15 / 16
15.何の才能もない
しおりを挟む
ブラック企業で身体を壊し、辞めざるを得なくなった。
その後、安アパートでぐったりとしている。
つまらない仕事だった。
本当はクリエイティブな仕事をしたかったんだがなあ。
実際は単なる事務職。
全く創造性もない、つまらない仕事だった。
営業よりはマシだったけどなあ。
しかし、サービス残業の連続でついに体をぶっ壊してしまい、辞めざるを得なくなった。
わずかな貯金を取り崩しながら生活。
そろそろ働かなくてはいけない。
しかし、正直言って、体の方がまだ本調子ではない。
それに、もう四十歳近い。
面接行っても不採用の連続。
こんな、故障品のおっさんより、元気な若い連中が先に採用されるのは当たり前だな。
しかし、少しでも何かお金を稼がねば。
しかし、俺は頭が悪いし、コミュ障に近い、独身男。
外見もダメ。何か特殊な資格を持っているわけでもない。
最近は家の外に出るのも億劫だ。
自宅で出来る仕事はないのか。
しかし、それこそ特別な技能を持っている人じゃないと生活なんて出来ないだろう。
と言って、今から新たに何か勉強するにも、頭がかなり回らなくなってきている。
疲れてきた。
趣味と実益を兼ねることは出来ないかなあと大それた妄想をする。
どうしたものか。
しかし、人間、何かしら取柄があるものじゃないのか。
そして、今まで経験したものでお金を稼いで何とか生活できないだろうか。
そうだ、俺は読書が大好きだ。
今まで、純文学、推理、恋愛、ファンタジー、ホラー、SF、歴史、ノンフィクション、ビジネス書からポルノ小説まで、五千冊くらい読んでるぞ。
そして、今、ネットではアマチュア作家の投稿サイトが大流行している。
昔は、出版社に持ち込みとかいろいろと面倒だったが、今や自宅で投稿できる。
よし、この五千冊の読書経験を活かして、作家になるぞ!
そう、思い立ったのだが、いざ、書こうとしたら全然書けない。
一行も書けない。
たったの一行も書けない。
マジに全く書けない。
どうなってんだ。
あの、五千冊の読書経験はいったい何だったんだろうか。
よく考えてみる。
これはプロ野球に選手として試合に出場するのと、テレビで観戦しているのとは全然違うのと一緒ではないだろうか。
いくら五千冊読書をしようが、実際に書いた事なんて一度もない。
そりゃ、小説を書けるわけないよな。
しかし、俺は創造的な仕事をしたいのが夢だったんだ。
何とかして自力で考えるしかない。
やっぱり、何事も練習が必要か。
しかし、アラフォーだと急激に体力も知力も無くなっていく。
練習している間にあの世ってこともありえるな。
ただ、このまま野垂れ死にはしたくない。
少しでもいいから自分が生きていた証拠を残したいものだ。
よし、投稿サイトに残せばいい。
サイトが潰れれば消えちゃうけど。
俺は短編をうんうんと唸って考えながら、なんとか書き上げた。
題材は俺の好きなホラー小説。
ドキドキしながら、ネットのサイトに投稿する。
予想通り全く読まれないし、感想なんて全くつかない。
多少、PVはついたが斜め読みしただけだろう。
所詮、俺には才能なんてない。
がっかりしてふて寝する。
もう就職はあきらめて、とりあえずバイトでもするか。
アラフォーでもバイトなら、まあまあ仕事はあるからな。
清掃のバイトをすることになった。
かなり賃金は安いが仕方がない。
さて、ある日、ふと俺が投稿した小説がどうなっているか見てみた。
おお、何とお気に入りに二名が登録している。
ほんの数人でも読んでもらえるとうれしいものだ。
しかも、お気に入りにしてくれた。
もう少しバイトをしながら小説の勉強をして頑張ってみるかなと俺は思った。
まあ、お気に入りに登録しても読んでいるかどうかわからないけどな。
けど、クリエイティブなことをしているという満足感もあるんだな。
別に職業小説家になる必要もない。
そう言えば、清掃員をしながら延々と長編を書き続けていた人がアメリカにいたなあ。
死ぬまで世間には作品を発表しなかったようだ。
死後に発見されて、今や、その長大な小説は博物館に展示されているらしい。
俺もそれでいいや。
まあ、ネット投稿はするけどね。
(終)
その後、安アパートでぐったりとしている。
つまらない仕事だった。
本当はクリエイティブな仕事をしたかったんだがなあ。
実際は単なる事務職。
全く創造性もない、つまらない仕事だった。
営業よりはマシだったけどなあ。
しかし、サービス残業の連続でついに体をぶっ壊してしまい、辞めざるを得なくなった。
わずかな貯金を取り崩しながら生活。
そろそろ働かなくてはいけない。
しかし、正直言って、体の方がまだ本調子ではない。
それに、もう四十歳近い。
面接行っても不採用の連続。
こんな、故障品のおっさんより、元気な若い連中が先に採用されるのは当たり前だな。
しかし、少しでも何かお金を稼がねば。
しかし、俺は頭が悪いし、コミュ障に近い、独身男。
外見もダメ。何か特殊な資格を持っているわけでもない。
最近は家の外に出るのも億劫だ。
自宅で出来る仕事はないのか。
しかし、それこそ特別な技能を持っている人じゃないと生活なんて出来ないだろう。
と言って、今から新たに何か勉強するにも、頭がかなり回らなくなってきている。
疲れてきた。
趣味と実益を兼ねることは出来ないかなあと大それた妄想をする。
どうしたものか。
しかし、人間、何かしら取柄があるものじゃないのか。
そして、今まで経験したものでお金を稼いで何とか生活できないだろうか。
そうだ、俺は読書が大好きだ。
今まで、純文学、推理、恋愛、ファンタジー、ホラー、SF、歴史、ノンフィクション、ビジネス書からポルノ小説まで、五千冊くらい読んでるぞ。
そして、今、ネットではアマチュア作家の投稿サイトが大流行している。
昔は、出版社に持ち込みとかいろいろと面倒だったが、今や自宅で投稿できる。
よし、この五千冊の読書経験を活かして、作家になるぞ!
そう、思い立ったのだが、いざ、書こうとしたら全然書けない。
一行も書けない。
たったの一行も書けない。
マジに全く書けない。
どうなってんだ。
あの、五千冊の読書経験はいったい何だったんだろうか。
よく考えてみる。
これはプロ野球に選手として試合に出場するのと、テレビで観戦しているのとは全然違うのと一緒ではないだろうか。
いくら五千冊読書をしようが、実際に書いた事なんて一度もない。
そりゃ、小説を書けるわけないよな。
しかし、俺は創造的な仕事をしたいのが夢だったんだ。
何とかして自力で考えるしかない。
やっぱり、何事も練習が必要か。
しかし、アラフォーだと急激に体力も知力も無くなっていく。
練習している間にあの世ってこともありえるな。
ただ、このまま野垂れ死にはしたくない。
少しでもいいから自分が生きていた証拠を残したいものだ。
よし、投稿サイトに残せばいい。
サイトが潰れれば消えちゃうけど。
俺は短編をうんうんと唸って考えながら、なんとか書き上げた。
題材は俺の好きなホラー小説。
ドキドキしながら、ネットのサイトに投稿する。
予想通り全く読まれないし、感想なんて全くつかない。
多少、PVはついたが斜め読みしただけだろう。
所詮、俺には才能なんてない。
がっかりしてふて寝する。
もう就職はあきらめて、とりあえずバイトでもするか。
アラフォーでもバイトなら、まあまあ仕事はあるからな。
清掃のバイトをすることになった。
かなり賃金は安いが仕方がない。
さて、ある日、ふと俺が投稿した小説がどうなっているか見てみた。
おお、何とお気に入りに二名が登録している。
ほんの数人でも読んでもらえるとうれしいものだ。
しかも、お気に入りにしてくれた。
もう少しバイトをしながら小説の勉強をして頑張ってみるかなと俺は思った。
まあ、お気に入りに登録しても読んでいるかどうかわからないけどな。
けど、クリエイティブなことをしているという満足感もあるんだな。
別に職業小説家になる必要もない。
そう言えば、清掃員をしながら延々と長編を書き続けていた人がアメリカにいたなあ。
死ぬまで世間には作品を発表しなかったようだ。
死後に発見されて、今や、その長大な小説は博物館に展示されているらしい。
俺もそれでいいや。
まあ、ネット投稿はするけどね。
(終)
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる