海上都市の機甲女 ~a point of change~

ケニーさん

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第一機

変わり者の男

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 海上都市――日本の大地が海に沈み始めてから作られたアメンボを模した海に浮かぶ金属の塊。
 日本が保有する海上都市は8つ。日本のトップがいる海上都市の名前が〝天海てんかい〟。
 それぞれの都市は年に四回、一か所に集まり連結される。連結時は行き来する人の数が増えるため、さまざまな事件が起こる。それらの事件を未然に防いだりする者達が各海上都市に存在する。それが〝機甲警察きこうけいさつ〟だ。機甲警察では機甲官きこうかん機甲人形マシンドールでペアを組むことが義務付けられている。だが、天海では機甲人形マシンドールとペアを組まない孤高の機甲官がいる。

三守篤みかみあつし二等官。あなたにも作戦に参加してもらいます。」

 凛とした鈴のような声を持つ女性が、椅子に踏ん反り返って眠っている涙袋の傷跡が特徴的な男に声をかける。
 少しの間待っていたが、中々目覚めないことに痺れを切らした女性は、篤の肩を揺さ振りながら声を荒らげた。

「篤二等官!! 篤二等官!! ねぇー篤君!! 起きないと本気で怒るから!!」

 グラグラと揺さぶられた篤は親指でアイマスクを上げるとちらりと女性を見た。
フレームの細い黒縁メガネにレンズの奥には、猫を思わせる切れのある目。つややかだ細い短い髪の毛。女性がうらやましがるであろう、豊満な胸。背もそこそこ高く、モデル体型といえる。
篤は落ち着いた様子で目頭めがしらを押さえてほぐす。数秒ほどの沈黙ちんもくの後、溜め息をついた。

「もう既に怒っているじゃないですか。それと二つ程言いたいことがあるんですが……」

「なに?」

「まず一つ目ですが、今回の件は俺みたいな二等官が参加できるものではありません。少なくとも三等保官以上は必須なはず。そして二つ目は、わざわざ二等特務官である穂摘ほづみさんが俺のもとへ直接来るなんて普通じゃありませんよ」

「どっちも篤君のせいでしょ!! 私と同期で私なんかよりも仕事ができるのに問題ばかり起こすから階級が一向に上がらないで、本来なら私より階級が上なはずなのに。それと直接来たのは篤君に連絡がつかないからなの!! 何かあったかもしれないって心配してきたのに寝てるし!!」

 もう穂摘は褒めているのか怒っているのか心配しているのか安心しているのか訳が分からなくなった結果、取り消すこともできず、恥ずかしさから拳を握り殴りにかかる。
 しかし結果は穂摘の予想と大きく違った。篤は机を蹴って椅子のローラーを利用してアッサリ避ける。拳の行き先を失った穂摘はそのまま勢いを殺しきれずに倒れこむ。

「大丈夫か!? 相変わらずどんくさいな」

 篤によって抱えられた穂摘は状況確認のために辺りを巡らす。そしてピントが合っていないことに気が付き目を細めると目の前には篤の整った顔。穂摘は慌てて立ち上がり乱れた服装を整える。

「メガネは、メガネはどこ?」

「ほら、メガネ」

「あっ、ありがとう……」

「メガネないほうがいいと思うけどな。まぁ、メガネも悪くはない」

「そんなこといいからこの資料に目を通しておいてください!!」

「はいはい、了解しました」

 穂摘が部屋を立ち去った後、篤はすぐさま資料に目を通して、今回もまた機械人形アンドロイドが関係している事件だと分かり表情が険しくなった。
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