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13.中学時代の嫌な奴が死んだ
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「あいつが死んだみたいだぜ」
久しぶりに中学時代に仲の良かった奴からメールが来た。
現在、四十才の俺。
当然、死んだ同級生も四十才か。
まだ死ぬのには若いな。
そして、俺は思い出した。
嫌な奴だった。
粘着質と言うか、とにかくやたら絡んでくるわ、嫌がらせをしてくるわで、何でこんなに性格の悪い奴がこの世にいるんだろうと、その時は思ったもんだ。
当然、中学を卒業したら会うことはなくなったが。
そいつが死んでも特に悲しいとは思わなかった。
ただ、また思い出した。
中学時代に俺は母親と一緒に食事に出かけた。
その帰り、偶然、その嫌な奴に会った。
しかし、そいつは俺を無視。
確実に目が合ったので気付いたはず。
俺は憂鬱になったものだ、その時は。
またからかってくるんではないかと。
いまだにママと一緒じゃなきゃ行動できないんだ、こいつはとか教室で言いふらすんじゃないかと思って。
そして、翌日。
そいつが話しかけてきた。
「昨日、お前と会ったじゃん。母親と一緒だったのか」
「ああ、そうだけど」
なんだよ、またからかう気かと思っていたら、なんとも羨ましそうな顔をする。
そして、呟いた。
「そうか……」
そう言って、その後、何も言わずに自分の席に戻ったあいつ。
ただ、それだけだった。
なんだったんだろう。
そう言えば、あいつに変な噂があったなあ、夕方に自転車でウロウロしているって。
不良グループと一緒ってわけじゃない。
一人でただひたすら自転車で近所を乗り回しているだけ。
家に帰りたくないみたいだとか言われていた。
親とうまくいってなかったのかなあ。
その怒りを俺に向けたりしていたのか。
今となってはわからない。
あいつに何があったのか知らない。
懐かしくもない。
しかし、あのなんとも羨ましそうな顔を思い出すだけだ。
あいつの人生に何が起きたんだろう。
(終)
久しぶりに中学時代に仲の良かった奴からメールが来た。
現在、四十才の俺。
当然、死んだ同級生も四十才か。
まだ死ぬのには若いな。
そして、俺は思い出した。
嫌な奴だった。
粘着質と言うか、とにかくやたら絡んでくるわ、嫌がらせをしてくるわで、何でこんなに性格の悪い奴がこの世にいるんだろうと、その時は思ったもんだ。
当然、中学を卒業したら会うことはなくなったが。
そいつが死んでも特に悲しいとは思わなかった。
ただ、また思い出した。
中学時代に俺は母親と一緒に食事に出かけた。
その帰り、偶然、その嫌な奴に会った。
しかし、そいつは俺を無視。
確実に目が合ったので気付いたはず。
俺は憂鬱になったものだ、その時は。
またからかってくるんではないかと。
いまだにママと一緒じゃなきゃ行動できないんだ、こいつはとか教室で言いふらすんじゃないかと思って。
そして、翌日。
そいつが話しかけてきた。
「昨日、お前と会ったじゃん。母親と一緒だったのか」
「ああ、そうだけど」
なんだよ、またからかう気かと思っていたら、なんとも羨ましそうな顔をする。
そして、呟いた。
「そうか……」
そう言って、その後、何も言わずに自分の席に戻ったあいつ。
ただ、それだけだった。
なんだったんだろう。
そう言えば、あいつに変な噂があったなあ、夕方に自転車でウロウロしているって。
不良グループと一緒ってわけじゃない。
一人でただひたすら自転車で近所を乗り回しているだけ。
家に帰りたくないみたいだとか言われていた。
親とうまくいってなかったのかなあ。
その怒りを俺に向けたりしていたのか。
今となってはわからない。
あいつに何があったのか知らない。
懐かしくもない。
しかし、あのなんとも羨ましそうな顔を思い出すだけだ。
あいつの人生に何が起きたんだろう。
(終)
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