海上都市の機甲女 ~a point of change~

ケニーさん

文字の大きさ
4 / 156
第一機

二人は出会う

しおりを挟む
 都市は大きく五つのエリアに分かれている。

 東エリア

 西エリア

 南エリア

 北エリア

 中央エリア

 その中でも特に南エリアのメイン通りから外れた通称〝ロスト〟という元セフィロス社のビルを一体は半無法地帯となっている。多くの犯罪者等はロストを根城としている。なぜ根城となっているか、それは彼らに身を守るための武器や機械人形アンドロイドを貸し出している裏組織が存在するからだ。
身を守る術を得る代わりにコードネームを与えられ、ある仕事をする。仕事の内容が内容のために機甲警察から追われ、しくじれば当然、組織に殺される。それだけのリスクがあるにもかかわらず仕事を受ける者は絶えない。

 一つに仕事を成功させれば多額のお金が現金で手に入る。

 二つに貸し出される武器。特に機械人形アンドロイドの性能が高く、市場に出回る機械人形アンドロイドとは十年ほどの開きがあると言われている。
 
 故に下手なことをしなければ失敗することはない。
 機械人形アンドロイドを使用し、今まさに仕事が行われていた。

「いいか。お前は俺の命を守ればいいんだ。お前がどれだけ傷つこうが、壊れようが、変わりはいくらでもいる。だから安心して俺の盾になって俺の金に変われ!」

 男は鉄でできたアタッシュケースを大事に抱え込みながらS・T6に当然のごとく本心を告げる。

「わかりました……」

 静かに、必要最低限の言葉で答えて頷いた。
 機械人形アンドロイドである彼女に対しての彼の対応はごくごく自然のものだ。なにせ外見は人と変わらずとも、人ではなく物なのだから。
 それを重々承知である彼女だが、それでも物ではなく、者として扱われたいと思ってしまう。

(同じように感じる同士はいるのでしょうか? もしいるのであれば私は会いたい。会って友達になりたい)

 人として扱われることや友を作ることは叶わない。だからせめても彼女との約束を果たす為に彼らに使われている。
 身を隠しながら慎重に取引場所に辿り着いた。
 そこには女形機械人形アンドロイドを二体、背後に着かえさせる長身の男が立っていた。いかにも裕福そうなその男はやって来た男に声をかけた。

「お宅のコードネームは?」

「ナンバー229だ。あんたは?」

松井俊之まついとしゆきだ。偽名だがね」

 お互い正規の取引相手であることを確認して、本題へと入る。

 ナンバー229は胸元でアタッシュケースの中身が見えるように開けた。
 中には瓶で小分けにされた物が九つ。その中に入っているものは砂や土で、大地を失った今ではなかなか手に入らない物だ。それ故に政府が取り締まっている対象物だ。
 松井は瓶の中身を見て後ろで控える青髪の機械人形アンドロイドに支持をして、アタッシュケースを開かせる。
 中には大量のお札が綺麗に詰められている。もう一体の赤髪機械人形アンドロイドがその中から一束取り出してナンバー229のもとへと持っていく。

「S・T6、本物か確認しろ」

「わかりました。お預かりします。」

 人間味のあった少女の目が機械的な瞳へと変わり分析を開始する。

「間違いなく本物です」

「そうか。ほらもってけ」

ナンバー229は赤髪の機械人形アンドロイドに人便を渡す――その瞬間のことだ。

「機甲警察だ。そこを動くな!!」

 建物の柱の陰から姿を現し、銃口を向ける男の涙袋には傷跡があった。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

処理中です...