屋上の合鍵

守 秀斗

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第15話:電気室の壁の染み

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 さて、私と鈴木さんが電気室でしまくってた夏。ある日、施設部長と係員数人が総務部にやって来た。怖い顔した施設部長。この人が笑った時を私は見たことが無い。そして、私は課長に指示される。

「進藤さん、施設部長と一緒に地下の電気室に行ってくれる」

 電気室! え、バレたの、私の淫乱行為。まさか、電気室で説教されるの、こんなとこでやらしい行為をするなって、え、私、クビ! って焦ったけど、違うみたい。部長に言われた。

「一応、総務の方にも立ち会ってもらいたいんですよ。電気室がちょっと変でね」

 何だろうと施設部の方々と電気室に行く。何を立ち会うの。電気室での行為を思い出す。そして、ドキドキしてきた。あの部屋の前室に例の折りたたみマットレスを置いたままなの。たたんで隅っこに置いてあるけど。目立つわ、何もない部屋だから。

 電気室の中に入るとすでに点検業者さんが待っていた。その業者さんを壁際に連れて行き部長が業者に聞いている。

「この染みなんだけど、何だろう」

 うわ! 私があそこから噴き出したはしたない液が壁を汚した跡じゃないの。恥ずかしくなる私。そして、あの時の行為を思い出して、あそこが疼いたりする。私、おかしいわね。

「うーん……何でしょうねえ」

 何だか子細に眺めている業者さん、それに施設部の方々。業者さんがスマホで撮影まで始めた。私のあそこが噴き出した液が作った染みを。ああ、恥ずかしい、ますますドキドキしてきた。

「まあ、液体のようですけどねえ」

 業者さんが首をかしげている。

「何でこんな電気室に液体の染みが出来るんだ」

 すると、係員の一人が言った。

「こっちの床にも染みがありますねえ」

 顔を近づけるその係員。やだ、私と彼の激しい行為で撒き散らした汗、唾液、その他、いやらしい液の染みよ、それ。ああ、何でそんなものに興味を持つの。内心焦っている私。バレないわよねえ。そして、係員が言った。

「なんとなくアンモニアの匂いがしませんか」
「なに、どれどれ」

 こらこら、全員で匂いを嗅いでいる、この前、私が失禁して出した黄金色の液体の匂いがまだ残ってたんだわ。うひゃ、恥ずかしい! 何とか誤魔化さないと。

「あの、雨漏りでもしたんじゃないでしょうか」

 私の意見に施設部長が反論する。

「何を言ってるんですか、進藤さん。ここは地下室だよ。それも建物の真ん中ぐらいなんだけど」
「そ、そうですね」

 すると、業者さんが私の顔を見てニヤニヤする。え、この人、まさか私と彼の行為を盗み見てたんじゃないの。え、いきなり言われるの、やあ、お盛んですねえ、でも電気室でするのはやめていただけますか、漏電したらまずいのでとか叱られるの、恥ずかしい! しかし、業者さんは全然違う事を言った。

「このビル、かなり古いですからね。鉄筋コンクリートの場合、外壁のコンクリートとひび割れ防止をするシーリング材が使用されるんです。ただ、紫外線や風とか雨にさらされ続けると劣化してひび割れが生じるんですよね。そこに、強い暴風雨とか当たると途中の階でも雨水が浸み込んで来ることがあるんですよ。そして、それが地下室まで浸透していく場合もあるんです。または内部の配管などが劣化して破損した場合も考えられますね。水が漏れ出してビルの中に浸透して、そこからこの部屋に垂れ落ちていくと」

 やたら専門的な話を得々と語る業者さん。違うって。漏れて垂れ落ちて濡れて染みになったのは私のあそこからよ。そして、部長が業者に聞いている。

「ここは前室で何もないけど、奥の電気設備に雨水とかが落ちたら漏電した可能性もあるってことか」
「まあ、設備は漏電ブレーカーとかアースが設置されてますけどねえ。でも、この設備自体が古いんで漏電の可能性もあったでしょうね」
「火災とかにもなったのか」
「ありえますね」

 漏電したら火災なんだあ。よかったわ、私のあそこから噴き出した液が電源設備まで飛んでいかなくてとかバカなことを考えていたら、部長が係員を叱っている。

「お前ら、ちゃんと施設の確認とかしてんのか。しっかりしろ」
「えーと、申し訳ございません。ちょっと手抜かりがあったようで」

 係員さんたち部長に怒られてる。可哀想だわ。何とか助けてあげたいけど、でも、この染みの原因は私が鈴木さんとしたおかげで、私のいやらしいあそこから噴き出しちゃったんですなんて言えるわけないわ!

「水も漏らさずに確認しとけよ!」

 また怒鳴っている部長。あの行為の時、私のあそこが漏らしやすくて、申し訳ありませんでしたと謝りたくなった。

 そして、また部長が見つけてしまう、例のマットレス。

「これは何だ、これは何に使ってたんだ」
「いや、ちょっとわかりません」
「おいおい、わからないものが置いてあるって、ちゃんと真面目に仕事しろよ」

 そして、皆で広げて確認している。ああ、恥ずかしいわ、私と彼のマットレスの上での行為を思い出してしまう。あそこが疼いちゃう、こんな状況でも。私って、いやらしい女。

「何かの梱包材ですかねえ」
「やたらこれにも染みがついているなあ、あれ、これもちょっとアンモニア臭いぞ」

 また部長が匂いを嗅いでいる。ああ、私の顔が赤くなる。でも、誰も気づいていないようだわ。そして、部長が悩んでいる。

「しかし、その雨漏りやら配管が原因としたら、結構修繕費がかかるんではないか」

 そこで業者さんが余計なことを言い出した。

「とりあえず監視カメラなどを置いたらどうですか。この染みが天井から滴り落ちて来たかどうかを確認するために」

 監視カメラ! えー、もうここでは出来ないじゃないの。残念。おまけにマットレスは捨てるみたい。まあ、こっちはまた買えばいいけど。

 それにしても、この部屋での背徳的行為、興奮したわ。また、別の場所を見つけないと。
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