愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗

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第17話:緊縛は究極の愛

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 両腕を後ろ手で縛られて、両膝立ちになっている理奈子。胸は隠すことはできない。そして、乳首が痛いほど尖っている。もう、さわってほしい、おっぱいを揉みまわしてほしいと思うが、新道はそんなことはしない。

「あの、新道さん、また撮影してくれますか」
「いいですよ」

 新道にいろんな角度から全身を撮影される。すると、またあそこが濡れてくる。恥ずかしい、でも、気持ちがいい。ますます興奮してしまう理奈子。

(緊縛って、どういうことなんだろうなあ。逃げられない状況にされる。それで、辱めを受けて興奮している。やっぱり変態よねえ。でも、気持ちがいいの、何だか、日頃のストレスが消えていくみたいだわ。相手に完全に支配されることで安心や興奮を得るのかしら。ああん、またあそこが濡れてくる)

 鏡に映った自分の股間から愛液が溢れて出てくる。止めようがないけど、仕方が無いし、新道は慣れているだろうと理奈子は思った。

(でも、ロープで縛られて興奮している女の告白なんて受けてくれるのかしらって、また思ってしまうわ。新道さん、御本人はこういうことが嫌みたいだし……ああ、やっぱり緊縛なんて、やめておけばよかったのかしら、でも、気分はすごくいいの……快感だわ……気持ちいい……)

「まだ時間がありますね。もう一つ基本的な縛り方があるんですけど、両手首を頭の後ろにまわして縛って、そのロープで腰も縛るって簡単な緊縛ですけどどうしますか」
「あ、お願いします」

 新道は、また理奈子の戒めを解く。

「じゃあ、両手首をまた前に出してください」

 理奈子が手首を差し出すとそれを縛る。

「その状態で、頭の後ろにまわしてくれますか」
「はい」

 理奈子が指示通りにすると、手首からのロープを理奈子の細い腰に巻き付ける。理奈子は目の前の鏡に映った自分にまた興奮してしまう。好きな人が裸の自分の腰にロープを巻き付けている。腰を少しさわられてぞくぞくする。ちょっと息が荒くなってしまう。愛する人が自分を拘束している。そして、自分の腋の下を見て、思った。

(ああ、腋毛をちゃんと処理してきてよかった……マジにそう思うわ)

 きれいな腋の下が見える。そして、新道が腰に巻き付けたロープを引っ張る。すると、両手首が後ろに引っ張られて、もう完全に腋の下が丸見え状態。裸で両腕を後ろにまわして、腋の下をさらして興奮している女が鏡に映っている。

「また撮影しますか」
「はい、よろしくお願いします」

 またいろんな角度から撮影される。そして、さらにあそこが濡れてしまう。股を閉じているが、あそこから染み出してマットレスがかなり濡れて理奈子は恥ずかしさとともになぜか恍惚とした表情にもなる。

(わからない、でも、気持ちがいいの、不思議だなあ。ちょっと、手首を縛られているくらいなのに。裸ではあるけれど)

 そして、あっという間に一時間が過ぎた。

「じゃあ、これで終了でいいですか」
「あ、はい、ありがとうございました……」

(本当はもっといろんな方法で縛ってほしかったなあ。何かすごく気持ちがいいの。でも、今日はこれでいいわ。それにしても、あそこが濡れ放題。恥ずかしい……)

「美夜本さん、シャワーを浴びてきたらどうですか」

 新道が理奈子の戒めを解くと、無表情で言った。
もう理奈子の内股がすごく濡れている。

(こんな濡れたままのあそことか脚だと恥ずかしい)

「あの、ではお言葉に甘えて、使わさせていただきます」

 理奈子は裸のまま、服を持って浴室へ行く。チラッと新道を見ると、特に表情に何も浮かんでいない。

(やっぱり見飽きているんだろうなあ、女の裸なんて……)

 シャワーを浴びて、鏡で自分の裸をあらためて見る。

(けっこういい線いってると思うんだけどなあ、もっとスタイルのいい人とか緊縛してるのかしら)

 居間に行くと、新道がお茶とお菓子を用意していた。

「美夜本さん、少し休んでから、お帰りになったほうがいいと思いますけど」
「はい、ありがとうございます」

(よし、何とか新道さんの私生活を聞き出そう。でも、どうやって聞き出そうかしら)

「えーと、新道さんって、こういうバイトはもうやめるつもりなんですよね」
「そうですね。今年度で終わりかなあ、もう、弟に譲りますよ」
「うんざりって感じなんですか」
「いえ、美しい女性の裸体を見られるんだから、まあ、男としては嬉しいんですけどね。でも、疲れましたよ。ちゃんと会社に就職して、そっちの方が大変でね。それに、下手に事故とか起こすとまずいしね」
「事故ですか」
「以前、緊縛で吊っていたら、女性が亡くなった事故とかあったみたいですね。両者とも同意の上で行っていたようですけど、結局、裁判沙汰になったみたいですね」
「土田課長とか、あの部屋で空中に吊ってたのはまずかったんですね」
「そうですね。本当はしたくなかったんですけど、課長がどうしてもって言うからね。でも、なるべく足は床に付けてもらうようにはしましたけどね。まあ、傍から見れば、馬鹿馬鹿しい光景ではありますよね」
「でも、お父様は、その、ずっとSMクラブを経営してたんですよね」
「ええ、まあ、親父に言わせると、SMとか緊縛は究極の愛なんだってことですけどねえ」

 究極の愛。
 何だかすごく大げさなことを言うなあと理奈子は思った。単なる猥褻行為ではないかと思ってしまうけど。でも、緊縛されたら気持ち良くなったなあとも思った。

「あの、究極の愛ってどういう意味ですか」
「親父が言うには、SMとはお互いが完全に信頼していないと出来ないって言うんですよ。吊られたりするわけで、相手に命を預けているわけじゃないですか。さっき言った通り、下手したら死ぬかもしれない。だから、究極の愛だそうです。でも、言い訳のような気もしますね。要するに金儲けしたいだけじゃないかなあ」

 どうなんだろうなあと理奈子は思った。究極の愛かあ。でも、わざわざ緊縛される必要はないんじゃないかと思った。そして、自分はそんなこと一切無しで新道さんと究極の愛で添い遂げたいと思っているのだけど。でも、緊縛されたら気分が良くなったという思いがあった。自分はやはり変態かとも思った。

「あの、私、緊縛されたら気分が良くなったんですけど……私って変態でしょうか」
「いやあ、どうですかね。凌辱されてるわけではなく、本人の同意のもとで行っているので、別に変な行為とも言えないと思いますけどね。緊縛は縛り方の美しさで芸術的とも言われてますけどね。後、拘束されることで、社会的な責任からの重圧から逃れられるって考える人もいます。自分の責任を一時的に手放すってことですね。土田課長なんて、そんな感じですよね。重要な地位にいますし」

 うーん、私は単なるヒラの係員で仕事は大変だけど、重圧なんて感じてないなあ。
 やっぱり単なる変態かしら。

「……それで、緊縛とか趣味にしてる女性をどう思っているんですか、新道さんは」
「うーん、まあ、気持ちよければ、それで嬉しいですけどね、縛っている僕としては」

 とりあえず、変態行為をしている私を嫌悪するってことにはならないわよね。だいたい、自分だって、親の命令とは言え、緊縛行為を女性にしているんだから。

「緊縛している女性とか好きですか」
「えーと、どうでしょうね。うーん、まあ、緊縛とは関係なく、その人の性格によるかなあ」

 ちょっと、はっきりしないなあ。ああ、もう好きです! って、言ってしまおうかしら……でも恥ずかしいわ、裸を見られたのに、おまけに緊縛なんて変態行為までされて。あそこまですごく濡らしてしまって。どう見ても変態女よね。ああん、でも、今さら何を恥ずかしがる必要があるのかしら。何で好きですが言えないのだろう。

 喉元まで言葉が出て来たのに、言えない! 結局、別のことを言ってしまう。

「……あの、来週もしてもらっていいですか」
「緊縛ですか」
「はい」
「ええ、いいですよ」
「代金はいくらですか」
「無料でいいです」

 ああ、結局、告白は出来なかったし、新道さんに恋人がいるかどうかもわからず仕舞だわと理奈子は思った。
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