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第七機
会議 13
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危険人物が立ち去った後の会議室は緊張が解けて、溜息をつくものが多くみられる。だが一人、篤は次のことを考えていた。
霧島の言った言葉――「いつ動き出すか私自身わかりませんが、今日中に事が起こります――」と、もし他の人間が言ったのならハッタリだと聞き流してしまうかもしれないことだがそれが霧島となれば変わる。篤にはわかってしまう。一度会ったあの時感じた恐怖から。
「篤さん、無事ですか?」
「あぁ、問題ない。だがここで逃がしたのは失敗か? それとも正解か? どちらにしても霧島は既に何か仕掛けている」
「でもどこで何を?」
篤も穂摘と同じで、全く想像がつかない。だが篤には一つだけ引っかかるものがあった。いつ動き出すかわからないという言葉。一件、物事がいつ動き出すが変わらないともとれるが、物体――機械などが動き出すともとれる。
「わからない。でも、間違えなく――」
ドーン、と空気を振動させる大きな音が聴覚を刺激する。窓の外を見ていた篤達は目を疑う。遠く、海に最も近い位置で炎が上がっている。それだけではない。何か光を放っている。流石に距離があってはっきりとは見て取ることができない。
「何が起きたのですか?」
神子は状況を伺う。
「爆発です。まだ具体的な情報はありません!」
男が報告する。
ツバキはレンズを調節して火の上がっている場所を限界までアップすると、光、一閃とともに炎が割れて一瞬、姿を現す。
「篤さん……。兵器です。あんなの見たことがない」
「兵器? どんなのだ?」
「わかりません。閃光のようなものが見えたのと四つ足だったことだけで……ただ、とゆっくり中心部に向かって移動しています」
バタバタと動き出す会議室内。
「落ち着いてください」
神子の言葉に動きを止める。
「もう一度、情報を」
「はい、先ほど事に当たっている者から情報が入りました。現在、 エリア外周地の倉庫に置かれたコンテナから突然四足歩行のロボットが出てきて、暴れているそうです。近くにいた機甲官及び機甲人形が応戦しています。それと警察が周囲の避難誘導を始めているとのことです」
情報課から得た事を男が伝える。
「わかりました」
「おい、貴様どこへ行く!!」
斎郷が声を荒らげる。その相手は篤だった。会議室を出ようとしていた篤は足を止める。
「どこへ行くと訊いているんだ」
「現場に行くに決まっているじゃないですか」
「馬鹿か。貴様ごときがいって何になる。行くな、これは命令だ」
二人のやり取りをその場にいる誰もが注目する。命令と言われれば縦社会である機甲警察で上官に逆らうものなどいない。流石にいかないだろと、誰もが思った。
「命令……ですか」
「そうだ、命令だ」
「俺は無所属です。あなたの命令は聞かない」
走り出そうとする篤とツバキ。
「無所属ならなおさら命令に逆らうな。所属していないということは、機甲警察で最も底辺に位置する。それをわかっていての行動か」
「今、現場で対応しているペアがいくつか知っていての言葉ですか?」
「あぁ。情報では十三ペアが現場にいる。それだけいれば十分だ。もしもの為にこれから作戦を立てる」
「一ペアですよ。今戦っているのは――。翠間、ナヅナペアだけで時間を稼いでいる。ナヅナからツバキに中枢番号で連絡があった。そう長い時間は持たない。それで、これから作戦会議? 冗談だんですよね」
お見舞いに行った際にツバキとナヅナで交換した中枢番号が情報錯綜状態の今、役に立ち、交換しておいてよかったと篤は心底思った。
再び走り出そうとする篤とツバキ。
「まて!! 命令もなく勝手に動くことは許さない」
「第一特務課室長代理穂摘二等特務官の権限を持って、篤二等官、ツバキペアに命令を言い渡します。直ちに翠間二等保官、ナヅナペアの援護を」
「了解しました」
篤は穂摘の命令を実行するべく、会議室を後にした。
霧島の言った言葉――「いつ動き出すか私自身わかりませんが、今日中に事が起こります――」と、もし他の人間が言ったのならハッタリだと聞き流してしまうかもしれないことだがそれが霧島となれば変わる。篤にはわかってしまう。一度会ったあの時感じた恐怖から。
「篤さん、無事ですか?」
「あぁ、問題ない。だがここで逃がしたのは失敗か? それとも正解か? どちらにしても霧島は既に何か仕掛けている」
「でもどこで何を?」
篤も穂摘と同じで、全く想像がつかない。だが篤には一つだけ引っかかるものがあった。いつ動き出すかわからないという言葉。一件、物事がいつ動き出すが変わらないともとれるが、物体――機械などが動き出すともとれる。
「わからない。でも、間違えなく――」
ドーン、と空気を振動させる大きな音が聴覚を刺激する。窓の外を見ていた篤達は目を疑う。遠く、海に最も近い位置で炎が上がっている。それだけではない。何か光を放っている。流石に距離があってはっきりとは見て取ることができない。
「何が起きたのですか?」
神子は状況を伺う。
「爆発です。まだ具体的な情報はありません!」
男が報告する。
ツバキはレンズを調節して火の上がっている場所を限界までアップすると、光、一閃とともに炎が割れて一瞬、姿を現す。
「篤さん……。兵器です。あんなの見たことがない」
「兵器? どんなのだ?」
「わかりません。閃光のようなものが見えたのと四つ足だったことだけで……ただ、とゆっくり中心部に向かって移動しています」
バタバタと動き出す会議室内。
「落ち着いてください」
神子の言葉に動きを止める。
「もう一度、情報を」
「はい、先ほど事に当たっている者から情報が入りました。現在、 エリア外周地の倉庫に置かれたコンテナから突然四足歩行のロボットが出てきて、暴れているそうです。近くにいた機甲官及び機甲人形が応戦しています。それと警察が周囲の避難誘導を始めているとのことです」
情報課から得た事を男が伝える。
「わかりました」
「おい、貴様どこへ行く!!」
斎郷が声を荒らげる。その相手は篤だった。会議室を出ようとしていた篤は足を止める。
「どこへ行くと訊いているんだ」
「現場に行くに決まっているじゃないですか」
「馬鹿か。貴様ごときがいって何になる。行くな、これは命令だ」
二人のやり取りをその場にいる誰もが注目する。命令と言われれば縦社会である機甲警察で上官に逆らうものなどいない。流石にいかないだろと、誰もが思った。
「命令……ですか」
「そうだ、命令だ」
「俺は無所属です。あなたの命令は聞かない」
走り出そうとする篤とツバキ。
「無所属ならなおさら命令に逆らうな。所属していないということは、機甲警察で最も底辺に位置する。それをわかっていての行動か」
「今、現場で対応しているペアがいくつか知っていての言葉ですか?」
「あぁ。情報では十三ペアが現場にいる。それだけいれば十分だ。もしもの為にこれから作戦を立てる」
「一ペアですよ。今戦っているのは――。翠間、ナヅナペアだけで時間を稼いでいる。ナヅナからツバキに中枢番号で連絡があった。そう長い時間は持たない。それで、これから作戦会議? 冗談だんですよね」
お見舞いに行った際にツバキとナヅナで交換した中枢番号が情報錯綜状態の今、役に立ち、交換しておいてよかったと篤は心底思った。
再び走り出そうとする篤とツバキ。
「まて!! 命令もなく勝手に動くことは許さない」
「第一特務課室長代理穂摘二等特務官の権限を持って、篤二等官、ツバキペアに命令を言い渡します。直ちに翠間二等保官、ナヅナペアの援護を」
「了解しました」
篤は穂摘の命令を実行するべく、会議室を後にした。
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