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第七機
会議 6
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神子――日本が保有する八つの海上都市を束ねるトップの名。人前に出ることはなく直接その姿を見たことがあるものはごく一部。共通して知っていることと言えば、本人のものかわからない美しい女性の声のみ。
歴代のトップの中で良くも悪くも最も注目されている人物である。
篤もその姿を目にしたことがない。
あるものは天使だという者もいれば、悪魔だという者もいる。存在するかすら怪しい神子に少なからず多くの者は恐怖心を抱いている。
その神子が会議に現れるとなれば驚くのも当然で、まずは自身の耳を疑うか相手の発言を疑うものだ。
「冗談だろ? それならもっと慌ただしくなっていないとおかしい。だがいつも通りだったぞ?」
「そうでしょうね。このことを知らされているのは会議に参加するものと警備する者だけだから当然ね」
穂摘はお茶を飲んで空になった湯呑を篤に差し出す。
篤はお茶を注いで穂摘に返す。
「あの……神子様とは一体誰なんですか?」
「そうね。海上都市を作り上げた人の血を引く人かな? すごくきれいな人よ。きれいすぎて近寄りがたいけど」
「会ったことがあるのか?」
「一度だけね」
「なら尚更だ。本当に現れるなら俺みたいな機甲官じゃなくて、もっといい人材に早いところ変えた方がいい」
「私は今回の事件まだ続きがあると考えている。破壊された施設の内の六割が歴代のトップが個人的に支援していた所なのだから今回の会議は何かあるように思える。それと水瀬さんから話は聞いたわ。謎の男。時期的に考えて何らかの関係性があると思うの」
「時期的な関係性は俺も同感だ。だがそこで俺なのが全くもってわからない」
「日本の機甲警察で最も強い私の所属する第一特務課室長は知っての通り、まだ目覚めていない。それに今目覚めたところで仕事に復帰するまでに時間がかかる。今この都市は力を失っている状態なの……。大きな力を持つ存在が必要なの――――篤君のような」
「俺は強くない」
「どうして逃げるの?」
目線をそらそうとする篤を真剣な眼差しで見つめる。
「逃げてはいない。あの場にいた穂摘ならよくわかっているだろ……俺は守るどころか仲間を傷つけた」
「わかったわ。もうこれ以上何も言わない。ただ会議には出て欲しいの……後は篤君に任せる。十三時に重要会議室前に……それじゃ、また後で。ツバキちゃんも」
穂摘は部屋を出て行った。
歴代のトップの中で良くも悪くも最も注目されている人物である。
篤もその姿を目にしたことがない。
あるものは天使だという者もいれば、悪魔だという者もいる。存在するかすら怪しい神子に少なからず多くの者は恐怖心を抱いている。
その神子が会議に現れるとなれば驚くのも当然で、まずは自身の耳を疑うか相手の発言を疑うものだ。
「冗談だろ? それならもっと慌ただしくなっていないとおかしい。だがいつも通りだったぞ?」
「そうでしょうね。このことを知らされているのは会議に参加するものと警備する者だけだから当然ね」
穂摘はお茶を飲んで空になった湯呑を篤に差し出す。
篤はお茶を注いで穂摘に返す。
「あの……神子様とは一体誰なんですか?」
「そうね。海上都市を作り上げた人の血を引く人かな? すごくきれいな人よ。きれいすぎて近寄りがたいけど」
「会ったことがあるのか?」
「一度だけね」
「なら尚更だ。本当に現れるなら俺みたいな機甲官じゃなくて、もっといい人材に早いところ変えた方がいい」
「私は今回の事件まだ続きがあると考えている。破壊された施設の内の六割が歴代のトップが個人的に支援していた所なのだから今回の会議は何かあるように思える。それと水瀬さんから話は聞いたわ。謎の男。時期的に考えて何らかの関係性があると思うの」
「時期的な関係性は俺も同感だ。だがそこで俺なのが全くもってわからない」
「日本の機甲警察で最も強い私の所属する第一特務課室長は知っての通り、まだ目覚めていない。それに今目覚めたところで仕事に復帰するまでに時間がかかる。今この都市は力を失っている状態なの……。大きな力を持つ存在が必要なの――――篤君のような」
「俺は強くない」
「どうして逃げるの?」
目線をそらそうとする篤を真剣な眼差しで見つめる。
「逃げてはいない。あの場にいた穂摘ならよくわかっているだろ……俺は守るどころか仲間を傷つけた」
「わかったわ。もうこれ以上何も言わない。ただ会議には出て欲しいの……後は篤君に任せる。十三時に重要会議室前に……それじゃ、また後で。ツバキちゃんも」
穂摘は部屋を出て行った。
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