野球部エースの尻から目が離せない

motoi

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32.二人の関係

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 太陽が真上に昇っている。
 8月になり、僕たち野球部の夏が始まった。

「よっしゃー! 補習なし!」

 三田は奇蹟的に赤点を回避し、この夏は野球部に捧げると息巻いていた。

「やっぱ祐樹と一緒に勉強したからかなー」
「あー、そうだね」

 実際にどれだけ勉強ができていたかはわからないけれど、結果よければ、というやつだ。


 しかし、あいにくの酷暑が続き、日中の屋外での活動は禁止され、練習は16時からとなった。


 それまでの時間、三田の部屋で二人して、時間をつぶした。

 ベッドでだらりと横になっていると、上から三田が覆いかぶさってくる。

「んー」

 クーラーの効いた部屋でも、背中から伝わる三田の体温はやけに高い。

 いつ頃からか、二人しかいない空間では身体をくっつけ合うのが習慣になりつつあって、困った。

 俺はいつでもそれだけで反応してしまうからだ。

「どうしたの」

 あえてそっけなく返す。
 毎回ドキドキさせられては身がもたない。


「俺たちってさ…………付き合ってるんだよね?」

「え……?」


 ………………付き合ってる??????? 



 え、俺、三田と付き合ってる???



 三田は顔を、俺の肩と頭の間に埋もれさせる。

 二人の間を惑う空気が少し重い。
 三田の吐息が、うなじに漏れてかかる。


 でも……確かに、もうただの友達という関係じゃない。

 この関係に名前をつけるなら、付き合ってるになるかもしれない。



「……うん」

 そういうと同時に三田が俺の身体をぎゅっと後ろから抱きしめた。


「はー、良かった~。すげー、ドキドキした」


 三田は俺の頬に軽く唇をつける。

 それに呼応して、俺は顔を横に向けた。
 二人の唇が重なる。


「ん……、苦しい……」


 三田が身体を少し浮かす。俺は翻って、仰向けになった。

 すかさず、俺の腹のうえに顔を乗せる。


「勃ってる」


 俺の短パンの上から、盛り上がった部分に三田はすっと指を滑らせた。

 もう何度目かになるが、俺はいつでも新鮮にびくついてしまう。


「・・・・・・もしさ、もし今度の大会で優勝したら、これ、使ってよ」

「え」

 俺は芸もなく、また聞き返してしまった。


「これ、俺の尻に入れてよ」



 今度は返事に困った。
 長い沈黙が二人の間に流れる。


 三田が俺の背中をギュッと掴んだ。


 その熱に促されて、俺は首を縦に振った。




「・・・・・・うん」




 こうして、俺たちの夏が開けていった。





 全国野球大会、初戦は明後日。
 俺たち野球部の夏が始まる。








 

 







 



 
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