海上都市の機甲女 ~a point of change~

ケニーさん

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第三機

姿

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 ツバキが機甲警察で働くようになってから五日目の午後。篤と二人で巡回をしていたはずがツバキの側に篤の姿がない。

(意味もなく突然どこかへ姿を消すような人じゃない……。何かあったのかもしれない)

 ツバキはまず篤の端末に連絡したが繋がらない。次にサクラに連絡を取る。

『はいハーイ。サクラですよー』

「サクラさん、こんな時間に連絡してすみません」

『大丈夫だよー。何か用事ー?』

「篤さんそちらにいませんか?」

『いないよー。そもそも今、勤務時間だよね?』

「なら連絡はありませんでしたか?」

『それもないけどーどうかしたの?』

「大丈夫です。ちょっとした訓練をしてまして……」

 適当なことを言って通話を切って再び別の端末に掛ける。
 サクラと違って繋がるのに時間がかかった。

『えーっと、穂摘です。どうしたの、ツバキちゃん勤務中に?』

 だいぶ電話慣れしてきた穂摘は不思議そうに尋ねてきた。

「篤さんの居場所を調べることできませんか?」

『篤と離れちゃったの? それなら連絡を取れば――』

 穂摘はそれを口にしようとして飲み込む。電話越しにも穂摘の変化を感じる。それはさながら作戦の指揮を執る指揮官のようだ。
 ツバキは今穂摘才能の一端を垣間見た気がした。

『連絡が取れないのね……。分かったわ、私の権限で調べてみる。少し待っていて――』

 ツバキは穂摘の指示通り携帯端末を耳に当てたまま目を閉じて待つ。
 いつもならそう大して長いと感じないような時間が今はとても長く感じる。三十秒だと思って時計塔を見ればまだ二十秒。

(心臓の鼓動につられて早くカウントしちゃったんだ。この感じ……リンの時を思い出して嫌な感じがする)

 ツバキは眉をゆがめ、携帯端末を握る手に力が入る。

 時計の秒針が一周と半程回ったところでスピーカーから穂摘の声――

『お待たせ。北エリアショッピングモール〝ルーン〟の敷地内にいるようね。何があるかわからないから気負付けてね』

「調べていただいてありがとうございます」

 ツバキは篤のいるとされているショッピングモールへと走った。
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