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第38話:チェーザレの死
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小隊長ともなると、世間のしがらみがきつくなる。
また、赤ひげのおっさんに大隊長室に呼び出されて怒られた。
「お前、小隊長になったのに、まだ東地区担当の自警団長に挨拶に行ってないんだってな。自警団には大変お世話になっているんだぞ。相手に失礼だろが。さっさと行け!」
うーん、行こうと思ってたんだけど、あたしのモットーの「今日出来ることは明日も出来る」が働いているうちに、結局、忘れていた。
やれやれ、面倒だな。
嫌なら警備隊を辞めて泥棒に戻れよって? けどねえ、泥棒だって、しがらみがあるんよ。
山奥に一人で仙人みたいには生きていけないんよ。
人は一人では生きていけないんよ。
それに、リーダーと離れたくないなあという気持ちがまだ残ってるんよ。
まだ未練が残っているのかって? もう、あきらめろって? あきらめてるよ。けど、離れたくないんよ。
リーダーの顔だけ見てるだけでいいんよ。
でも、未練たらたら、情けないあたし。
さて、自警団と言うと、緊急時に民間人が即席で結成して暴れたりする団体とかイメージする人もいるかもしれないけど、この都市の自警団は大昔からあり、治安の維持やら、防災活動などその他細々とした住民からの苦情の応対も行っている。実際のところ、小さい事件は自警団で処理して、警備隊には事後報告がほとんどだ。
まあ、町内会みたいなもんね。
昔は、犯罪が起きると自警団が処罰してたらしいけど、各地域の自警団の間で刑罰の違いがあったりして、今は、警備隊が全体をまとめているって感じね。
自警団員はボランティア活動。
自警団長は、だいたいその区域の名士がやっている。
さて、その東地区担当の自警団長のご自宅を訪問する。
おお、豪邸だ。
さすが名士。
庭に池があって、でっかい鯉を飼ってたりする。
かなりの金持ちだな。
自警団長のお名前はフェデリコ・デシーカさん。
太った背の低い、陽気な感じのおじさんだ。
そのフェデリコさんにご挨拶。
「この区域担当の警備隊小隊長のプルム・ピコロッティと申します。ご挨拶が遅れて、大変申し訳ありません」
「いえいえ、かの有名なドラゴンキラーにお会いできるとは光栄ですなあ」
また、ドラゴンキラーか。
いつまで言われ続けるのだろうか。
いい加減にしてくれって感じ。
やれやれ。
豪華な応接室であたしとフェデリコさんが歓談していると、団員の人が部屋に飛び込んできた。
「団長、ご報告があります!」
変死体が発見されたそうだ。
フェデリコさんに頼まれる。
「プルム小隊長殿も、一応、来ていただけますか」
「はい、分かりました」
あたしも同行することになった。
ゴミ収集場所で死体が発見されたとのこと。
自警団の人が集まっている。
ごみ溜めの中に到着。
すると、黒い背広でノーネクタイのずんぐりした男があおむけで死んでいる。
え! 見たことあるぞ!
チェーザレだ。
びっくりしたあたしは、思わず叫んでしまった。
「チェーザレ!」
「プルム小隊長殿は、あの死んでいる男をご存知なんですか」
フェデリコさんに聞かれる。
「あ、はい、あのう、情報屋の人ですね」
「情報屋ですか。怪しげな仕事をしてた奴ですな。警備隊もこういう人種と付き合わなければいけないとは大変ですな」
「はあ」
戸惑うあたし。
「遺族とかに連絡したいんですけど、プルム小隊長殿は御存知ですか」
団員さんに聞かれた。
「出身は、ラドゥーロ市の西地区トランクイロ街です」
すると、フェデリコさんに聞かれてしまった。
「何で知ってるんですか」
「……本人から聞きました」
それを聞いた一人の団員があたしとフェデリコさんに言った。
「ラドゥーロ市のトランクイロ街って有名なスラム街ですよ」
「スラム街出身か。人間の屑がゴミ溜めで死んだってことだな」
フェデリコさんが笑った。
それにつられて、自警団も全員で大笑いしている。
同郷とは言えなかった……。
「あの、警備隊で引き取りますので」
あたしはそう申し出て、チェーザレの遺体を引き取ることにした。
チェーザレは刺殺されていた。
チェーザレの死体は簡素な棺に入れて、あたしも知り合いのトランクイロ街のボス、アドリアーノ・ロベロに頼んで引き取ってもらうことにした。
寮に帰って、ベッドに倒れ込む。
いつもはイケメンとのデートを妄想しているあたし。
だけど、今日はチェーザレの顔ばかり浮かんでくる。
この首都に来たのもあたしのコネを期待して来たんだっけ。
でも、最初からケンカしまくり。
なんでだろう。
うーん、よく考えると、あたしがイライラしているときだったなあ。
タイミングが悪かった。
って、言い訳に過ぎないな。
と言うか、あたしがひどいんだな。
チェーザレも十代でぐれちゃったけど、粋がってただけかも。
小さい頃はよく遊んだ。
けど、チェーザレから暴力とか振るわれたことなんて一度も無い。
だいたい、虐められたこともないぞ。
からかわれたことはあるけど。
最後に会ったのは、罵倒しまくった日。
けど、チェーザレは全然怒らなかったなあ。
確か、五日前くらいだっけ。
借金まで肩代わりしてくれたのに。
何にも助けなかった。
憂鬱。
悲しくなる。
チェーザレの奴、死んだあとまで嫌がらせか。
ベッドで横になって、泣いた。
また、赤ひげのおっさんに大隊長室に呼び出されて怒られた。
「お前、小隊長になったのに、まだ東地区担当の自警団長に挨拶に行ってないんだってな。自警団には大変お世話になっているんだぞ。相手に失礼だろが。さっさと行け!」
うーん、行こうと思ってたんだけど、あたしのモットーの「今日出来ることは明日も出来る」が働いているうちに、結局、忘れていた。
やれやれ、面倒だな。
嫌なら警備隊を辞めて泥棒に戻れよって? けどねえ、泥棒だって、しがらみがあるんよ。
山奥に一人で仙人みたいには生きていけないんよ。
人は一人では生きていけないんよ。
それに、リーダーと離れたくないなあという気持ちがまだ残ってるんよ。
まだ未練が残っているのかって? もう、あきらめろって? あきらめてるよ。けど、離れたくないんよ。
リーダーの顔だけ見てるだけでいいんよ。
でも、未練たらたら、情けないあたし。
さて、自警団と言うと、緊急時に民間人が即席で結成して暴れたりする団体とかイメージする人もいるかもしれないけど、この都市の自警団は大昔からあり、治安の維持やら、防災活動などその他細々とした住民からの苦情の応対も行っている。実際のところ、小さい事件は自警団で処理して、警備隊には事後報告がほとんどだ。
まあ、町内会みたいなもんね。
昔は、犯罪が起きると自警団が処罰してたらしいけど、各地域の自警団の間で刑罰の違いがあったりして、今は、警備隊が全体をまとめているって感じね。
自警団員はボランティア活動。
自警団長は、だいたいその区域の名士がやっている。
さて、その東地区担当の自警団長のご自宅を訪問する。
おお、豪邸だ。
さすが名士。
庭に池があって、でっかい鯉を飼ってたりする。
かなりの金持ちだな。
自警団長のお名前はフェデリコ・デシーカさん。
太った背の低い、陽気な感じのおじさんだ。
そのフェデリコさんにご挨拶。
「この区域担当の警備隊小隊長のプルム・ピコロッティと申します。ご挨拶が遅れて、大変申し訳ありません」
「いえいえ、かの有名なドラゴンキラーにお会いできるとは光栄ですなあ」
また、ドラゴンキラーか。
いつまで言われ続けるのだろうか。
いい加減にしてくれって感じ。
やれやれ。
豪華な応接室であたしとフェデリコさんが歓談していると、団員の人が部屋に飛び込んできた。
「団長、ご報告があります!」
変死体が発見されたそうだ。
フェデリコさんに頼まれる。
「プルム小隊長殿も、一応、来ていただけますか」
「はい、分かりました」
あたしも同行することになった。
ゴミ収集場所で死体が発見されたとのこと。
自警団の人が集まっている。
ごみ溜めの中に到着。
すると、黒い背広でノーネクタイのずんぐりした男があおむけで死んでいる。
え! 見たことあるぞ!
チェーザレだ。
びっくりしたあたしは、思わず叫んでしまった。
「チェーザレ!」
「プルム小隊長殿は、あの死んでいる男をご存知なんですか」
フェデリコさんに聞かれる。
「あ、はい、あのう、情報屋の人ですね」
「情報屋ですか。怪しげな仕事をしてた奴ですな。警備隊もこういう人種と付き合わなければいけないとは大変ですな」
「はあ」
戸惑うあたし。
「遺族とかに連絡したいんですけど、プルム小隊長殿は御存知ですか」
団員さんに聞かれた。
「出身は、ラドゥーロ市の西地区トランクイロ街です」
すると、フェデリコさんに聞かれてしまった。
「何で知ってるんですか」
「……本人から聞きました」
それを聞いた一人の団員があたしとフェデリコさんに言った。
「ラドゥーロ市のトランクイロ街って有名なスラム街ですよ」
「スラム街出身か。人間の屑がゴミ溜めで死んだってことだな」
フェデリコさんが笑った。
それにつられて、自警団も全員で大笑いしている。
同郷とは言えなかった……。
「あの、警備隊で引き取りますので」
あたしはそう申し出て、チェーザレの遺体を引き取ることにした。
チェーザレは刺殺されていた。
チェーザレの死体は簡素な棺に入れて、あたしも知り合いのトランクイロ街のボス、アドリアーノ・ロベロに頼んで引き取ってもらうことにした。
寮に帰って、ベッドに倒れ込む。
いつもはイケメンとのデートを妄想しているあたし。
だけど、今日はチェーザレの顔ばかり浮かんでくる。
この首都に来たのもあたしのコネを期待して来たんだっけ。
でも、最初からケンカしまくり。
なんでだろう。
うーん、よく考えると、あたしがイライラしているときだったなあ。
タイミングが悪かった。
って、言い訳に過ぎないな。
と言うか、あたしがひどいんだな。
チェーザレも十代でぐれちゃったけど、粋がってただけかも。
小さい頃はよく遊んだ。
けど、チェーザレから暴力とか振るわれたことなんて一度も無い。
だいたい、虐められたこともないぞ。
からかわれたことはあるけど。
最後に会ったのは、罵倒しまくった日。
けど、チェーザレは全然怒らなかったなあ。
確か、五日前くらいだっけ。
借金まで肩代わりしてくれたのに。
何にも助けなかった。
憂鬱。
悲しくなる。
チェーザレの奴、死んだあとまで嫌がらせか。
ベッドで横になって、泣いた。
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