人生について考える

守 秀斗

文字の大きさ
11 / 16

11.中学校の卒業アルバム

しおりを挟む
 五十才で早期退職した。
 体を壊してしまったからだ。

 今は元気なのだが。

 四十才頃からおかしくなってしまった。
 いろんな病院に行ったが原因がよくわからない。
 
 結局、精神科に回される始末。
 そして、適当に精神薬を処方された結果、ますます体調不良になった。

 精神科医ってのは、無能だな。
 患者を薬漬けにしているだけだ。
 医者の中の落ちこぼれが精神科医になるって悪口を聞いたことがあるが、俺としては事実だと思う。俺にも出来るぞ、適当に薬出しているだけなんだから。

 AIにまかせた方がいいんじゃないのか。
 薬もコンビニで売ってくれ。
 無意味な三分ほどの会話で金を取って、適当に薬をばらまくだけの精神科医。
 
 俺は精神科にいくのをやめた。
 離脱症状に苦しんだ。

 でも、早期退職していたおかげで何とか乗り切った。
 仕事しながらじゃあ、無理だっただろう。

 さて、何とか調子が良くなったのだが、ヒマになってしまった。
 割り増し退職金や、今までの貯金で何とか暮らせていけそうだがな。

 年金はちょっとあてにならないけど、今までの貯えがある。
 独身なんでな。

 しかし、退職すると人間関係がバッサリと無くなってしまうなあ。
 昔の友人とは年賀状での関係だけだ。しかも、三人。
 今の若い人たちは年賀状なんて出すのだろうか。

 しかし、自分が体調を治すために精神薬を飲んだあげくに、その精神薬自体に苦しめられるとは思いもしなかったなあ。

 人生、先の事はわからないなあ。
 そんな風に思いながら、汚くしていたマンションの部屋を整理していると、中学の卒業アルバムが出てきた。高校や大学のは無いなあ、変だなあとよく考えてみると実家に置いてあることに気付いた。なんで中学のアルバムだけ持ってきたんだっけ。

 まあ、いいか。ちょっと中を見てみる。同級生たちの集合写真。みな若いなあ。十五才だもんなあ。三十五年前だ。この頃は病気ひとつしなかったなあ。虫歯くらいか。そして、俺はおとなしいグループだったが、それなりに楽しんだな。いや、当時は勉学などにそれなりに悩んでいたりもしたが、仕事に比べたらなんてこともない悩みだったような。

 そして、俺はパソコンを立ち上げる。目ぼしい奴を何人か検索してみた。誰か有名になった奴はいるだろうか。しかし、全く出てこない。まあ、それぞれ普通の人生を過ごしているのかなあと思っていると、一人、ブログをやっているのを見つけた。無職で酒浸りの生活をしているようだ。

 この人、確か、スポーツ万能で勉強も出来て、クラスの中心的存在だったなあ、そして、なかなか性格もよくて、大人しい俺にも気軽に声をかけてくる生徒だった。確か、生徒会長もやってたなあ。女子生徒にも人気があった。

 しかし、今や、すっかり落ちこぼれているではないか。何があったか、そのブログではよくわからなかった。とりとめのないことしか書いてない。しかし、やたら酒瓶の写真をアップしてる。アル中かよ。中学時代はあんなに明るかったのに暗いことばかり書いているなあと読んでいたら、最後に家族の書き込みで終わっていた。五年前に亡くなっていた。全然、知らなかったなあ。

 他にもう一人検索で出てきた。大企業のホームページで役員の一人として紹介されている。五十才で役員か。しかも、その役員の中で最年少だ。出世したもんだなあ。この生徒は、全然目立たない、友人も少ないし、いつもおどおどしていたのを覚えている。しかし、その大企業のホームページには自信満々の笑顔の写真と華麗な経歴が載っている。窓際で終わった俺とは大違いだな。

 人生とはわからないものだなあ、先のことなんて全くわからない。

 そして、今度は女子生徒が検索で出てきた。俺の隣に座っていた女子生徒。大人しくて人気の無い俺になぜかやたら話しかけてきたなあ。美人でクラスで人気があった。なんで、あんなに話しかけてきたのか。からかっていただけか。その女性は陶器の展覧会で出品者として写真が載っていた。素人の展覧会で別にたいしたことはなさそうだが。写真を見るとさすがに老けている。

 そこで、思い出した。この女子生徒さんとは大学時代に、偶然、道で会ったんだよなあ。向こうも俺のことを覚えていた。でも、ちょっと挨拶しただけで終わり。しかし、俺はその後も忘れられず卒業アルバムで電話番号を調べて、連絡しようとしたんだっけ。でも、結局、やめた。なんで連絡しなかったのかなあ。臆病だったからか。相手が迷惑がるのが想像されたからかなあ。やれやれ。情けないね。

 再度、その展覧会の写真を見る。老けたとは言え、美人の面影があるなあ。この展覧会に行ってみるかなあ。しかし、場所が遠いな。それに最後に会ってから三十年経っている。今さら会いに行ってもしょうがないか。

 でも、あの大学時代に連絡したら、何かしら進展があったかもしれないなあ。単なるもてない男の妄想かもしれないけど。

(終)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...