陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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アケボノ

チョコレイトプロジェクト②

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 そして、バレンタイン前日。私たちは楓の家にやって来た。

「めっちゃ久しぶりやな。」
「いつ以来?」
「キャンプとかやと思う。」
「なんか1人増えてるし。まぁいいけど。」

あれからきいが私に相談してきて、一緒に作ることになったのだ。楓には今日の朝連絡したから突然のことになってるけど。

「今日はママは仕事で奏は絶対に来させないから安心して。なんかQと遊ぶとか言ってたし。」
「久志もなんか言ってたな。そういや。」

「おじゃましまーす」って言って中に入って、リビングに荷物を置く。それぞれ材料はほぼ全部自腹で、チョコレートだけは楓が業務用のビターなやつを用意してくれた。

「じゃあ作り始めよっか?」
「やな。」

 キッチンに移動してみると、めちゃくちゃ広い。アイランドキッチンって訳では無いけど、何人か立てるように設計されてるし、何より物が上に乗ってないから広く感じる。

 チョコレートを湯煎しながら、きいの面倒を見る。きいは作るには作るけど、あんまり作るのが得意じゃないみたいで、私が面倒を見ることになったのだ。

「溶けてきた?」
「結構…いい感じかな?」
「うん。いい感じ。」
「甘さ、どっちに合わせたらいいと思う?」

久志はビターが好きだ。でも、信じられないほどビターなやつが好きだから、市販のビターチョコレートでも甘いって言ってた。

「久志には我慢してもらおっか。別で作らなあかんようになる。」
「やんな。」
「別にいけると思うで。」

楓はマカロンを作りながら言う。

「奏もそんなに甘いの好きちゃうし、新宮くんもやんな?」
「せやな。カレンもそんなこと言うとった。」

音羽も楓にマカロンの作り方を教えてもらいながら作っている。音羽はこの数日の間にカレンを仕留める気らしい。なんか熱くなってる。

「じゃあ私達もちょっとビターなやつでいいか。」
「だねぇー。」

 卵の黄身とグラニュー糖を少し混ぜて、湯煎したチョコレートと混ぜる。薄力粉をふるって入れて混ぜる。そんな単純な作業だが、久しぶりに作るから結構疲れてきた。

「私、もう腕限界。」
「やろうな。まったく運動してないもんな。」
「そんなの、桜も一緒やろ?」
「私は毎日料理だけはしてるから。それに歩く距離も私たちの方が長いし。」
「それはそうやけど。」

そんなのどれくらいの差になるのか知らないが、私の方が動いているのはたしかだ。

 別のボウルでメレンゲを作り、チョコレートに混ぜる。ゴムベラでサクサクと。きいも同じように作ってるから音が重なって面白い。

「もうすぐこっち焼くけど、どれ使ったらいい?」
「んじゃ、そこの黒いオーブン使って。私たちはこっち使うから。」

どうやらオーブンが2つあるらしい。型に入れて空気抜きをして、きいと見分けがつくようにして、予熱したオーブンに入れた。

「じゃあ待つだけやな。」
「やな。」

きいと見合って、オーブンの前に張り付く。

「リビング戻らんでええん?」
「見ときたい。桜こそ戻ったら?」
「…見ときたい。」
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