陰キャの陰キャによる陽に限りなく近い陰キャのための救済措置〜俺の3年間が青くなってしまった件〜

136君

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インタイ

せんご①

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 今日は地区大会。中央大会の前哨戦であるこの大会には、中央大会の制限タイムを切るために、全員が死ぬ気で調子を合わせてくる。

「奏、なんか楽しそうやな。」
「どーゆーことや。俺はいつも通りやで。」
「そうは見えんけどな。」

楓は俺の隣に座って、そんなことを言う。このジャージを着てこの朝の電車に乗るのもあと数回になってきた。

 同じ号車には他校の水泳部の人も結構いる。おそらくその全員が地区大会の舞台であるラクタブに向かっているのだろう。

「もうここまで来たら楽しむしかないよな。だって、あと試合って、俺、2回しかないし。」
「そやな。全力で楽しんでこ。」

そんな話をしていたら、早くも京橋についた。

 今日出るのは400m自由形と1500。400はもう制限を切っているが、1500の前にアップついでに泳ぐ。試合にこんなスタンスで出るのは無礼かもしれないが、これも1500のためだ。

「奏、昼ごはんどこで買うん?」
「門真南のコンビニで買う気やで。そのためにこの時間の電車乗ってるんやし。」

駅の階段を上がってすぐのところにあるコンビニ。今まで幾度となくお世話になってきたこのコンビニは、試合のときは選手が昼飯を買い漁り、時間によっちゃあ品薄なんてよくある事だ。だから朝のこの時間に買えるようにこの時間に出た。

 長堀鶴見緑地線に乗り換えて、4両の白い電車に乗る。

「このシート座ったら、ラクタブ近づいてきたって思うよな。」
「分かる。この音とか特にな。」

ファーファーファーって音は、もう何回も聞いてきた。試合の度に聞くこの音も、この電車のエンジン音も、何もかもがこのラクタブまでの道だ。

『次は門真南、終点です。』

電子音声が流れる。もう門真南。勝負の場所だ。

 しばらくの沈黙が流れる。電車はゆっくりとホームに止まり、そしてドアが開いた。

「行くか。」
「うん。」
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