3 / 156
第一機
変わり者の男
しおりを挟む
海上都市――日本の大地が海に沈み始めてから作られたアメンボを模した海に浮かぶ金属の塊。
日本が保有する海上都市は8つ。日本のトップがいる海上都市の名前が〝天海〟。
それぞれの都市は年に四回、一か所に集まり連結される。連結時は行き来する人の数が増えるため、さまざまな事件が起こる。それらの事件を未然に防いだりする者達が各海上都市に存在する。それが〝機甲警察〟だ。機甲警察では機甲官と機甲人形でペアを組むことが義務付けられている。だが、天海では機甲人形とペアを組まない孤高の機甲官がいる。
「三守篤二等官。あなたにも作戦に参加してもらいます。」
凛とした鈴のような声を持つ女性が、椅子に踏ん反り返って眠っている涙袋の傷跡が特徴的な男に声をかける。
少しの間待っていたが、中々目覚めないことに痺れを切らした女性は、篤の肩を揺さ振りながら声を荒らげた。
「篤二等官!! 篤二等官!! ねぇー篤君!! 起きないと本気で怒るから!!」
グラグラと揺さぶられた篤は親指でアイマスクを上げるとちらりと女性を見た。
フレームの細い黒縁メガネにレンズの奥には、猫を思わせる切れのある目。つややかだ細い短い髪の毛。女性がうらやましがるであろう、豊満な胸。背もそこそこ高く、モデル体型といえる。
篤は落ち着いた様子で目頭を押さえてほぐす。数秒ほどの沈黙の後、溜め息をついた。
「もう既に怒っているじゃないですか。それと二つ程言いたいことがあるんですが……」
「なに?」
「まず一つ目ですが、今回の件は俺みたいな二等官が参加できるものではありません。少なくとも三等保官以上は必須なはず。そして二つ目は、わざわざ二等特務官である穂摘さんが俺のもとへ直接来るなんて普通じゃありませんよ」
「どっちも篤君のせいでしょ!! 私と同期で私なんかよりも仕事ができるのに問題ばかり起こすから階級が一向に上がらないで、本来なら私より階級が上なはずなのに。それと直接来たのは篤君に連絡がつかないからなの!! 何かあったかもしれないって心配してきたのに寝てるし!!」
もう穂摘は褒めているのか怒っているのか心配しているのか安心しているのか訳が分からなくなった結果、取り消すこともできず、恥ずかしさから拳を握り殴りにかかる。
しかし結果は穂摘の予想と大きく違った。篤は机を蹴って椅子のローラーを利用してアッサリ避ける。拳の行き先を失った穂摘はそのまま勢いを殺しきれずに倒れこむ。
「大丈夫か!? 相変わらずどんくさいな」
篤によって抱えられた穂摘は状況確認のために辺りを巡らす。そしてピントが合っていないことに気が付き目を細めると目の前には篤の整った顔。穂摘は慌てて立ち上がり乱れた服装を整える。
「メガネは、メガネはどこ?」
「ほら、メガネ」
「あっ、ありがとう……」
「メガネないほうがいいと思うけどな。まぁ、メガネも悪くはない」
「そんなこといいからこの資料に目を通しておいてください!!」
「はいはい、了解しました」
穂摘が部屋を立ち去った後、篤はすぐさま資料に目を通して、今回もまた機械人形が関係している事件だと分かり表情が険しくなった。
日本が保有する海上都市は8つ。日本のトップがいる海上都市の名前が〝天海〟。
それぞれの都市は年に四回、一か所に集まり連結される。連結時は行き来する人の数が増えるため、さまざまな事件が起こる。それらの事件を未然に防いだりする者達が各海上都市に存在する。それが〝機甲警察〟だ。機甲警察では機甲官と機甲人形でペアを組むことが義務付けられている。だが、天海では機甲人形とペアを組まない孤高の機甲官がいる。
「三守篤二等官。あなたにも作戦に参加してもらいます。」
凛とした鈴のような声を持つ女性が、椅子に踏ん反り返って眠っている涙袋の傷跡が特徴的な男に声をかける。
少しの間待っていたが、中々目覚めないことに痺れを切らした女性は、篤の肩を揺さ振りながら声を荒らげた。
「篤二等官!! 篤二等官!! ねぇー篤君!! 起きないと本気で怒るから!!」
グラグラと揺さぶられた篤は親指でアイマスクを上げるとちらりと女性を見た。
フレームの細い黒縁メガネにレンズの奥には、猫を思わせる切れのある目。つややかだ細い短い髪の毛。女性がうらやましがるであろう、豊満な胸。背もそこそこ高く、モデル体型といえる。
篤は落ち着いた様子で目頭を押さえてほぐす。数秒ほどの沈黙の後、溜め息をついた。
「もう既に怒っているじゃないですか。それと二つ程言いたいことがあるんですが……」
「なに?」
「まず一つ目ですが、今回の件は俺みたいな二等官が参加できるものではありません。少なくとも三等保官以上は必須なはず。そして二つ目は、わざわざ二等特務官である穂摘さんが俺のもとへ直接来るなんて普通じゃありませんよ」
「どっちも篤君のせいでしょ!! 私と同期で私なんかよりも仕事ができるのに問題ばかり起こすから階級が一向に上がらないで、本来なら私より階級が上なはずなのに。それと直接来たのは篤君に連絡がつかないからなの!! 何かあったかもしれないって心配してきたのに寝てるし!!」
もう穂摘は褒めているのか怒っているのか心配しているのか安心しているのか訳が分からなくなった結果、取り消すこともできず、恥ずかしさから拳を握り殴りにかかる。
しかし結果は穂摘の予想と大きく違った。篤は机を蹴って椅子のローラーを利用してアッサリ避ける。拳の行き先を失った穂摘はそのまま勢いを殺しきれずに倒れこむ。
「大丈夫か!? 相変わらずどんくさいな」
篤によって抱えられた穂摘は状況確認のために辺りを巡らす。そしてピントが合っていないことに気が付き目を細めると目の前には篤の整った顔。穂摘は慌てて立ち上がり乱れた服装を整える。
「メガネは、メガネはどこ?」
「ほら、メガネ」
「あっ、ありがとう……」
「メガネないほうがいいと思うけどな。まぁ、メガネも悪くはない」
「そんなこといいからこの資料に目を通しておいてください!!」
「はいはい、了解しました」
穂摘が部屋を立ち去った後、篤はすぐさま資料に目を通して、今回もまた機械人形が関係している事件だと分かり表情が険しくなった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる