14 / 20
第14話:ポール様と執事のブレソール様がまた夜中に私の部屋を訪ねてくる
しおりを挟む
今日もアラン様はこの城にいない。
例の吸血鬼国家連合評議会で出張中。
早く、終わらないかなあ。
私はただのメイドとして、日中はお部屋の掃除などをして過ごす。
そして、掃除が終わった後、カミーユ様が点検してやり直しを命じられたり。
ちゃんと掃除したんだけどなあ。
虐めかしら。
明らかに、カミーユ様から嫌われている。
他の吸血鬼たちからも。
すっかり落ち込んで自分の部屋で、また一人寂しく夕食を取る。
早く、アラン様、帰って来ないかなあ。
ああ、私を抱いてほしい、全てを忘れさせてほしいなあ。
そんなことを考えていたらあそこがまた疼く。
どうしよう。
アラン様に抱かれる自分を妄想してしまう。
いやらしい女だわ。
けど、したいの。
そして、つい手が股間に伸びたその時、扉がノックされた。
私は慌てて、スカートの中に入れていた手を引っ込めて、扉を開けた。
すると、ポール様が立っていた。
ああ、危なかった。
またオナニーをしているところを見られるとこだった。
「こんばんは、フランソワーズ。また悪いね、こんな夜中にお邪魔して」
「あ、はい、かまいません」
そして、ポール様の後ろには執事のブレソール様が立っていた。
「こんばんは、ブレソール様」
私は挨拶するが、ブレソール様は憮然としていて、挨拶を返してくれない。
やはり嫌われているんだと、私は憂鬱になった。
私はこの吸血鬼城では邪魔者なのかなあ。
お二人を狭い部屋に招き入れる。
「あの、ところでどんなご用でしょうか」
「例の兄貴暗殺未遂事件のことさ」
ああ、アラン様の暗殺未遂事件の件か。
私はますます憂鬱になった。
私の頭にはまた仲間のクロードの絶叫が鳴り響く。
「君たち暗殺部隊は全員銀のナイフやら剣を持っていたんだろ」
「ええ、吸血鬼には銀製の武器が効果があると聞いてました」
「それでさあ、その事件が未遂に終わった後なんだけど、銀製の武器なんて危ないからさっさと廃棄させるはずじゃない、普通は」
「そうですね」
「けど、マクシミリアンの奴、捨てなかったんだよな。そうだろ、ブレソール」
「はい、マクシミリアンが勝手に地下の倉庫に保管していたんです。それがわかって国王陛下に叱責を受けた後、銀製の武器は全部廃棄させたんですが困ったことがおきましてね」
ブレソール様が渋い顔をする。
私はブレソール様は怖いので、ポール様に聞いてみた。
「あの、困った事とは何ですか」
「ナイフが一本足りないんだよ」
「あの、私が持っている分ではないのですか」
「いや、それを引いても、一本足りないんだよ。フランソワーズが所属していた暗殺部隊ってのは銀製のナイフってのは一人一本だけ持っていたのか」
「はい、そうですね」
「じゃあ、十人いたから十本あったはず。その内、一本は君、もう一本は逃げる途中吊り橋で転落した間抜けな奴が持っていてそのまま海の藻屑になったと。つまり、残りは八本のはずが、廃棄する時、数えたら七本しかなかったんだ」
ポール様が発言した吊り橋で転落した間抜けな奴ってクロードのことだ。
私はまた憂鬱になる。
それにポール様には悪気はないのだろうけど、幼馴染のクロードのことを間抜けと言われて、正直、私は落ち着かない気分になった。
なんとなくクロードのことを思い出していたら、またポール様に聞かれた。
「そのナイフってなんか特殊な仕掛けとかあったの」
「いえ、普通の銀製のナイフです」
「それで、どうやって兄貴を暗殺しようとしたんだい」
「あの……ナイフを投げて……その、アラン様の心臓を狙う計画でした……」
私がそう言うと、執事のブレソール様がものすごい怖い顔で私を睨む。
私は心の中で震えあがった。
国王陛下を暗殺しようとしたんだから、仕方がないけど。
すると、急にポール様が黙りこくってしまう。
いつものヘラヘラした顔じゃなくて、すごく真面目な顔をしている。
こんな真剣な顔をしているポール様は初めて見た。
「あ、あの、どうされました、ポール様」
「……ん、ああ、いや、要するに例のスパイが銀のナイフを持っているんじゃないかと思ってね……」
するとブレソール様が私の顔をにらみつけながら言った。
「いざとなったら、そのスパイとやらが機会を狙って国王陛下の心臓を一突きに出来るというわけですな。いや、そのスパイが吸血鬼だとしたら銀のナイフは使えない、つまり人間にしか出来ないというわけですな。それに国王陛下は滅多に気を抜かないお方だ。国王陛下が一番無防備な時、つまり就寝している間に心臓を一突きに出来る人間にしか出来ないというわけですな」
私はまた震えあがる。
慌てて、ブレソール様に向かって釈明した。
「あ、あの、私、アラン様を殺めようなんて気はもう全くありませんが」
「じゃあ、何で銀のナイフなんて持っているんだよ、お前はただのメイドだろ。何でそんなものが必要なんだ」
「あの、その、アラン様から護身用にとマクシミリアン様を通していただいたものです……」
「ふーん、けど、それを誰かに渡して国王陛下を狙うこともできるわけだ」
「わ、私、そんなことをするつもりは一切ありません……」
私がますます震えながら言い訳をしていると、ポール様が割ってはいった。
「まあまあ、フランソワーズはもう兄貴を殺そうなんて気はないよ。むしろ兄貴のためなら命を捨てるって感じかな。そうだろ、フランソワーズ」
「は、はい……」
ポール様の言う通り、私はアラン様のためなら自分の命を捨てるつもりとは思ってるけど、実際、そんな場面に出くわしたら、ただ、足がすくむかもしれないなあとも思った。
結局、臆病者なんだよなあ、私って。
「だいたい、兄貴が暗殺されそうになっているときに、全然、違う場所にいたんだからなあ、マクシミリアンの奴。お前のどこが国王陛下の警備隊長なんだって言ってやりたいぞ、俺は!」
「おまけに、この人間のメイドをなぜか無傷で捕まえたんですよね」
また、私をにらみつけるブレソール様。
私、相当恨まれているか、疑われているみたいだなあ。
「いやいや、もう、フランソワーズは大丈夫だよ、なあ、フランソワーズ。鏡の前でさあ、疑いを晴らしたんだから、って、その件は忘れたんだっけ、俺は。いや、すまん、すまん」
私はまた顔を真っ赤にして、うつむいてしまった。
鏡の前で全裸でオナニーをしていたいやらしい女。
やっぱり情けない。
ブレソール様は何の事やらって表情をした。
「まあ、そんなわけで、ありがとう、フランソワーズ」
ポール様はブレソール様と一緒に部屋を出て行った。
やっぱりポール様は私のいやらしいオナニー行為を忘れてないわ。
ああ、恥ずかしい。
けど、さっきスカートに手を突っ込んでしようとしてたんだっけ。
ああ、よかった、してるとこ見られなくて。
また見られてたら完全に淫乱女って思われてしまってたわ。
例の吸血鬼国家連合評議会で出張中。
早く、終わらないかなあ。
私はただのメイドとして、日中はお部屋の掃除などをして過ごす。
そして、掃除が終わった後、カミーユ様が点検してやり直しを命じられたり。
ちゃんと掃除したんだけどなあ。
虐めかしら。
明らかに、カミーユ様から嫌われている。
他の吸血鬼たちからも。
すっかり落ち込んで自分の部屋で、また一人寂しく夕食を取る。
早く、アラン様、帰って来ないかなあ。
ああ、私を抱いてほしい、全てを忘れさせてほしいなあ。
そんなことを考えていたらあそこがまた疼く。
どうしよう。
アラン様に抱かれる自分を妄想してしまう。
いやらしい女だわ。
けど、したいの。
そして、つい手が股間に伸びたその時、扉がノックされた。
私は慌てて、スカートの中に入れていた手を引っ込めて、扉を開けた。
すると、ポール様が立っていた。
ああ、危なかった。
またオナニーをしているところを見られるとこだった。
「こんばんは、フランソワーズ。また悪いね、こんな夜中にお邪魔して」
「あ、はい、かまいません」
そして、ポール様の後ろには執事のブレソール様が立っていた。
「こんばんは、ブレソール様」
私は挨拶するが、ブレソール様は憮然としていて、挨拶を返してくれない。
やはり嫌われているんだと、私は憂鬱になった。
私はこの吸血鬼城では邪魔者なのかなあ。
お二人を狭い部屋に招き入れる。
「あの、ところでどんなご用でしょうか」
「例の兄貴暗殺未遂事件のことさ」
ああ、アラン様の暗殺未遂事件の件か。
私はますます憂鬱になった。
私の頭にはまた仲間のクロードの絶叫が鳴り響く。
「君たち暗殺部隊は全員銀のナイフやら剣を持っていたんだろ」
「ええ、吸血鬼には銀製の武器が効果があると聞いてました」
「それでさあ、その事件が未遂に終わった後なんだけど、銀製の武器なんて危ないからさっさと廃棄させるはずじゃない、普通は」
「そうですね」
「けど、マクシミリアンの奴、捨てなかったんだよな。そうだろ、ブレソール」
「はい、マクシミリアンが勝手に地下の倉庫に保管していたんです。それがわかって国王陛下に叱責を受けた後、銀製の武器は全部廃棄させたんですが困ったことがおきましてね」
ブレソール様が渋い顔をする。
私はブレソール様は怖いので、ポール様に聞いてみた。
「あの、困った事とは何ですか」
「ナイフが一本足りないんだよ」
「あの、私が持っている分ではないのですか」
「いや、それを引いても、一本足りないんだよ。フランソワーズが所属していた暗殺部隊ってのは銀製のナイフってのは一人一本だけ持っていたのか」
「はい、そうですね」
「じゃあ、十人いたから十本あったはず。その内、一本は君、もう一本は逃げる途中吊り橋で転落した間抜けな奴が持っていてそのまま海の藻屑になったと。つまり、残りは八本のはずが、廃棄する時、数えたら七本しかなかったんだ」
ポール様が発言した吊り橋で転落した間抜けな奴ってクロードのことだ。
私はまた憂鬱になる。
それにポール様には悪気はないのだろうけど、幼馴染のクロードのことを間抜けと言われて、正直、私は落ち着かない気分になった。
なんとなくクロードのことを思い出していたら、またポール様に聞かれた。
「そのナイフってなんか特殊な仕掛けとかあったの」
「いえ、普通の銀製のナイフです」
「それで、どうやって兄貴を暗殺しようとしたんだい」
「あの……ナイフを投げて……その、アラン様の心臓を狙う計画でした……」
私がそう言うと、執事のブレソール様がものすごい怖い顔で私を睨む。
私は心の中で震えあがった。
国王陛下を暗殺しようとしたんだから、仕方がないけど。
すると、急にポール様が黙りこくってしまう。
いつものヘラヘラした顔じゃなくて、すごく真面目な顔をしている。
こんな真剣な顔をしているポール様は初めて見た。
「あ、あの、どうされました、ポール様」
「……ん、ああ、いや、要するに例のスパイが銀のナイフを持っているんじゃないかと思ってね……」
するとブレソール様が私の顔をにらみつけながら言った。
「いざとなったら、そのスパイとやらが機会を狙って国王陛下の心臓を一突きに出来るというわけですな。いや、そのスパイが吸血鬼だとしたら銀のナイフは使えない、つまり人間にしか出来ないというわけですな。それに国王陛下は滅多に気を抜かないお方だ。国王陛下が一番無防備な時、つまり就寝している間に心臓を一突きに出来る人間にしか出来ないというわけですな」
私はまた震えあがる。
慌てて、ブレソール様に向かって釈明した。
「あ、あの、私、アラン様を殺めようなんて気はもう全くありませんが」
「じゃあ、何で銀のナイフなんて持っているんだよ、お前はただのメイドだろ。何でそんなものが必要なんだ」
「あの、その、アラン様から護身用にとマクシミリアン様を通していただいたものです……」
「ふーん、けど、それを誰かに渡して国王陛下を狙うこともできるわけだ」
「わ、私、そんなことをするつもりは一切ありません……」
私がますます震えながら言い訳をしていると、ポール様が割ってはいった。
「まあまあ、フランソワーズはもう兄貴を殺そうなんて気はないよ。むしろ兄貴のためなら命を捨てるって感じかな。そうだろ、フランソワーズ」
「は、はい……」
ポール様の言う通り、私はアラン様のためなら自分の命を捨てるつもりとは思ってるけど、実際、そんな場面に出くわしたら、ただ、足がすくむかもしれないなあとも思った。
結局、臆病者なんだよなあ、私って。
「だいたい、兄貴が暗殺されそうになっているときに、全然、違う場所にいたんだからなあ、マクシミリアンの奴。お前のどこが国王陛下の警備隊長なんだって言ってやりたいぞ、俺は!」
「おまけに、この人間のメイドをなぜか無傷で捕まえたんですよね」
また、私をにらみつけるブレソール様。
私、相当恨まれているか、疑われているみたいだなあ。
「いやいや、もう、フランソワーズは大丈夫だよ、なあ、フランソワーズ。鏡の前でさあ、疑いを晴らしたんだから、って、その件は忘れたんだっけ、俺は。いや、すまん、すまん」
私はまた顔を真っ赤にして、うつむいてしまった。
鏡の前で全裸でオナニーをしていたいやらしい女。
やっぱり情けない。
ブレソール様は何の事やらって表情をした。
「まあ、そんなわけで、ありがとう、フランソワーズ」
ポール様はブレソール様と一緒に部屋を出て行った。
やっぱりポール様は私のいやらしいオナニー行為を忘れてないわ。
ああ、恥ずかしい。
けど、さっきスカートに手を突っ込んでしようとしてたんだっけ。
ああ、よかった、してるとこ見られなくて。
また見られてたら完全に淫乱女って思われてしまってたわ。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~
双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。
なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。
※小説家になろうでも掲載中。
※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。
専属秘書は極上CEOに囚われる
有允ひろみ
恋愛
手痛い失恋をきっかけに勤めていた会社を辞めた佳乃。彼女は、すべてをリセットするために訪れた南国の島で、名も知らぬ相手と熱く濃密な一夜を経験する。しかし、どれほど強く惹かれ合っていても、行きずりの恋に未来などない――。佳乃は翌朝、黙って彼の前から姿を消した。それから五年、新たな会社で社長秘書として働く佳乃の前に、代表取締役CEOとしてあの夜の彼・敦彦が現れて!? 「今度こそ、絶対に逃さない」戸惑い距離を取ろうとする佳乃を色気たっぷりに追い詰め、彼は忘れたはずの恋心を強引に暴き出し……。執着系イケメンと生真面目OLの、過去からはじまる怒涛の溺愛ラブストーリー!
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
撮影されて彼に愛される
守 秀斗
恋愛
自撮りが好きな杉元美緒。22歳。でも、人前でするのは恥ずかしくて、誰もいない海岸まで行って水着姿を撮影していると、車椅子に乗った男に声をかけられた。「あなたは本当に美しいですね。あなたの写真を撮影したいのですが、だめでしょうか」と。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる