25 / 156
第二機
伝わる思い
しおりを挟む
「さっきは悪かったな」
篤はピザ屋で声を荒らげたことに対して穂摘に謝る。
二人はすでにショッピングモールをでて帰りの電車の中だ。時刻は六時となっているものの空はいまだに明るい。本来ならば篤の降りる駅は過ぎている。だが今日は迷惑をかけてしまった事へのせめてもの行動だ。
「別にいいのよ。いつものことじゃない」
目を瞑りながら言った。
篤は穂摘を横目で見ながら口にはしないものの「ありがとう」と心底思った。
「どういたしまして」
穂摘の呟きに篤は吃驚して穂摘の顔に目をやった。
そのあと二人は一言も会話をすることなく穂摘の家についてしまった。
家には明かりがともっていて、安心感を与えてくれる。
すると突然家のドアが開いて女性が姿を現した。
「あら、ナナお帰り」
「ただいまお母さん」
穂摘母は娘の後ろにいる男をまじまじと見る。
「そちらの方は?」
「仕事の同期の――」
穂摘は篤をちらりと見た。篤はそれが合図とばかりに自己紹介を始める。
「こんばんは、初めまして。三守篤です。穂摘……いいえ、七緒さんにはいつもお世話になっております」
「彼氏さん!?」
穂摘母はテンションが一気に高まる。
「お父さん!!」
「ちょっ!! ちょっとお母さん!?」
「篤君だっけ? 良かったら夜ご飯食べていかない? これから買い忘れを買ってくるからちょっと時間がかかるけど」
「ありがとうございます。でも今日はこれでお暇させていただきます。また今度ぜひ誘ってください」
篤は穂摘母に頭を下げる。
穂摘に向き直り篤は言った。
「今日は本当にありがとうな。また明日、お休み」
「お休み」
篤は踵を返し、オレンジ色に染まった街の中を歩きだした。
篤はピザ屋で声を荒らげたことに対して穂摘に謝る。
二人はすでにショッピングモールをでて帰りの電車の中だ。時刻は六時となっているものの空はいまだに明るい。本来ならば篤の降りる駅は過ぎている。だが今日は迷惑をかけてしまった事へのせめてもの行動だ。
「別にいいのよ。いつものことじゃない」
目を瞑りながら言った。
篤は穂摘を横目で見ながら口にはしないものの「ありがとう」と心底思った。
「どういたしまして」
穂摘の呟きに篤は吃驚して穂摘の顔に目をやった。
そのあと二人は一言も会話をすることなく穂摘の家についてしまった。
家には明かりがともっていて、安心感を与えてくれる。
すると突然家のドアが開いて女性が姿を現した。
「あら、ナナお帰り」
「ただいまお母さん」
穂摘母は娘の後ろにいる男をまじまじと見る。
「そちらの方は?」
「仕事の同期の――」
穂摘は篤をちらりと見た。篤はそれが合図とばかりに自己紹介を始める。
「こんばんは、初めまして。三守篤です。穂摘……いいえ、七緒さんにはいつもお世話になっております」
「彼氏さん!?」
穂摘母はテンションが一気に高まる。
「お父さん!!」
「ちょっ!! ちょっとお母さん!?」
「篤君だっけ? 良かったら夜ご飯食べていかない? これから買い忘れを買ってくるからちょっと時間がかかるけど」
「ありがとうございます。でも今日はこれでお暇させていただきます。また今度ぜひ誘ってください」
篤は穂摘母に頭を下げる。
穂摘に向き直り篤は言った。
「今日は本当にありがとうな。また明日、お休み」
「お休み」
篤は踵を返し、オレンジ色に染まった街の中を歩きだした。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる