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第六機
お見舞い【ナヅナ】 5
しおりを挟む「篤さん……何か怒ってますか? どうして怒っているんですか? ナヅナ、篤さんを怒らせるようなこと言った? もしそうならあやまります」
篤の表情を見て思った事をナヅナはそのまま口にする。ナヅナは何故篤が腹を立てているのか皆目見当がつかない為、その表情に噓の色はない。
「ナヅナちゃんが謝る必要はない。 それより、翠間はここに来たのか?」
「ううん。来てない」
「これから来るのか?」
「――来ないと……思います」
二重に否定された篤は沸点に達して冷静さを失った。
「まさか、今まで一度も来たことが!?」
篤の問いに対してナヅナは小さく頷いた。
完全に頭に血が上った篤は一切周りを気にすることなく声を荒らげようとしたがナヅナに止められた。
「どうして篤さんが怒ったのかやっとわかりました……。ナヅナのことを思ってくれてありがとうございます……。篤さんはやっぱりやさしいひとですね。でもいいんです……。ナヅナはこれでいいんです」
そとは、雲が広がって雨が降り始めていた。海上都市特有の風のせいで雨は窓ガラスを叩く。少しの間それを眺める表情はどこか大人のようで、視線が吸い寄せられる。
「ナヅナが人に……女の子になれたらって、考えることはありますよ。それでも翠間さんのそばで仕事をしていると機械人形でよかった。そう思います。もしナヅナが女の子だったら、翠間はさんを守れないから……」
(俺はナヅナちゃんよりも子供のようだな……)
篤は気持ちを切り替えて、別の話に花を咲かせ一時間程経過した。
「それじゃ、また。明日また来るよ」
「はい、またあした。ナヅナ楽しみにしています」
篤はツバキのもとへ行こうかと一歩動いたが踏みとどまった。
(水瀬さんが寝ているって、言っていたな。起こしてしまうのも悪い。それに、水瀬さんがそばにいるなら安心だ)
自身の所属する名前のない課を今夜の寝床に選んで寄り道をすることなく向かった。
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