギリギリこの大学に入ったくらいだから頭はまぁまぁ。
でもそんなことどうだっていい。
僕は頭がいいし、僕がお金を稼げばいい。
ただ、僕を愛してくれればいいんだ。
運命の番なんだ。
簡単だろ?
目の前の男は未だに信じられずに呆然としている僕を置いて横にいた不似合いなほど美人な女の腰に手を回して背を向ける。
「なんでだよ!!僕が運命の番なのに!!!」
その男の肩を掴むと思いっきり振り払われて尻もちをつく。
お尻と手のひらのジンジンする痛みがこれは夢じゃなくて現実だって僕に教えてくる。
目の前にいる運命の番を捕まえようと全身が熱くなり誘うように発情期になった僕を気にせずその男は自分にだけ緊急抑制剤を打った。
そんな……発情した僕をこんなαだらけの所に置いていくの?
僕は運命の番にも捨てられるの?
「はぁっ、はぁ、苦しっ、」
今までとは比べものにならないほどに発情している身体。
周りのαの獲物を狙う視線がまとわりつく。
こんなαだらけの中で発情したことと、運命の番にも捨てられたこと、いろんな感情がごちゃごちゃになって涙が溢れる。
まとまらない頭でもとりあえず抑制剤を打たなきゃいけないことだけは分かり、尻もちをついた際に散らばったカバンの中身を見ると高いからと大事に持ち歩いていた緊急抑制剤の注射器が割れていて地面に中身が出てしまっていた。
もう終わりだ。
今から普通の抑制剤を飲んだところで効く前にαにやられる。
それでもいいかもしれない。
だってもう生きてる理由もない。
僕は誰からも愛されないんだから。
そんな人生要らないでしょ?
これから起こることにも、自分の人生にも諦めて目を閉じる。
何人ものαが近づいてきているのが分かるがどうにでもなれ、と身体を投げやりにして地面に寝転んだ。
誰かの手が自分の身体に触れそうになったときその場がαの威圧的な空気に変わった。
その空気に発情期に当てられていたαたちも理性を取り戻す。
「触るな」
たった、一言。
誰かもわからないそのαの一言に発情期したであろう周りにいたαたちが引いていく。
なんで?
なんで触ってくれないの?
もう何も考えたくない。
「もっ、からだ、あつい、誰かっ!さわってよ…」
閉じていた目を開けると少女漫画の主人公のような整った容姿をした男がこちらに歩いてくるのが分かった。
さっきまで近くにいたαは遠巻きにこちらを見つめるだけ。
歩いてくる男が誰であってもどうでもよかった。
その男に縋るような目を向ける。
「たすけてっ、身体熱い、触って、」
ここが今、大学のど真ん中であることなんかどうでもいい。
この熱を、少しだけ残っている理性も、何もかもめちゃくちゃにして欲しかった。
早く触って欲しくて誘うように服を服をめくろうとした手をその男が掴み、そのまま抱き上げられる。
極上のαの匂い全身を駆け巡り本能がこのαは自分をすごく気持ちよくしてくれるのだと認識する。
さっきまであった少しの理性も何処かへ行き、名前も知らないそのαの首に腕を回すとよく出来ました、と頭を撫でられる。
気持ちいい。褒められて嬉しい。
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やっと待ち望んでいたモノが手に入ったことに我慢ができずに口角が上がる。
極上のΩを諦めなくないのか、遠巻きにまだこちらを見ているαたちを見回しながら睨みつけるとそれだけで目を逸らして散っていく。
「秋斗、ホテル?家?どっちいくの?」
「家に決まってる」
この時を待ちに待っていたんだ。
ホテルなんかに行かないさ。
二人だけの場所じゃないと。
秋斗の腕の中で理性を無くして首筋をペロペロと舐めてくる可愛い男の頭を撫でる。
「凛、帰ろう。俺たちの家に…」
やっと、やっとだ。
もう誰にも触らせない。俺のものだ。
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