人生について考える

守 秀斗

文字の大きさ
14 / 16

14.順番だからな

しおりを挟む
 最近、芸能人の訃報を聞くとなんとも寂しくなってくる。
 子供の頃からテレビ番組などで親しんでいた芸能人たち。

 皆、いつかは死ぬんだな。
 そして、俺も年を取ってしまった。

 小学生の頃。
 何人かの友人と下校している時。
 ワイワイと下らないお喋りをしていた。

 そして、不意にその中の一人が言った。

「今、世界のどっかで誰かが死んでるんだろうなあ」

 そう言って黙ってしまった。
 他の皆も黙った。

 すぐに話題を変えて、また下らないお喋りに戻ったけど。
 自分がいつかは死ぬってことはわかっていた。

 ただ、若い頃はまだ当分先の話だと思ってもいた。
 小学生ならなおさらだな。

 でも、年を取って、あちこち体に故障が起きると、死が現実味をおびてくる。
 そこで思い出した。

 今は亡き父親の言葉。

「順番だからな」

 祖父の葬式でポツンと言った。
 俺にとっては、初めての親族の死だったが、親父は何度も経験していたのだろう。

 誰もがいつかは死ぬ。
 そのことが「順番だからな」って表現になったんだろうな。

 最近、妻を亡くした。
 妻との出会いは、彼女が職場に非常勤職員で来て、同じ係になった。

 ごく普通の真面目な大人しい女性。
 いつの間にか仲良くなり結婚した。

 まあ、相手の親からはボロクソに言われたけどな。
 なにせ、年齢が十歳以上も離れたおっさんと二十代の大事な娘が結婚。

 そりゃ、娘さんの親としては嫌だろうなあと思ったもんだ。
 でも、妻は結婚してくれた。

 俺は幸せだった。
 そして、彼女の事も幸せにしてやろうと思った。

 仲良く暮らしているつもりだった。
 彼女もそう思っていたと思う。
 本心はわからないけど。

 子供が出来なかったからなあ。

 でも、癌で先に逝ってしまった。
 妻は十歳以上も年下だったのに。
 俺は一人ぼっちになった。

 妻の葬儀で俺は呟いた。

「順番、間違ってるぞ」

(終)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...